2015年まんだらけで売れた本ランキング / 少年+青年コミック篇

遅くなりましたがあけましておめでとうございます。岩井です。 2015年も終って、去年の大きなコミックランキングの結果としては「ダンジョン飯」であり「ゴールデンカムイ」だったわけですが、まんだらけでもスタッフが選ぶベストを公開しています。 うちは古本屋ですから、何年何月から何月までに発表された本とか、既刊で8冊までの本とか、そういう縛りはなく単純に「今年読んだ本」のランキングだということ、あと個人の好みを合算しても意味がない(バラけすぎてて集計不能ということもあるが)ので、合計もだしませんが、参考にどうぞ。 「まんだらけスタッフがえらぶ2015ベストコミック」 http://www.mandarake.co.jp/information/column/iwai/2015best/ 本のスタッフとはどういうものかといいますと、 ・買取する人は一週間に4000冊買取り ・店頭で補充する人はそれと同じ数を埋める という過酷な毎日を送っています。もちろん一番買い取ってて売れるのは旬の作品と人気作の単行本ですが、古本屋だけあり、ONE PIECEの最新刊と同時に、藤崎竜の「THE WORLDS」だの「魁!男塾」が一緒に買い取られたり、「亜人」と一緒に「ゴリラーマン」だの「パイナップルARMY」を埋める、みたいな時代の異なるマンガが同時に処理されたりしているわけです。これは扱い年代が広いマンガ古本屋の特質であり、基本的に最新刊近辺の取扱いが大半である新刊書店と、古本チェーン店ではなかなかおき得ない事象でしょう。 そこが古本屋らしいといえばらしいのですが、もっともマスである層から支持されるものは新刊も古本も同じで、たとえば3大出版社が牛耳る少年の新書だと、進撃・ワンピ・ナルト・ワンパンマン・・・と、新刊書店と売上構成タイトルは変わり映えしません。 少年週刊誌の単行本が出されている、一般的なサイズ、いわゆる新書サイズでのランキングです。 1位 進撃の巨人 16巻 2位 NARUTO 72巻 3位 アルスラーン戦記 3巻 4位 ワンパンマン 8巻 5位 ONE PIECE 77巻 なんと面白みのない順位でしょうか・・・。 気になったことを幾つか記しますと ◆ジャンプの圧倒的強さ・サンデーの退潮 巻数単位での上位100位を調べると、今年出た新刊の比較的上半期に出たものが引っかかりやすい傾向があります。累計売上なので、進撃の巨人であれば18巻よりも17巻、それよりも16巻が累計で数字が上になるわけで、現実15年度の売上一位は進撃16巻と、面白みのないランキングではありました。 ただ、講談社が100位に食いこんでくるのは結局のところ進撃と七つの大罪、アルスラーン戦記だけで、それ以外のタイトルは100位には入ってきません。100中23が講談社で、のこりはほとんどジャンプです。 どれくらいかというと、100位のうち75%がジャンプ系。・・・って、どんだけ売れてるんじゃ!ってほど。 小学館はといいますと、上位30位にギリギリ「銀の匙」13巻が入ったものの、あとは50位に「だがしかし」がランクイン。それ以外はありません。今年は怒涛のアニメ化作品○連発だ!と展開したものの、アニメが既に終った銀の匙と、アニメが16年からはじまる「だがしかし」だけだったのが寂しいところ。話題になった「MAJOR 2nd」も、新刊出るたびバカ売れする「名探偵コナン」「マギ」も、100位には入らないのです。 まあ逆に言えばアニメ化ばかりのジャンプ陣に対抗しえた「だがしかし」がすごいともいえますが、単行本1巻が発売後1ヶ月くらい品薄状況で欲しい層が古本市場に流れ込んだともいえます。 100位以内に秋田書店はゼロ。弱虫ペダルがドカっと売れた印象がありますが、ペダルが出てくるのは106位から。 ただ、何年か前には圧倒的な強さを誇ったワンピが1位を譲った上、最終巻が出て再読機運が高まったナルトにも抜かれるというのは印象的ではありました。 