お久しぶりです、僕です、岩井です。・・・って、これは僕が「本の雑誌」で書いてたころの出だしのテンプレですな。
更新実に2年ぶり。2年間って長いですね。生まれたてのネコだって2年たてば体重が20倍にもなりますが、この2年で数値がよくなったのは尿酸値だけ、悪くなったのは血糖値にHbA1cに肝機能に・・・と、中年は2年でよくなることなどなにもない。中年の夏・真っ盛りな岩井です。
この更新は2年ぶりですが、僕が入社してからの15年くらいで、うちの会社もズンドコドッコと大きくなっており、この2年でいつのまにやら東証二部。
しかしまあ、世間の人が想像する東証2部のお堅いイメージと店員のイメージは大きく齟齬をきたし、高円寺の古着屋と大差ないフリーダムさです。接客業なのに。
スーツ着用者は社内に数人いる程度で、服装は自由、いつなんどきでも自由に上司の許可なくコスプレ出社していい。なにしろ頭髪規定もなく、タトゥーも顔ピアスもお咎めなし、それどころかだいたい社長がむかしモヒカンだったくらいです。
さすがに上半身裸にエプロンで勤務しようとした奴はとがめられましたが、それは規定云々というよりお客様のほうがビビるからだと思います。
なんで、ヒゲくらいは当たり前でだれもなんとも思いません。それくらいヒゲ率高いわが社ですが、廊下を歩いているうちの男性スタッフを見かけ、この人なんの部署かしらと思ったら、ヒゲを見てください。ヒゲが生えてるのは大半、ビンテージのスタッフかトイのスタッフです。ヒゲがなかったら少年(本)スタッフだ。何故かしら、僕が所属するコミック担当はというと、ヒゲ率が低いのが特徴です。
これはあれですかね、入社して毎日「少年スタッフ手伝って」とか「少年ちょっとこっちこい」と、少年少年呼ばれてると、中身はただのオッサンにも関わらず、少年であらねばならない、当然見かけもだ、ヒゲなんてありえないと刷り込まれたりするんですかね。お客様からしたら、どう見てもあらゆる数値が悪そうな中年まで「少年」と呼ばれてるのを見て、大いに首をかしげるところではないかと思いますが、ここはひとつショウネンということでよろしくおねがいします。
さて僕もヒゲははやしてない派ですが、しかしマンガ作中におけるヒゲにはうるさいのです。うっかり作者がヒゲキャラのヒゲを描き忘れられると、これが気になって仕方ないんですよ。
最初に気になったのはやはり僕ならではというか「美味しんぼ」ですね。
これが荒川のダンナこと、写真家の荒川さん。
彼が「狂った戦争」「ラーメン三銃士」で有名な美味しんぼ38巻にけっこう回数多く登場するんですが、花咲アキラ先生が何箇所も何箇所もヒゲを描きわすれているわけですよ。それが実に5箇所も!単行本1冊で!
ちょっと多すぎないですかね。
これが初めて読んでたときから気になって気になって、まず雑誌連載後、単行本で修正されたかどうかを確認したわけですよ。・・・されてませんね・・・。
ここでたいていの人は「単行本修正されなかったんだナ」と見過ごすところですが、なまじ古本体質だと「単行本でて誰かが指摘して、再版されたときに修正されてるかも知らんぞ」となどと懐疑的に考えたりするのが厄介なところです。
で、再版が出て、知恵袋にゆとり主婦みたいな書き込みがされてないかどうかチェックする50代のオバサンみたいな粘着質な目で、荒川さんのヒゲが書き加えられたかどうかをチェックすると・・・されてませんね。まあそうだよな、版の作り直しになるから、これくらいじゃ修正しないわな・・・。
さてそれから7・8年経って、バブルだった美味しんぼ世界もすっかり沈静化したころに「美味しんぼ」文庫版が出たわけですよ。ここでまた古本体質がもたげてくるわけです。文庫時に修正かかってるんじゃないかと。
それでまたナチス狩りするイスラエル情報部みたいな目つきでもって荒川さんをみると・・・修正されてませんね・・・というわけで、この何年かのあいだ、花咲アキラに期待しつつ、アキラにだまされてきたというわけです。
こういうね、ヒゲとかの管理というか描き忘れって、外人キャラ率=ヒゲキャラ率が圧倒的に高いゴルゴ13なんかだと、逆に完璧なわけですよ。ゴルゴでひげかき忘れだろコレ、っておもったことないもん。これは関わるスタッフが多いのと、編集さんが優秀なんでしょうね。
ところが今週のヤングマガジンがすごかった。荒木光さんの「ぼくたちがやりました」。作中に主人公のホームレス化をたすける「ヤングさん」っていう中年が出てくるんですけれど、
そのヒゲの描きわすれ、実に4箇所ですよ。それも美味しんぼみたいに「1冊で」何箇所じゃない、「1話で」4箇所です。
いやあこれはさすがに多いでしょう。荒木先生のミスだろうけれども、気がつかない編集さんもマズいと思う。この回、主人公がカマ掘られそうになるっていう急展開かつ笑いの要素もある回だけれど、ヒゲが気になって印象薄くなっちゃいましたよ!
