棚卸し、色々出てきます。文芸の分野からは岡田睦の稀少書籍2冊を販売します。
岡田睦は1932年、東京生まれの小説家。慶應義塾大学文学部仏文科を卒業し、慶応の仲間らと同人誌『作品・批評』の創刊に携わります。1960年には「夏休みの配当」で芥川賞候補に。
実は彼、現在も消息不明。3度の結婚を経たのち、最後の妻に家を追い出され、生活保護を受けながら居所を転々とします。そして『群像』2010年3月号に「灯」を発表後、消息がわからなくなるのです。
なんともミステリアスな・・・。
今回販売する2冊、まず１冊目は「ワニの泪」。1976年、河出書房新社から刊行されたものです。帯には安岡章太郎のコメントが。
「平凡といへば、この作品は極めて平凡な男の悲劇であらう。しかし、当事者にとっては、この悲劇は平凡であるだけに、一層切実に侘しげなのである。そのへんのやり切れなさを、『ワニの泪』は一見シンプルな文体でよく描きとめてゐると思ふ。」
現代に生きる我々も必読の私小説です。
続いて2冊目は「乳房」。1988年、福武書店から刊行されました。精神安定剤を飲む小説家の夫と乳癌による乳房の切開手術を受ける妻の日常を描いた表題作ほか、「キャット・シッター」「糟糠」「夕空晴れて」の四篇を収録。
種村季弘、秋山駿らの評が帯に掲載されています。「乳房」は小説家夫婦を題材とした正真正銘の私小説。物語は短いですが、冒頭の洗濯機をまわす徹底的な描写に引き込まれるところから、読後のなんともいえないからっとした感じまで、あまりに印象的な作品です。
上記商品は3/9(火)4階海馬で12時から販売します。 なにかと外出しづらい状況なので通販も12時からアップします。 ただし、注文後、在庫確保から確定までは少しお時間をいただくため、在庫確保のメールをお送りする前に店頭での購入希望があった場合は、来店のお客様を優先とさせていただきます。 また当日、12時の時点で複数名の購入希望があった場合はじゃんけんやくじなど運試しによる購入とさせていただきます。 12時の開店以降は先着です。
それでは皆様のご利用お待ちしています。事前の状態確認は承れますので、お気軽にお問い合わせください。
中野店 夛田
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