調べてはいませんが、たぶん新刊ではワンピのほうが上だったんじゃないでしょうか。刷部数に関しても、ワンピの1位というのは揺らいでいないと思います。買取に関しても2・3年前のワンピの圧倒的な品不足はなくなり、手放す方が増えたかな・・・と。よそを見てみても市場のダブつきはなんとなく感じます。 ◆DBの耐久度 そんなわけで新書ともなると発行ここ1・2年のものがずらっと並び続けてつまんないので5位までしか公表しませんでしたが、ここ10年くらいの発行のもので未だに強いタイトルは何かとランキングを遡っていくと、478位にやっと「ドラゴンボール(旧装)」1巻が出てきました。サンデー一押しの「MAJOR 2nd」の2巻とかチャンピオンの「魔法少女オブ・ジ・エンド」よりも売れています。 新作DBがあったとはいえ、10年以上前のDBがいまでもこれだけ売れているのはさすがといえましょう。 つづいては青年誌系が多いB6サイズの本のランキングです。こちらは青年誌のサイズ、B6サイズに区切ってのランキングです。 1位 ダンジョン飯 1巻 2位 東京喰種:re 1巻 3位 月刊少女野崎くん 6巻 4位 坂本ですが? 3巻 5位 東京喰種:re 2巻 6位 聖☆おにいさん 11巻 7位 魔法使いの嫁 3巻 8位 魔法使いの嫁 2巻 9位 干物妹!うまるちゃん 1巻 10位 東京喰種 1巻 「みんなが思ってた今年1位が、やっぱり1番売れてました」な1位はともかくとして、トーキョーグールがドカドカランクイン、そして「今年一番面白かった!」と声を上げられる作品ではなくとも「月刊少女野崎くん」「坂本ですが」が入ってくる上位陣です。 「ダンジョン飯」と今年の話題をさらった「ゴールデンカムイ」はこれよりもずっと下がって、75位と大きく差がついてしまいましたが、中古市場での品薄感がなければもっと上位に来たかもしれません。ここらへんが中古と新刊市場での差ともいえそう。おなじことは同じく今年の高ランカーだった「波よ聞いてくれ」にもいえます。中古の数が足りない、と。 中古市場特有といえば、「坂本ですが」3巻は入ってくる数も多かったから、買い得感のある値段まですぐに下がってきたというのもあるかもしれません。 基本、みんなが買って、みんなが手放して、在庫が過多になれば(売値も買取も)値段は落ちてきます。けっこう前の「坂本ですが」1巻が66位に入ってたりするのもおなじ理由です。 同じような理由で阿部共実「ちーちゃんはちょっと足りない」が158位に入っています。心に来る作品と評価が高い上に税抜250円と手を出しやすい金額だからでしょうね。 おなじあたりの順位で横槍メンゴ「君は淫らな僕の女王」がランクインしているのも興味深い。B6サイズの本は売価300円くらいが平均な中、3年前の本が450円で売れ続けているというのは、古本屋からしてみると驚異的であります。 ◆旧作掘り返し また古本の需要は「人気作家の過去作追い」が新刊書店のスキマを埋めるものとして出てきやすいのですが、ここでも「ダンジョン飯」の九井諒子さんの過去作「ひきだしにテラリウム」が202位、「竜の学校は山の上」が233位、「竜のかわいい七つの子」が241位にはいっていたり、「黒博物館ゴーストアンドレディ」が売れた藤田和日郎の旧作「黒博物館スプリンガルド」(483位)が探されたりしていたようですね。 しかしB6サイズは参入出版社が少年コミックスの新書とは比べ物にならないほど多いので、ある程度の色や特色を見つけるのが難しいですね。旧作も上位500位にはほとんど入ってこなかったり。 ◆大ヒットがあれば維持できるマイナー誌たちと、ビッグコミック系の厳しさ ただ、雑誌ごとでなにが1番というのはわかりやすかったです。 雑誌ごとの単行本売上の上位作が戦っている図という見方もできますね。 ヤンジャン1位「トーキョーグール」2位 ヤンマガ1位「監獄学園」16位 good!