セミドキュメンタリーって聞き慣れない言葉、何?
フィッシングウィズジョンってジョンっておじさんが釣りするところをちょい脚色して流す映画?
なんだろ?
すごいラフな格好でパズボンがダボダボの顔は眉毛が濃いし格好良くはないけれど、背が高い白人男性。
これがジョンか、車に乗って友達と釣りに行くんだな
友達は白髪にサングラス、こっちはジョンより格好良く。黒ずくめの格好も似合ってる。
ジムジャームシュ
変わった名前
車に乗って喋ってる
いや、もっと前のシーン、物語がはじまるイントロダクションでバブル期1990年のマンハッタンなのかアメリカの街中を映したシーンで歩いてる
この作品の主役、ジョンって眉毛が濃い人、どこかで見たことがある
ジムジャームシュとセットとなれば
有名じゃん
あのロードムービーの監督と映画のメインもやってたジョン、ジョンルーリーだ
と言っても、ジョンルーリーもジムジャームシュも知らない人が沢山居そう。
ジムジャームシュの映画
行き当たりばったりでその場で役者の即興で物語が進んで行く。。。ような感覚を観てる人にあたえるなかなか面白い撮り方の作品
展開が読めない
台本ぽいセリフじゃなくて常に砕けてるから台本が無いように感じる
あと、カメラ位置が同じ所で結構長尺でお芝居を一連で撮ってるから、その場で役者同士が勝手に話してるのがたまたまうまく撮れて、それを繋げて映画にしたように見える
カメラ位置も変えなくていいし楽と言ったら楽な撮り方で、自然に喋ってる風のセリフだから、役者に現実味が出てジムジャームシュの作品に出ているキャストはアイデンティティを凄く与えられてる
ロボコップにターミネーター、バックトゥーザ・フューチャー。設定モリモリのハリウッド映画が世の中に沢山溢れた時代、どこの誰かもわからないアクのあるおじさんを単に追い回して撮ったかのように見える緩さが大人ぽく、モノクロだったりローテンポなところも過度な演出の映画に疲れたマニアの心を鷲掴みにした
このFISHING WITH JOHN
Twitterで感想を呟いてる人を見るとただ釣りをしてるだけ、それがいいとか
ポインテッドブーツで釣りをしにくるトムウェイツがいいとか
この作品で釣具にツッコむリアル釣り好きはナンセンスだとか
ジョンルーリー、ジムジャームシュ支持層が全面的にこのマイナー作品を支持している。
今回のソドムスクールは今井編集長と山谷さん、ラボの川村くんと沼田の4人でセミドキュメンタリー作品FISHING WITH JOHNを観る
FISHING WITH JOHNというタイトルよりもセミドキュメンタリーという、曖昧なスタイルが一体どんなものなのかが気になる鑑賞会
ソドムのテーブルにはカーキー色のシャンプーの詰め替えパックのようなフクロが2つ。英語でDEPARTMENT OF DEFENSEと書かれ、アメリカ国防省のマークがデザインされている。
米軍配給のサバイバルフードらしく袋を開くと更に袋が10袋ぐらい入っていました。
謎のレトルトパック
川村くんは楽しそうに
レーションだ!レーションだ!と騒いでいます。
レーション?
昔流行ったらしいのですが、どこで流行っていたのか僕にはわかりません。
栄養を摂取するためのもので腹持ちが良く。
ウンチも出にくく腹に溜まる仕様になってる!
と川村くんは尚も騒いでいます。
今井編集長はミリタリーにも詳しいそうでモデルガンも家に沢山あるらしくソドムで提供する料理は米軍の非常食レーションが多いようです。
ただカロリー摂取すらるためじゃなくて、甘い桃のペーストや硬めの甘いグミなんかも入っていて、高ストレス化でストレスを緩和するものを非常食に入れている所、M&M'sチョコレートのようなグミなんかは仲間でシェア出来るし非常時にも周りの人とのコミュニケーションが図れる非常食。
調味料から手を拭くウェットティッシュとは別にウンチを拭く紙まで入っていて、用意周到な所がアメリカ人は優秀で非常食といえば梅干、体力と精神が消耗した時にも酸っぱい梅干をしゃぶって耐え忍ぶジャパニーズスタイルとは全然違う!恥ずかしい!と劣等感を軽く感じながら
ロードムービーの巨匠と癖のある役者の釣り旅行を鑑賞
まだ釣り始まりません。ジョンルーリーが5人のゲストと世界中の様々な場所で釣りを楽しむ作品の1人目のゲストがジムジャームシュ。まだ彼らが釣り場まで車で行く途中です。
今回はジムジャームシュの他にスパイダーマンでグリーンゴブリンを演じた役者さんとイージーライダーに出ていたデニスホッパーの3バージョンを鑑賞しました。
他にトムウェイツバージョンもあり、ジムジャームシュのロードムービーファンにはありがたいキャスティングになっています。
ですが、僕らが見た3バージョンすべて曰く付きの迷走作でした。
ジムジャームシュとジョンルーリーが釣りについてのフランクな会話を車中で楽しむなか
ソドムでは、セミドキュメンタリーとはなんぞや?
