石川賢先生といえば永井豪先生のお弟子さんであることは非常に有名だと思います。
永井豪先生はゴラクで「激マン」という永井豪版「まんが道」、というにはあまりにもファンタジー過ぎて「男の星座」化が激しい漫画でまだまだ強烈な存在感を放っています。
その「激マン」の中にもちょっと出てきた有能なアシスタントが石川賢先生なわけですが、その特徴は師匠の永井先生も自分より上手いと認めている苛烈なバトル描写とバイオレンスといえるでしょう。
また、その壮大なストーリーも大きな特徴となっています。著名なゲッターロボサーガだけではなく、様々な作品を文字通り融合させることによって壮大過ぎる残酷宇宙神話を描いた「虚無戦記」など、風呂敷を広げすぎて黙示録が始まった素晴らしい作品達を数多く残しています。
ちなみに名前は石川賢ですが、出身は栃木県。石川県ではありません。
そんな石川賢先生によって漫画化された「神州纐纈城」。
原作は国枝四郎のよって大正時代に連載された伝奇小説の傑作とのことです。
いまでは伝奇ものというと漫画や小説では割とポピュラーなジャンルになっていますが、すでに大正時代にもこんな作品があったわけです。
この作品はその漫画化なわけですが、どんな作品かというと一言で言えばまさに石川先生の持ち味が十分に生かされた残酷残虐和風ファンタジー。
石川先生の後期の筆は精密でありながらもど迫力、という奇跡のバランスを保っており、この作品においてはその頂点に位置するといっても過言ではないほどの筆の冴えを見せています。
なぞの纐纈城の存在感と、その中で繰り広げられる様々な拷問と死闘を雰囲気タップリで表現し尽くしています。
化け物や魑魅魍魎だけでなく、なんでか武田軍が作ってた木製戦車(BASARAかよ)など、デザインやギミックにもぬかりはありません。
もちろん登場人物も期待通りの狂いっぷりで期待を裏切りません。主人公でありながらゲッター線を浴びなくても勝手に狂気に落ちていくのが愉快な土屋床三郎、竹ざおや布で化け物どもを真っ二つにするのが痛快な高坂甚太郎らの主人公達。
それだけでなく、いつも変な仮面を被った纐纈城の城主や職業名が名前な三合目陶器師等に代表される、異能異形のキャラクターたち。
また、伝奇小説だけあって武田信玄や織田信長などの実在の武将だけでなく塚原卜伝などの知っている人にはワクワクする人物も登場し画面狭しと大暴れ、どいつもこいつもみな地獄をクリエイトしてくださるという按配です。
これだけでもかなり面白そうですよね。
石川賢先生の作品といえば大風呂敷を広げては畳むのを忘れて暴走→終結、ということが多いですがこの作品はきちんと完結している珍しい作品のひとつです。
石川賢先生は2006年にゲッターと共に火星に旅立ってしまいましたが、先生の作品の魅力は消えることなく煌々と光り輝いています。
「神州纐纈城」は2005年の作品ですので先生最後の長編といっても間違いない作品。
そういった意味でも石川先生後期の傑作であり、石川作品を読んだことがないという人にもお勧めできる作品です。
ハードカバー版全四巻というボリュームタップリですので、ぜひ手にとってはみてはいかがでしょうか。
(担当 黒田)
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