アフタヌーン1位「亜人」34位 ハルタ1位「ダンジョン飯」1位 ハルタ2位「坂本ですが?」4位 モーニング・ツー1位「聖☆おにいさん」6位 月刊コミックガーデン1位「魔法使いの嫁」7位 月刊Gファンタジー1位「黒執事」14位 月刊少年ガンガン1位「はんだくん」21位 月刊コミックジーン1位「ニーチェ先生」23位 まんがタイムきららフォワード1位「がっこうぐらし!」53位 まんがライフSTORIA1位「ラーメン大好き小泉さん」54位 ガンガンJOKER1位「賭ケグルイ」64位 ヤングガンガン1位「WORKING!!」65位 モーニング1位「鬼灯の冷徹」72位 コミックリュウ1位「モンスター娘のいる日常」74位 コミックバンチ1位「GANGSTA.」82位 電撃大王1位「よつばと!」84位 ヤングアニマル1位「3月のライオン」88位 (オンライン系) ガンガンオンライン1位「月刊少女野崎くん」3位 WEBコミックぜにょん1位「北斗の拳イチゴ味」65位 WEBヤンマガ1位「亜人ちゃんは語りたい」90位 と、主要な雑誌のトップ駒が揃っているわけですが、マイナー誌も少なくありません。でもこれらがバカスカ売れているからこそ雑誌が存続できているという。 しかし、ここまで順位を下げても、まだあの雑誌からはひとつもランクインしてません。そう、ビッグコミックスピリッツです。 月刊スピリッツ1位「恋は雨上がりのように」95位 と95位に月刊スピリッツが入りましたが、週刊はまだ出てこない。 そうこうしているうちにやっぱり名前が出てきてなかった アフタヌーン1位「げんしけん」102位 イブニング1位「いぬやしき」108位 がやっと出てきても、まだ出てこない。スピリッツ1位が出てくるのはやっとこここで、100位には入っていないのです。 コミックフラッパー1位「となりの関くん」115位 スピリッツ1位「アイアムアヒーロー」116位 ヤングキングアワーズ1位「ドリフターズ」117位 コミックエース1位「僕だけがいない街」121位 兄弟誌のビッグコミック、オリジナル、スペリオール、はそれぞれこれよりも下。 サンダーボルトが171位で、それ以外は200位以下だったかな? オリジナルの1位は「BLUE GIANT」でしたね。 とはいっても、オリジナルとビッグコミックスは新刊単行本よりも過去作のコンビニ単行本売上のほうがひょっとしたら大きいかもだし、雑誌での売上を重視してるとも感じます。 単行本売上によって雑誌は支えられており、雑誌単体の売上ではカバーできないマイナー誌があるのは当然ですが、スピリッツは知名度の割りに単行本売上でドカンときてるのがすくないのは感じました。「恋は雨上がりのように」が月スピから週スピに移籍するというのもこのあたりの事情があるのかもしれませんな。 まだ名前が出てない秋田書店系、双葉社系、サンデーGX、ヤングキング、コミックアライブ、月刊シリウスなどは、最も売れてる作品でも上位200位に入ってこない状況。 なにげにですが、電撃系も沈んでて「よつばと!」がなかったら連載陣の1位が「とある科学のレールガン」368位とかになってしまうところでした。コミックアライブもアニメ化がらみのラノベコミカライズが多い印象ですが、マンガの単行本は冴えません。 もっともこの2誌に関してはラノベの売上のほうがはるかに大きく、雑誌展開はラノベノコミカライズ中心でしょうから、そのあたりもなんともいえないでしょうね。 またこの2誌と一迅社系はゲームとの関係性が深く、ゲームのアンソロ・・・たとえば艦これであったり、ラブライブであったり、刀剣乱舞だったり・・・のアンソロジー集が売れてて、それらはサイズ的にはA5サイズになるため、こちらでは売れ行きが表面化していないのかもしれません。 というわけで、まずは一旦ここまでで。次回はA5と成年コミックの売上ランキングを見てみましょう。

中野店 岩井

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