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幻の漫画少年 全リスト

文・相澤亮一

11月号は発行されなかった。昭和30年は月刊10冊、増刊2冊計12冊を刊行する。
そして休刊の予告なしに8年の歴史を閉じる。
読者の漫画や金のかからない新人の作品を掲載したりして、難局を乗り切っていたが徐々に魅力を失い遂に息が絶えた。
大きな驚きと失望、ショックが日本中を走った。テレビや劇画など刺激の強い雑誌に押されて、少年漫画が変容していく。
ほのぼのとした良心的な作品では残念ながら太刀打ちできなかった。そして今は幻の雑誌となっている。
戦後間もない頃から、少年雑誌の典型を見せてくれた「漫画少年」。もう一度よみがえって欲しいと願う。
そうだ、「まんだらけ」を始め、古書の世界があるではないか。望みなきに非ず。大いに期待しよう。

 「漫画少年」は児童漫画家のホームグランドであるとともに、新人児童漫画家志望者の登竜門でもあった。
 創刊当時からの既成の漫画家には新しい指向を、台頭する新人には志気を高揚させる場を設けていた。
特色の一つに読者の投稿漫画のページがあり、創刊3号から”読者の漫画”、”読者の漫画大展覧会”、”読者漫画大会”、”漫画つうしんぼ”とその名を変えながら、昭和30年10月(終刊)号まで掲載された。
 毎月の投稿欄から漫画家の卵が生まれ、立派な新人が育成された。初期の編集者は加藤謙一氏であり、数多くの漫画家を育てた名伯楽である。
加藤氏については雑誌「東京人」(都市出版社発行、平成13年6月号〜平成14年1月号)に「漫画少年」物語 トキワ荘の父、編集者 加藤謙一伝として加藤丈夫氏により紹介されている。

S30.08.30 増刊号
「半ポン太捕物帖」(はがまさお)、「森の王子さま」(にいぜきけんのすけ)、「カップ君」(篠崎 寿)、「お化けと良い事」(角田次朗)、「漫画日本めぐり ツーリスト・ボーイ」(中野正治)、「漫画絵とき集」、「小包とりんご」(赤塚不二夫)、「真夏のひるねのゆめ」(古沢日出夫)、少年絵ばなし、「峠の犬」(中島)など全部読切。
少年小説「たける先生」(松井利一)、こっけい学校劇「ロバの床屋」(久米元一)など。
読物の入った232頁の豪華増刊号が発行された。



S30.09.20 9月号
漫画詩「水」(田河水泡)、「半ぽん太捕物帖」(はがまさお)、猿飛佐助(馬場のぼる)、「かばちゃん」(古沢日出夫)、「スットコトンちゃん」(うしおそうじ)、「空とぶ怪物」(謝花凡太郎)、「白黒物語」(寺田ヒロオ)、絵物語「荒野に叫ぶ」(橋本隆雄)、「友情のメガホン」(白木 茂)、新連載「次女まひる」(根岸こみち)、漫画家自叙伝「僕の横顔」(はがまさお)、「トマトそうどう」(横木健二)、漫画探訪「発電所」(森安直哉)、東京伝説めぐり「かっぱ寺」(角田次朗)、「トンガリ山のコンギツネ」(浦野昭一)、「トンボとり」(田坂修一)、「愛犬」(石川輝義)、「お山のお月見」(角田次朗)、投稿漫画つうしんぼ(寺田ヒロオ)、「二級天使」(石森章太郎)、投稿「僕の自画像」など。



S30.10.20 10月号
漫画詩「かっぱ物語」(田河水泡)、連載漫画「半ぽん太捕物帖」(はが まさお)、「二級天使」(石森章太郎)、「猿飛佐助」(馬場のぼる)、「白黒物語」(寺田ヒロオ)、「とんちさいばん」(中野正治)、「空とぶ怪物」(謝花凡太郎)、東京伝説めぐり「桜餅と言問だんご」(角田次朗)特集「月」(新漫画党)、「月世界探訪」(森安直哉)、「漫画つうしんぼ」(寺田ヒロオ)、「ピヨピヨ漫画家座談会」、新人漫画傑作集「二人のドロちゃん」(浦野昭一)「赤鬼騒動」(カミカワ 望)、「秋の幻想」 (小林和夫)、絵物語「荒野に叫ぶ」(橋本隆雄)、感激少年小説「20年後」(久保 喬)、11月号(科学漫画号)の予告、「チョウチョウ交響曲」連載再開のお知らせなど。