8月6日8時15分。 「はだしのゲン」集英社文庫版 全5巻 汐文社版で全10巻ですが、集英社文庫版は諸事情あって5巻で未完になってしまっています。 妹の友子が死に、ゲンの頭に毛が生えてきて完、という非常に中途半端な終わり方。 ゲンの生きるための苦しみはむしろここから始まるのです。 ここで終わるとは何事でしょうか。当時の集英社の体質を疑います。カバーヤブレありで1050円。 「はだしのゲン」絵本版 こちらも小学校に常備されていた「はだしのゲン」の絵本。 原爆投下後の広島が無残絵さながらに描かれています。 ガラスが刺さった人、黒焦げの死体、特高の拷問や沖縄の悲劇などがこれでもかと表現され、 ふだんふつうに与えられている平和という状態のありがたみを感じさせずにはいられません。1575円。 「はだしのゲンはピカドンを忘れない」岩波ブックレット はだしのゲンの作者、中沢啓治氏による、原爆の実体験手記です。 小学一年のときに広島で被爆。 原爆のさなか母が産気づき妹を産み落とした、 というゲンにも出てくる有名なエピソードは実際にあったことだそうです。 あまりに生々しい原爆の被害の描写で、初読時は首の裏がずっと震えっぱなしでした。 被爆して全身やけどを負った人がいくら「水をくれ」と訴えても、水を飲みおえると同時に、 ホッとして延命への執念の糸が切れ、みな死んでしまうので、ヤケド者には水を飲ますなという噂が広まった・・・とか、 全身ヤケドを負った人たちは畑の野菜の上がひんやりして気持ちいいことを知り、みなそこで倒れていたとか、 戦後すぐアメリカの原爆傷害調査委員会ことABCCが乗り込んできて核戦争を想定して被爆者のデータを広島で採取しまくっていたとか、 「8月6日に広島にいた」人でしか知りようがないエピソードばかりです。315円。 「ピカドン」 木下蓮三、木下小夜子らによって製作されたアニメ「ピカドン」のフィルム映像集です。 8月6日の悲劇をドラマチックでも静かに描き出しています。 僕はこのアニメは見たことがないのですが、中学校など学校でよく上映されていたそうです。 子供を抱いた母親が、一瞬で赤いゼリー状の死体になってしまうシーンは涙なくしては見れません。1575円。 「夕凪の街 桜の国」こうの史代 戦後多くの日本人が「ヒロシマ」そして「原爆」を意識的に避けつづけ60年たちました。 そのことに不自然さを感じた筆者・・・被爆者でも被爆2世でもない、 原爆を経験していない世代が・・・もう一度自分の住む町に起こったことを振り返って描いた物語。 日々を普通に生きていた人にとっての原爆、そして放射能の恐ろしさ。淡々と描かれる日常から、突如終末に。 たった35ページの短い物語ですが、読み終わったあとの切なさはそのページ数の何倍もの量で襲ってきます。 多くの人に読んでもらいたい良作です。420円。 「原爆はわたしにとって、遠い過去の悲劇で、同時に「よその家の事情」でもありました。 怖いということだけ知っていればいい昔ばなしで、何よりも踏み込んではいけない領域であるとずっと思ってきた」 「原爆も戦争も経験しなくとも、それぞれの土地のそれぞれの時代の言葉で、平和について考え、伝えてゆかねばならない」 ・・・こうの史代さんも、こうあとがきで触れていましたが、 原爆に関してはどこかよそよそしい態度を僕らはとってきたのだと思います。 そしてそれが不自然なことをしりつつも。 終戦記念日である今日は、平和を享受していることのありがたみをもう一度かみ締めるため、これらの作品に是非触れてください。
(担当 岩井)
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