この普段の仲の良い友達同士のたわいない会話、ドキュメンタリータッチだけど、セミドキュメンタリーのセミの部分何処じゃい!?
と話している時に
ジョンたちの車が駐車場に到着します
あ!
車の停車位置にすでにカメラが入ってジョンルーリーたちの到着を撮ってるスタッフが前乗りして、さらに停車する位置も決めてクルマによったサイズで到着シーン撮ってる!
ドキュメンタリーといいつつ仕込まれてるぞ!
セミだ!セミドキュメンタリーのセミの部分が見えたぞ
なにをセミドキュメンタリーのセミの部分で騒いでいるんだと読んでる人は思うかもしれませんが、このFISHING WITH JOHN
ロードムービーの巨匠ジムジャームシュと主役級のジョンルーリーが居るにも関わらず、超絶ヤラセ感の漂う今見ると凄く雑な仕掛けがてんこ盛りの問題作でした。
釣り場に着いた2人がクルーザーに乗って人喰いザメを殺しに行くために出航するんですが、乗り合わせてるお手伝いのスタッフのTシャツがサメに腹を喰いちぎられたように破れています。
そのTシャツのスタッフについて特に説明は無いのですがジョンとジムは今回のサメを仕留めるフィッシングがそう簡単じゃないとか釣りの厳しさをシリアスに船上で語っているのですが、それにしても作業しているスタッフのTシャツのふざけ具合。釣りの過酷さを倍増させる演出にしたいなら逆効果、ジョンとジムがサメの怖さを語れば語るほど、おい!Tシャツの船員、なんでサメに腹を喰われて全然平気で船での作業をしてるねんと気になってしかたない。
あと、絶対サメなんて出てこなそう
サメが食べるメニューの一つは人間なんだとか話していたり、ジョンが船上でよろめくと、危ない!危険だ!とジムが支えたり、サメの恐ろしさを2人が会話や行動で強調すればするほど、絶対サメなんていない感が漂う。
ロードムービーの巨匠を使っているのに、途中ゴジラが現れる前のBGMみたいなのが流れたり、海水の泡がブクブクして水中に何かが居る事を想起させるカットが挟まれていたり
Twitterでジョンが普通に釣りを楽しむ映画とか言ってた奴!出てこい!何処が普通じゃ!!
作為的に作られた演出しか出てないぞ!
なにかジムジャームシュのロードムービーとは異なる陳腐な雰囲気が映画に漂ったとき、今井編集長の「この作品、日本人スタッフも何人か混じってる」と思い出したように言いました。
するとカメラに向かって日本語で「アホがみる〜ブタのケツ〜」というジョンルーリーとジムジャームシュ。完全にソドムに来てる4人を煽っています。
サブドキュメンタリーのサブの部分に日本ならではの特撮みたいな感じとバラエティみたいな要素を感じたのは日本人スタッフが居たからか!
やっぱゴジラだ!
これは藤岡弘の探検隊!
キャストはロードムービーで定評がある2人ですが、今回のプランを用意したのは日本人スタッフ
その日本人スタッフとはどんな人でしょう
エクゼクティブ・プロデューサーは長寿番組『世界の車窓から』の企画段階から携わる岡部憲治さん
制作はNY在住の映像プロデューサー/ジャーナリスト。「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」「ETV特集」などで核問題、金融経済、エネルギーなどをテーマに国際的なドキュメンタリーを制作している西前拓さん
これを見て、ああ、そうか! 謎は解けた
海外でドキュメンタリー映像を撮ってるスタッフとアメリカのアングラシーンで史実ぽいロードムービー撮ってる2つが掛け合わされば、きっといい作品が撮れる!
