【まんだらけトピックス】本・まんが・コミック・TOY・同人誌の専門店

2012年6月10日限定300部発行
A5判/上製函入り/本文192頁
作品リスト・解題収録の小冊子付き
税込み￥3,675-

永島慎二が好きでも、この作品を読まれたことのある方は少ないのではなかろうか。
「シャボン玉天使」――タイトルからして、古き良き時代を感じさせる響きである。

さて、内容はというと、主人公の女の子・モッちゃんの何ということもない日々をつづった、
今で言う“癒し系”や“ほのぼの系”に当たるのではないかと思う。
まあ作者にそんな意図があったかどうかは不明だが。

それにしても、すごいネーミングだ。本名は何と言うのか、気になって仕方がない。
「モエ」とか「モモ」とかなのだろうか。この作品が描かれた時代を考えると、ずいぶん前衛的な名の主人公である。
でも、それなら普通は「モエちゃん」や「モモちゃん」と呼ばないか？
主人公の名前ひとつでここまで考えさせる作品はそうはないだろう。

また本書の特徴の1つとして、セリフ（吹き出しに入っている文字）がすべて手書きであることが挙げられる。
これは、読んだ者にしか分からないのだが、想像以上に読み応えがあるのだ。
しかも、当時の文法は今とは異なる部分があり、何を言っているか分からないため何回も読み直し、意味を理解するまでに3分以上かかるセリフも珍しくない。
そして失礼な話だが、お世辞にも上手いとは言えない字である。
最初に読むときはセリフを追うだけでヘトヘトになるので、絵をゆっくり眺める余裕などはとてもない。
1回最後まで読んだあと、改めて読むことで「漫画としての楽しさ」が伝わってくる。
1粒で2度おいしい作品、とまで言うと言いすぎだろうか。

さらに本書には、モッちゃんが主人公の「シャボン玉天使」以外に、下記の3タイトルが収録されている。
・かれはと夢とさつたばと
・ポッポの冒険（原作：椎名竜治）
・雪の夜の出来事
このうち、「シャボン玉天使」と「ポッポの冒険」の2つは、これまでに発売された単行本には収録されていない。
今回の「シャボン玉天使」刊行に当たり、単行本としては初めて世に出た作品である。
永島慎二のファンの方は、この機会にぜひご購読いただきたいと願う次第だ。
通信販売でも購入は可能なので、遠方の方もぜひご利用ください。

なお、本書は万人に等しく薦められる、という類の代物ではない。
永島慎二ファン以外の方だと、下手をしたら後悔する可能性さえあるのではないかと危惧してしまう。
なので、無理に薦めることはしないが、1度この作品を見てほしい、触れてほしい。
実際に読んでみれば、この作品が持つ何かを感じることができるはずだ（その何かは、人によって違うだろうが）。

まんだらけ小倉店では、本書の見本誌を用意し、誰でも立ち読みできるようにしている。
永島慎二を知らない若い漫画ファンの方、ぜひ1度まんだらけ小倉店にご来店ください。

通販はコチラから

(担当福井)