アメコミ屈指バイオレンス大作!「ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト」

海外コミックの担当をしている黒田と申します。前回に引き続きオススメの海外コミックをご紹介したいと思います。

今回ご紹介するのは「ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト」です。

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ウルヴァリンといえばMARVELの数多いキャラクターの中でもスパイダーマンに並ぶ屈指の人気キャラクターなのはいうまでもありませんが、そのキャラクター性はなかなかに曲者です。

小柄で特徴的な髪形、無精髭に手からは三本の爪、超再生能力(ヒーリングファクター)、アダマンチウム製の骨格、謎だらけの過去、遅い老化...などとキャラクター的な特徴はなかなかに他のヒーローと比べて癖の強い味付けです。

その上、他のX-MENのメンバーを甘ちゃんと言わんばかりの殺人も持さない冷酷さと凶暴性を持った獣としての側面も忘れてはなりません。

ウルヴァリンの武骨で頑固で一匹狼なキャラクター(実際はヒーローチームを掛け持ちしているぐらいの人気者なわけですが)は他のヒーローのカウンターとして大きな存在感を発揮し、彼をMARVEL屈指の人気キャラクターに押し上げました。

また映画版でもヒュー・ジャックマンが演じたウルヴァリンも人気を呼び、ウルヴァリンの最期の戦いを描いた「ローガン」も大きな反響を呼びました。

そんなウルヴァリンの歴史の中でも屈指傑作、そして死闘と語り継がれている作品が今回ご紹介する「ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト」です。

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物語は雨に濡れる日本から・・・ウルヴァリンの探している子どもの行く末は・・・

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あまりにも残酷な現実・・・

ライターはかの「キックアス」「キングスマン」を手掛けたマーク・ミラー。 過剰なまでの暴力とヒーローを題材としながら臭いたつような癖のある現実感、ハードすぎる展開が持ち味のアメコミ屈指の名ライターで、MARVELではかの「アベンジャーズ」を 現代よりの設定にリメイクした上で上記のマーク節をたっぷり注ぎ込んだ大作「アルティメッツ」があります。

アーティストはこれまたアメコミを代表する人気作家のジョン・ロミータJr。 その硬質な筆と肉弾描写、バイオレンス描写とカロリー溢れるコマ割りが持ち味の大ベテランです。 「キック・アス」でもお馴染みのこの二人がタッグを組んで、「ウルヴァリン」を描くのですからもちろんテーマは「死闘」。

アメコミ史上に残るバイオレンス巨編がこの「ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト」なのです。

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この流れるような暴虐の嵐!唸るロミータJrの豪筆!

仮面ライダー響鬼とSDガンダム好きとか将来有望だったはずの子供の仇をとってくれ、ウルヴァリン!このコマは単語のセンスに笑いつつも涙を流した名シーンです。

この作品はとにかくマーク・ミラーのハードなシナリオとジョン・ロミータJrの硬質な筆のタッグの力強さに圧倒される作品です。

ウルヴァリン対ヒドラから始まった戦いが、洗脳され「アメリカの敵」となったウルヴァリン(つまりエネミーオブステイト)とヒーローとの戦いに続き、洗脳がとけたウルヴァリンの復讐と流れていくストーリーなのですが、その行く先々には戦いと死の嵐が巻き起こることとなるのです。

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このデアデビルの棒捌きのコマ割のスピード感!投げつけているビリー・クラブの重すぎない重量と硬質さがこちらにまで伝わってきそうです。

この作品ではヴィラン、つまりは敵役は映画でも登場するヒドラという組織でウルヴァリンのこれまでの宿敵やライバルは登場しません。 登場するのはゴーゴンというこの作品が初出となるキャラクターながらこのキャラクターのインパクトは相当強烈です。

ウルヴァリンと同じぐらい不死身の体に心を読む能力、圧倒的な刀捌き(後に神殺しの設定までつきました)とその名のとおりの目線に入ったものの石化能力と設定での強力さもありますが、 それ以上にジョン・ロミータJrの豪筆による力強さと不気味さ、そして無敵感が彼を印象付けています。

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追いつめたと思ったら途端に返す刃で本拠地強襲という、というゴーゴンの強敵感。登場回数は少ないもののウルヴァリンの強敵としてかなり上位にランクインしていました。

ウルヴァリンというキャラクターといえば常に失った過去に苦しめられてきたキャラクターですが、この「ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト」では過去とは関係の突然の強敵との死闘が描かれており、二転三転する展開を含めて非常にスピード感があります。

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「お前に近づく人間はみんな殺されるのさ」というゴーゴンの言葉は、愛した女性を失い続けてきたウルヴァリン・・・ローガンにも胸に突き刺さる残酷な言葉。その言葉に「なら、お前も殺せるはずだ」とローガン。彼の過去の宿業がゴーゴンを打ち破るカタルシスは是非実際に読んで体感してください。

それでありながら、ウルヴァリンの今まで歩んできた苦難の道のりが時にモノローグとして挿入され、ウルヴァリンという男が過去にとらわれ、過去と戦い、過去を力として戦う姿が描き出されていきます。 そして死闘が終焉を迎えた後も虚しさのみが残るのみ。

そう、だってこれはマーク・ミラーの作品なのですから。

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世界は残酷で、クズはどこまでもクズ。

無慈悲すぎる死、繋がらない心。そして圧倒的暴力。

そんなハードな作品だからこそハートを強く揺さぶる作品たりうるのです。 読書感は決して爽快、とはいえませんがその分重厚さは保障できるこの大作、是非読んでみてはいかがでしょうか?

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ちなみにこの作品、序文も有名です。まさに名作に名序文。

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(担当 黒田)

中野店 黒田

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