ゼロ戦夏子 全巻セット

ゼロ戦夏子。このタイトルから、明確にストーリーを想像できる方ってどのくらいいるんでしょうか？私は出来ませんでした。戦争を絡めた暴力色の強いエロ劇画かな？ってのがせいぜいでした。簡単にストーリーを説明しますと… 舞台は第二次世界大戦中の日本。特攻隊員で結婚したばかりの夫を亡くした新妻・夏子。夫を助けてくれるように頼んだ中尉に手篭めにされ、しかも夏子の思いむなしく夫は帰らぬ人となり… 一度は自決を考えた夏子ですが、復讐を誓います。中尉をはじめとした世の中すべてに。夫にもらった言葉、しぶとく生きろ、という言葉を胸に… というお話。ありきたりな感想ですが、ものすごくおもしろいんですよこれが…びっくりするくらい。どうしても劇画（とくにエロ）はネタ的に見てしまう傾向があるため今回も斜に構えて読み始めたんですが、力強く生き生きとしたペン使い、夏子の愛、刀を持った夏子の立ち回りの美しさ、それらに冷水を浴びせられたように冷静になりました。あああまんがってこういうものですよね。和製キルビルのようだ…と思ったんですが、キルビルよりギャグ要素なくまじめ。とにかくネタまんがではなく、まじめな劇画です。篠原作品なので当たりまえですが、圧倒的に絵がうまく安定しているので、終始安心して読めます。正統派…とは言いがたいですが、それでもものすごくちゃんとしたまんがでした。タイトルからどうせトンデモ系だろう…とタカをくくっていた自分を恥じます！キャー！夏子以外の女達もみんな浅ましく図太くたくましく、素敵です。個人的には背中に弁天のもんもんを背負った駒子姐さんが好みです。余談ですが、篠原先生といえば「さそり」。映画版さそりを演じたのは梶芽衣子。梶芽衣子といえば修羅雪姫。修羅雪姫といえば、キルビルのオーレン石井の白装束は梶芽衣子の演じた修羅雪姫へのオマージュ… ってことで、篠原先生とキルビルはやはり縁深いもののようです。（むりやりか）ゼロ戦夏子　全６巻セット/篠原とおる状態：初版、小口ヤケ担当　いわき

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