都築響一『TOKYO STYLE』京都書院 1993年9月15日 発行
4インチ×5インチ、通称シノゴという、一般的なフィルムサイズの約13倍の面積を持つ巨大なシートフィルムを中心に撮影された本作からは、所謂「フィルム写真」から醸し出される粒子の粗さに起因するようなノスタルジーな雰囲気は一切感じられません。
映し出されているのは「ただの部屋」であり、糸井重里風に言ってみれば「ただの生活」でもあります。「真」を「写す」という写真の逃れられない特性を意識してなのかはわかりませんが、撮影前に部屋に手を付けることはしなかったと都築響一は後のインタビューで明かしています。
無機質でスタイリッシュな居住空間ではなく、生活をベースにした部屋たちはそれぞれ違う匂いがします。あくまで住む人によって理想的な空間が違うという至極当然の事実を示しているかのよう。出版から30年が経てもなお、本書を通じて写真家自身の目利きの良さや時代感覚の捉え方は、読者に斬新かつ真新しさに近い読後感を与えてくれます。
「最前線は文化にもあるんだよ、評価の定まらないものがせめぎ合う場所が。僕はそこにいたいと思ってる。」（美術手帖 1999年11月号『特集 超写真芸術』）
また、本書と並びに1997年に出版された普及版も同時に販売させていただきます。普及版はHCと比べてお求め安くなっております。
5/4（土曜日）開店時から海馬フロアのショーケースにて販売予定です。
（開店時に購入希望者が複数いらっしゃる場合はジャンケンになります）
渋谷店 乾
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