まんだらけ中野店 4F 記戦国武士の歴史小説

『天下の豪傑塙団右衛門』他
すべて￥840 鴎友社昭和20年代

江戸時代初頭の大坂の陣で、豊臣方として参戦した「塙団右衛門(ばんだんゑもん)」といふ下級武士がゐます。

この人、伝へられるところによると「多い方につくと目立たないから」といふ理由でわざわざ数の少ない(すなはち負ける可能性が濃厚)豊臣方に加はったさうです。

そんで、さらに自分の名前を世に知らしめやうとでっかく自分の名前を書いた幟(のぼり)を差して、仲間が追ひつけないくらゐの速さで突撃して孤軍奮闘のすゑ散華したとのことで、ま、合理的に考へればバカといふことになりませうな。

しかし、名前を残すことを第一目的としたといふのであれば、 400年経った現在でも名が残ってる訳で彼の目論見は達成されたとも云へます。

さうするとバカどころか非常に利口だったと云へるかも知れません。
果たして現在の人で400年語り継がれるやう人がどれホドありませうか？

名声欲に汲々としてゐる人といふのは非常に見苦しいものがありますが、こゝまでやって呉れれば見苦しいどころか逆に清々しさすら感じます。いやァ戦国武士の生き様は実に痛快でありますなァ。

といふことでこの「塙団右衛門」を含めた歴史小説複数入荷致しました。全部旧漢字旧かな遣ひで印刷も古いので、ハッキリ云って読み易くはないです。

しかし装丁がとても綺麗なので、愚生であれば敬愛する「塙団右衛門」なんか読まないで油絵用のデコレイティヴな額にでも入れて飾って置きたい気分です。

「塙～」の他には『戦国勇士木村又蔵』、『真田十勇士由利鎌之助』、『豪傑梁川庄八』、『忍術村雨雷太郎』、『忍術戸澤山城守』、『根来流忍術の名人鈴木菊岩丸』などが入荷してをります。
呉々も「歴史小説なんて所詮フヰクションぢゃないか」なんてニヒルなことは仰言らないで下さいね、さう云っちまへばそもそも世の中すべてがフヰクションなのですから。

(担当山口ケン)