この荒木光さんは前作の「碇石くん」シリーズが僕すごく好きで。ゴリラーマンの10年代の高校生群像での再咀嚼というか、底辺高校生の青春が描かれてて、それでいてリアルな未来のなさも未来の大きさもあって。
荒削りだけれど印象に残る青春を描ける、ヤンマガ直系の作家さんだよなと思ってたんですよね。次作のコレもイラっとするキャラばかりが自陣営っていうなかなか絶妙な設定でかつ青春群像になってて読まされるんですけれど、さあはたして単行本の3巻か4巻で、このシーンは直されているのでしょうか。そこが古本体質だと気になってしょうがないのです。
というわけで、古本体質になりたいな、HbA1cもあんまり数値良くないし、体質的に古本いれてみてもいい頃合かもしれないな、と思った貴兄は、僕といっしょに単行本をネチっこい目つきでチェックしてみましょう!
え、しない、HbA1cも水準値、まあそれは健康でいいことですよね、健康が一番ですわね・・・
さて2年間のブランクの間、まんだらけにも大きな変化がありました。
その究め付けが今年できたSAHRAという倉庫。
関東某所に、これが一古本屋の倉庫か? と思うような要塞を思わせる倉庫が出来たのです。最初に見たときは「あれアン・チェインが自分の顔を囚人たちに描かせてもおかしくないカンジの施設だよな」と思ったくらいの代物ですが、でかいだけあり入ってる本の種類も半端ないです。
戦後から2015年11月発行のマンガまでが、この物量と種類の厚みで納まってるところってまあないんじゃないでしょうか。で、その収まってる本の大部分を通販で売ってます。この物量と種類を、です。
正直、できることなら、自分が読んだマンガ全てを紹介したい! 読んだ本に全部レビューをつけてみたいっていうのが、さっきも言った「古本体質」なんです。これはもう性分というか、そういうもんだとあきらめるほかありませんが、やっぱり物量的にムリなんです! なので、僕以外のスタッフにも助けてもらって、最近のマンガから戦後のマンガまで、どんどん紹介コラム書いていこうと思います。もう少ししたらガンガン更新してきますよ!
たとえばこれが本日紹介したマンガたち。
講談社 荒木光「僕たちがやりました」
記事書いてる間に「僕たちがやりました」2巻は売り切れちゃいましたね。でも、2巻は出て間もない新刊なんですよ! それくらいの新刊もすぐに入荷するのがうちの強みです。
講談社 荒木光「ヤンキー塾へ行く」
講談社 荒木光「塾生碇石くん」
こちらは荒木光さんが注目されるきっかけになった「ヤンキー塾へ行く」とその続編「塾生碇石くん」。荒木さんは絵が上手いなと思った2作目。
ついでに美味しんぼの38巻と、文庫版26巻もどうぞ。ラーメン三銃士出てくるこの38巻の特集は、次か、次の次かくらいの僕の記事でやる予定です!
