岩井の本棚 「本店レポート」 第14回

細かいのいろいろ その2


先日僕がふとしたことでヘコんでいると、マニア館のKさんが「この本でも見て、元気出してくださいよ」といって机の上にヒョイとある本を置きました。
みると「アニマルセックス」とある。表紙は交尾するライオン。
ワニの本、みたいな80年代に大量に発行された豆本、ナガオカパンチブックスの一冊です。

全ページ「クジラのセックスは勇壮だ」「オットセイは交尾期を終えると100キロもやせてしまう」などといった文章、それにサルやトラなど様々な動物が交尾するシーンでいっぱい。表紙のライオンのすまし顔が最高にいいです。
ヘコみもなんのその、すっかり元気になりました。これは元気のもとです。日本イレブンもクロアチア戦にはもっていくといいと思う。

ともかく何のために、どんな人相手に作ったのかがサッパリわかりません。
しかし単なるネタとしてはしっかりした内容過ぎる。なんていうんだろう、人間のみならず動物の性行為も知っておかなきゃな、と常に考えている、 すこぶる紳士もしくは高等遊民用の本だと思います。
ただ、この本が彼女に見つかったら別離は覚悟した方がいいですね。1260円。

「たんばミニ」
十数年前、丹波哲郎が映画「大霊界」をつくって、霊界の広告塔としてTVに出まくっていたころ。
霊界双六ゲーム、と銘打った「たんば」という双六があったのを覚えていますか。まあパロディ商品ですね。

深夜ラジオでもデーモン小暮が丹波哲郎ネタを盛んにだしてたり、当時大人気だった相原コージが絵を担当したこともあり話題になり、続編が作られました。
それがこの「たんばミニ」です。

パーティジョイみたいなカードゲームで、本家同様カードの絵を相原コージが描いてます。 センスのカケラもないジャケットをみると身体中の点穴からチャクラがムダに流れていくのを感じますね。これはそうとうダメだと思う。

先日「漫歌エロチカ派」を終え、作中で自分のしてきた生き方や仕事に後悔はしてない、 と言い切っていた相原さんですが、この「たんばミニ」を目の前にしても言い切れるのかどうか聞いてみたいです。
箱イタミあり、カード枚数は確認不能でしたがたぶん揃っていると思います。
特価品なので現状でご容赦ください。630円。

「たまご和尚」
浦沢義雄が文章を、そしてタムラノボルがイラストを担当、というなんだかすごいコンビの絵本です。 タムラノボルのフリーハンド絵はすごいですね。 方向性は全く違うものの、寺田克也の「ラクガキング」を見て受ける印象に近いです。

そして「ペットントン」「美少女仮面ポワトリン」などでブッ跳んだ脚本を書き、子供たちにはアナーキーさを叩き込んだ奇才・浦沢義雄。
無生物が意識をもったり主張したり、子供たちが急に哲学的になったり、お茶の間がミュージカルになったりといった脚本で子供たちを混乱させた、 フジテレビ日曜朝の子供ドラマシリーズを手がけた脱構築の天才。
あのバカ路線をしりつつ描けるのは浦沢氏だけでしょう。

絵本のように見えて実は言葉遊びを楽しむ本書。
00年作家だライトノベルだとと世間はかしましいですが、これぞ大人が読むファンタジー。ほんとうの知性に触れてください。945円。


「ゲノム」 ビブロス倒産後、BL出版物の多くは新会社に移行し機能するようですが、 それ以前の「カラフル萬福星」「エルフィックス」でのコンテンツは引き継ぎ先がないせいか宙に浮いています。新ゲノムはコアマガジンで読めますが・・・。

ロボットパクマンのセクハラと暴走が見ものだった知る人ぞしるハイテンションギャグだった本作、 そのためか絶版になったとたん古書店の店頭からいっせいに消えてしまいました。
「ニニンがシノブ伝」から入った人はこれを読まないと始まりませんよ。
古賀亮一中野店の最後の在庫です。全4巻3675円。

「Road of Trash」
「ゲノム」同様、ビブロスからの発行のため絶版化したものがいくつかあるのですが、A-10唯一の商業誌である「ロードオブトラッシュ」もその一つです。
アヘ顔、ザーメン、足コキに唾液とA-10先生お得意のフェチ描写はもちろんのこと、ファンタジーの素養の深さをうかがわせるダンジョン内や騎士の描写もレベル高いです。

ちなみに当コラムのタイトル「マンガけもの道」は本作の第一話「マンガン払い」と第4話「けもの道」を合わせた造語だったりします。それくらい好きです。
いまはまだ手に入りやすいし特別な値段もついていないので、あとで悔やまないためにも抑えときましょう。682円。

「一刻館の思いで」
めぞん一刻を題材とした謎本。
謎本というと「ベルセルク病巣○○○」のように「本当にぜんぶ単行本読んだんだろうな、オイ」と悩むようなものから、内容の濃さに対して報われてない本まで様々です。

めぞん唯一の研究書として復刊を望む声は高いようですが、今となってはなかなか見なくなりました。
作中に出てくる記述や電車が止まる場所、構造、市外局番や郵便番号などから「一刻館は東久留米市にある」と推理するあたりの展開が流れるようですごい。
作者の横内正昭とはどんな人なのか、気になります。630円。

「スゥエード・キルシュ」
白倉由美の著作では絶版になったもの、もとから少部数のものが多くファン泣かせです。
とくにサイコ以降のファンには辛いところでしょう。大塚英志関連や声優のプロデュースなど、 評価される仕事を多くしているものの、本人が表面に立つのをあまり好んでいないためか一般層にはなかなか仕事が伝わり難いのが惜しいですね。
入荷したら少しずつアップしていこうとは思うのですが・・・。
とりあえず今回はわりと見かけやすい「スゥエード・キルシュ」。1050円。


ロリータの温度」セット
小説「ロリータの温度」と、同封チラシから申し込めるプレミアムシングルCD。
またその発送が当時遅れてしまったために、お詫びのつもりか送られてきたというルーシー・モノストーンとヨースケ・コバヤシのビンゴカード(手配書カード)。

それに市販のCDアルバム「the temperature of LOLITA 」。ややいたみ有りでセット2625円。
CDアルバムの作詞は白倉由美が担当、後藤次利がプロデュースという豪華さです。

いずれも6月18日本店2で出します。
本店2はいろいろなものを出しつづけていますので、なんか面白いマンガやムックが見付かったら中野店へどうぞ!

※この記事は2006年6月17日に掲載したものです。

(担当岩井)

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