一人暮らしの女の子から部屋で猫とか小動物を飼ってるという話を聞くと「この人は幸薄そうだな〜」とすこしひいてしまうのはなぜでしょう。 猫とか犬に癒しを求めるのはまだ孤独も軽い感じですが、それがカラスになるとちょっと・・。孤独も立派な死に至る病なのでだいぶ心配です。 今回ご紹介するのは夜の闇の中でカラスのモノクロ写真を撮りまくった深瀬昌久の代表作「鴉 RAVENS」。 彼は何年も何年もカラスを追いかけたわけですが、カラスが好きだったのでしょうか? カラスという不吉なイメージのつきまとう都会のきらわれ者に自分を重ねてみたのでしょうか? 群れるの大好きなカラス。 暗闇の中虎視眈々とチャンスを狙っているカラス。 厳しい雪国の自然に力尽きて雪に埋もれたカラス。 無念!かかしの変わりに晒しモノにされたカラス。 都会も我が物顔で飛び回るカラス。 夜の闇に溶けて得たいの知れない不気味な存在になってるカラス。 カラス以外の写真ももちろんいろいろあって、よく紹介される名スナップも多いのですが、あくまで主役はカラス=カラスを見つめ続けた深瀬自身の闇です。 海外での評価が高いのも、80年代の写真集の中ではもっとも古書価の高い一冊として写真好きの羨望の的になっているのもそれだけ特別ななにかがこの本にはあるから。 複製芸術にはアウラがないと言ったベンヤミン先生もたぶんこの写真集には例外を認めてくれることでしょう。ページをめくるたびにアウラがあるある!と思います。 日本が世界が誇る、と言っても写真好き以外には一般的にはほとんど有名でない傑作写真集。 この世界を知らないで人生を終わるのは表現とか芸術とか孤独とかを大事にしたいと思って生きている人にはとてももったいないことだと思います。 深瀬昌久「鴉RAVENS」蒼弓社、1986 函少イタミ ¥294000
(担当 にのみや)
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