煉瓦づくりの壁側の席の白熱燈の下でグラスビールを片手に文庫本を読んでゐる様子でした。
平日の白昼、女性が一人で薄闇い喫茶店でタンゴを聴きながら酒を愉しむといふ情景は、その真面目さうな外見と齟齬があって、却ってハードボイルドな印象を醸してをり、そして手にしてゐたのが岩波の「青」だった為、ますます硬派な感じがして素直に「格好いゝなァ」と思ひました。
岩波文庫の「青」といへば思想・哲学・宗教などの硬派な内容が多く、内容を理解してなくたって読んでゐるだけ、持ってゐるだけで格好宜しい。
さういふ別格の魅力が岩波文庫にはあるでせう(ほんたうのマニアは帯無しカバー無しでせうけど)。
今回ちょっと調べたら岩波文庫はすべて小口の上部分をカットしてない、とのことでその素晴らしくムダな拘はりに更らに感心した次第です。
文庫だからと云っても岩波文庫、とくに「青」はブッ○オフにだってそんなにありません、特価本には尚更落ちてません。
外見だけでなく、内容の質が高いといふことです。
そんな岩波「青」のなかでも選りすぐりのものを数点ピックアップします。
まづタオ文献のなかでも忘れられガチな『列子 上・下』(二冊セット\525)です。
個人的に列子が大好きでして、この岩波のはさんざん探したのに見つからなかったところ、何故か回教徒の友人が持っててロハで呉れたといふ思ひ出のある一品です(間もなく再版になりまして市場価値的には貴重ではなくなりましたが)。
次に以前も別のバージョンで紹介した『臨済録(臨済宗の祖)』(\210)。「逢ったものはすぐ殺せ。仏に逢えば仏を殺し、祖師に逢えば祖師を殺し、羅漢に逢ったら羅漢を殺し(97頁)」といふ激烈な一文で有名な禅書。岩波版は訳がシックリ来ます。
あと『盤珪禅師語録(鈴木大拙編)』(\105)とか西洋思想上絶対に欠かせないアリストテレスの『ニコマコス倫理学 上・下』(二冊セット\315)など東洋西洋問はず色々ありますので是非。
(担当 山口ケン)
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