というわけで、しばらくこのページを借りて、中年も含む「ショウネン」スタッフたちが、いろんなマンガをレビューしていきます。目標としては、12月からは毎日やりたいな・・・なんて思ってます。
2年ほったらかしてた間に今まで読んでくれていた方も減ってしまいましたが、これからもよろしくお付き合いのほどを。
(岩井)
更新実に2年ぶり。2年間って長いですね。生まれたてのネコだって2年たてば体重が20倍にもなりますが、この2年で数値がよくなったのは尿酸値だけ、悪くなったのは血糖値にHbA1cに肝機能に・・・と、中年は2年でよくなることなどなにもない。中年の夏・真っ盛りな岩井です。
この更新は2年ぶりですが、僕が入社してからの15年くらいで、うちの会社もズンドコドッコと大きくなっており、この2年でいつのまにやら東証二部。
しかしまあ、世間の人が想像する東証2部のお堅いイメージと店員のイメージは大きく齟齬をきたし、高円寺の古着屋と大差ないフリーダムさです。接客業なのに。
スーツ着用者は社内に数人いる程度で、服装は自由、いつなんどきでも自由に上司の許可なくコスプレ出社していい。なにしろ頭髪規定もなく、タトゥーも顔ピアスもお咎めなし、それどころかだいたい社長がむかしモヒカンだったくらいです。
さすがに上半身裸にエプロンで勤務しようとした奴はとがめられましたが、それは規定云々というよりお客様のほうがビビるからだと思います。
なんで、ヒゲくらいは当たり前でだれもなんとも思いません。それくらいヒゲ率高いわが社ですが、廊下を歩いているうちの男性スタッフを見かけ、この人なんの部署かしらと思ったら、ヒゲを見てください。ヒゲが生えてるのは大半、ビンテージのスタッフかトイのスタッフです。ヒゲがなかったら少年(本)スタッフだ。何故かしら、僕が所属するコミック担当はというと、ヒゲ率が低いのが特徴です。
これはあれですかね、入社して毎日「少年スタッフ手伝って」とか「少年ちょっとこっちこい」と、少年少年呼ばれてると、中身はただのオッサンにも関わらず、少年であらねばならない、当然見かけもだ、ヒゲなんてありえないと刷り込まれたりするんですかね。お客様からしたら、どう見てもあらゆる数値が悪そうな中年まで「少年」と呼ばれてるのを見て、大いに首をかしげるところではないかと思いますが、ここはひとつショウネンということでよろしくおねがいします。
さて僕もヒゲははやしてない派ですが、しかしマンガ作中におけるヒゲにはうるさいのです。うっかり作者がヒゲキャラのヒゲを描き忘れられると、これが気になって仕方ないんですよ。
最初に気になったのはやはり僕ならではというか「美味しんぼ」ですね。

これが荒川のダンナこと、写真家の荒川さん。

彼が「狂った戦争」「ラーメン三銃士」で有名な美味しんぼ38巻にけっこう回数多く登場するんですが、花咲アキラ先生が何箇所も何箇所もヒゲを描きわすれているわけですよ。それが実に5箇所も!単行本1冊で!

ちょっと多すぎないですかね。
これが初めて読んでたときから気になって気になって、まず雑誌連載後、単行本で修正されたかどうかを確認したわけですよ。・・・されてませんね・・・。
ここでたいていの人は「単行本修正されなかったんだナ」と見過ごすところですが、なまじ古本体質だと「単行本でて誰かが指摘して、再版されたときに修正されてるかも知らんぞ」となどと懐疑的に考えたりするのが厄介なところです。
で、再版が出て、知恵袋にゆとり主婦みたいな書き込みがされてないかどうかチェックする50代のオバサンみたいな粘着質な目で、荒川さんのヒゲが書き加えられたかどうかをチェックすると・・・されてませんね。まあそうだよな、版の作り直しになるから、これくらいじゃ修正しないわな・・・。

さてそれから7・8年経って、バブルだった美味しんぼ世界もすっかり沈静化したころに「美味しんぼ」文庫版が出たわけですよ。ここでまた古本体質がもたげてくるわけです。文庫時に修正かかってるんじゃないかと。
それでまたナチス狩りするイスラエル情報部みたいな目つきでもって荒川さんをみると・・・修正されてませんね・・・というわけで、この何年かのあいだ、花咲アキラに期待しつつ、アキラにだまされてきたというわけです。
こういうね、ヒゲとかの管理というか描き忘れって、外人キャラ率=ヒゲキャラ率が圧倒的に高いゴルゴ13なんかだと、逆に完璧なわけですよ。ゴルゴでひげかき忘れだろコレ、っておもったことないもん。これは関わるスタッフが多いのと、編集さんが優秀なんでしょうね。
ところが今週のヤングマガジンがすごかった。荒木光さんの「ぼくたちがやりました」。作中に主人公のホームレス化をたすける「ヤングさん」っていう中年が出てくるんですけれど、

そのヒゲの描きわすれ、実に4箇所ですよ。それも美味しんぼみたいに「1冊で」何箇所じゃない、「1話で」4箇所です。




いやあこれはさすがに多いでしょう。荒木先生のミスだろうけれども、気がつかない編集さんもマズいと思う。この回、主人公がカマ掘られそうになるっていう急展開かつ笑いの要素もある回だけれど、ヒゲが気になって印象薄くなっちゃいましたよ!
