偶然を呼ぶ手紙/楳図かずお

偶然を呼ぶ手紙/楳図かずお佐藤プロダクション　フラワーライブラリー 1968年「ティーンルック」掲載作品状態：非貸本・再版/本体・カバーイタミ、ワレ、背弱、しみ 18,900円学校の先生に怒られた腹いせに暴言を書きなぐった手紙を、でたらめの住所と宛名で投函したことで憂さを晴らした洋子。しかし後日、そのでたらめだったはずの宛名の女性「山田すず子」が行方不明になっていると新聞で知ります。偶然の一致がまだ信じられない洋子。しかしすず子の失踪はニュースになり、しかも洋子が手紙に書いた暴言どおりの不細工で足の悪い女性だったものだから、洋子の心は落ち着きません。手紙に深く傷ついたすず子は自殺を試みますが失敗し、手紙を出してしまった罪悪感に苛まれる洋子は一体どうすればいいのか悩みます。始めから終わりまで「偶然」がキーワードとなり話が進んで行き、いつもの恨み辛みが云々～という感じではないです。基本的なストーリーはいつもの楳図作品とはちょっと異質な感じで恐ろしく面白いのですが、ラストはとても爽やかでした。あと、洋子の妹のマリ子のキャラクターがものすごくかわいらしくてちょっと和みます。マリ子のキャラクター以外にも楳図先生自身が何度か登場したり、そういったコネタ的な笑いどころが多く気張らずに読めます。しかし偶然が引き起こし偶然が解決した今回のお話ですが、ここまでいくと偶然ではなく必然な気がします。それにしても、楳図先生の描く不細工な女性は見ていてこちらがつらくなるほど本当に不細工です。あと今回は「すず子」とまともでしたが、名前までひどい場合が多いです。土子とか。容赦ない。他にも女性の醜美がテーマになっている作品がいくつかあったように思いますが、どの作品の不細工ちゃんも自分の容姿についてわりと悩んでいた気がします。それこそ死を考えるほどに。大げさだよ～って思ってるそこの貴方、それは違いますよ…女性にとって自分の容姿というのは一生の課題なんです。醜さをコンプレックスに思い自殺を考えたりなんていうのも笑い話ではありません。なので今回のラストは本当に胸がほっとしました。心が洗われるようないい作品です。ということで。今日も元気に楳図作品をご紹介しましたが、あいかわらずこちらの｢小学館クリエイティブの楳図祀り｣も絶賛開催中です。見てみてね。よろしくね。ものすご～くちっちゃなオマケ要素として…楳図先生が描いたジュリーの似顔絵が見れます。ちょっと興奮しました。担当　いわき

札幌店いわき