この荒木光さんは前作の「碇石くん」シリーズが僕すごく好きで。ゴリラーマンの10年代の高校生群像での再咀嚼というか、底辺高校生の青春が描かれてて、それでいてリアルな未来のなさも未来の大きさもあって。
荒削りだけれど印象に残る青春を描ける、ヤンマガ直系の作家さんだよなと思ってたんですよね。次作のコレもイラっとするキャラばかりが自陣営っていうなかなか絶妙な設定でかつ青春群像になってて読まされるんですけれど、さあはたして単行本の3巻か4巻で、このシーンは直されているのでしょうか。そこが古本体質だと気になってしょうがないのです。
というわけで、古本体質になりたいな、HbA1cもあんまり数値良くないし、体質的に古本いれてみてもいい頃合かもしれないな、と思った貴兄は、僕といっしょに単行本をネチっこい目つきでチェックしてみましょう!
え、しない、HbA1cも水準値、まあそれは健康でいいことですよね、健康が一番ですわね・・・
さて2年間のブランクの間、まんだらけにも大きな変化がありました。
その究め付けが今年できたSAHRAという倉庫。
関東某所に、これが一古本屋の倉庫か? と思うような要塞を思わせる倉庫が出来たのです。最初に見たときは「あれアン・チェインが自分の顔を囚人たちに描かせてもおかしくないカンジの施設だよな」と思ったくらいの代物ですが、でかいだけあり入ってる本の種類も半端ないです。
戦後から2015年11月発行のマンガまでが、この物量と種類の厚みで納まってるところってまあないんじゃないでしょうか。で、その収まってる本の大部分を通販で売ってます。この物量と種類を、です。
正直、できることなら、自分が読んだマンガ全てを紹介したい! 読んだ本に全部レビューをつけてみたいっていうのが、さっきも言った「古本体質」なんです。これはもう性分というか、そういうもんだとあきらめるほかありませんが、やっぱり物量的にムリなんです! なので、僕以外のスタッフにも助けてもらって、最近のマンガから戦後のマンガまで、どんどん紹介コラム書いていこうと思います。もう少ししたらガンガン更新してきますよ!
たとえばこれが本日紹介したマンガたち。
講談社 荒木光「僕たちがやりました」
記事書いてる間に「僕たちがやりました」2巻は売り切れちゃいましたね。でも、2巻は出て間もない新刊なんですよ! それくらいの新刊もすぐに入荷するのがうちの強みです。
講談社 荒木光「ヤンキー塾へ行く」
講談社 荒木光「塾生碇石くん」
こちらは荒木光さんが注目されるきっかけになった「ヤンキー塾へ行く」とその続編「塾生碇石くん」。荒木さんは絵が上手いなと思った2作目。
ついでに美味しんぼの38巻と、文庫版26巻もどうぞ。ラーメン三銃士出てくるこの38巻の特集は、次か、次の次かくらいの僕の記事でやる予定です!
というわけで、しばらくこのページを借りて、中年も含む「ショウネン」スタッフたちが、いろんなマンガをレビューしていきます。目標としては、12月からは毎日やりたいな・・・なんて思ってます。
2年ほったらかしてた間に今まで読んでくれていた方も減ってしまいましたが、これからもよろしくお付き合いのほどを。
(岩井)
中野店 岩井