ジョンルーリーにオファーしたら良好で、ジョンの友達をキャスティングしてもらってお金はバブルだし日本側が持つんで面白いのを撮りましょうではじまった企画、作品なんだなと
だけど、せっかくハリウッドスターをキャスティングしたんだから成り行きのドキュメンタリーではマズいから、あらかじめストーリーを作って段取って撮ろうと
だけど専門がドキュメンタリーだからジョーズみたいな特撮も難しいし藤岡弘さんの探検隊シリーズみたいな撮り方も出来ない。
慣れないなか頑張った結果がドキュメンタリーの仮面を被ったヤラセハプニング集みたいになっている。
これがセミドキュメンタリーの正体なのか!
しっかし、日本のレビューを見ると、これが本当に行き当たりばったりで2人の役者が自然に釣りを楽しんでいて見てて微笑ましいってコメントが多い。
サメが来るよって時もさっきまであんなにダラダラしてたのに釣れないイライラや緊張なんかのシーンをちゃんと撮って編集で挟んでから
ルアーのアップのカットが来てとうとうサメ!キターーー!!!という演出
イライラや緊張をしてる2人の様子を撮りながらサメが来た時に急にルアーのアップの映像はおさえられないから、ちゃんと必要なカットごとに絵を撮ってる
ドキュメンタリーではない決定的な所は水中カメラを使ってサメからの見た目のカットがある。海から船上のジョンルーリーを見上げるように撮るには、ちゃんと水中カメラを用意して実際にサメが海にいたら海に入って水中からのジョンルーリーたちのカット撮れないしサメが居ない安全な海で撮影している事がわかる。
あとサメと格闘するジョンルーリーというシーンがあるんですがサメとジョンルーリーが一緒に映ってるカットが無く
モガクジョン
モガクサメ
モガクジョン
モガクサメ
とサメとジョンの単独のカットの繰り返しで
完全に別撮りのサメとジョンルーリーが格闘しているように仕上げています。
結局格闘の末、サメには逃げられたってオチになっていますが
Film arks.comのレビューではグダグダした緩さがたまらなく癒し。とか、ゆるさ全開!!最高に面白い!!
と嘘みたいな高評価
実際サメと戦ってるフリをしているおじさんを緩く見る事しか視聴者にはできませんし。
キャストが変わって氷の湖でグリーンゴブリンのウィレム・デフォーとジョンが魚を釣るのも過酷すぎて8日目にジョンが栄養失調で倒れるくだりがあるんですが、ジョンがよろめく所を遠くからカメラで狙っていて、倒れる所はジョンの足元からジョンを煽って撮っています。
カメラをセッティングするために引き絵と寄り絵は同時に撮れませんし、カメラが引いてる所はよろめいて、カメラがよってるところは倒れる。引きと寄りでジョンはお芝居を2回繰り返して撮っています。
あれがドキュメンタリーな訳がないんですが、セミドキュメンタリーという謎の括りで市場に出回っていますから
本当に過酷な環境で魚釣、有名な俳優が大変そう。寒すぎて2人ともゲイぽい感じのやりとりになってるしー
とか観てる人をフィクションなんだけど本当のように思わせる仕様になっていて、フィクションがドキュメンタリーとして通ってしまっています。
ぼくは8日間なんて絶対かけてない多分1日か2日で撮ってる!と思います。
ドキュメンタリーじゃなくセミが付いてるから、その辺は視聴者に正しい情報を教えなくて良くなるしセミドキュメンタリーなんてなんでもありだな!と驚愕しました。
デニスホッパーのは完全にお金もらえてタイでバカンスが出来るってジョンルーリーに誘われて来てるぽく
巨大イカを釣るという企画ですが
波もない川じゃね?
天気も良く穏やかで巨大イカなんて絶対居ないって場所で
船も木のボードにエンジンを無理やり付けた原始的なもので
巨大イカを釣るってコンセプトも酷いんですが、全然イカを採ることができ無いので、タイのコーディネイターは危険で荒くれて物が多くイカ漁は危険だとか
無理やりサバイバル感を演出しますがカメラに映るコーディネーターは温和そうなタイ人で、そこも無理がある演出だなと
TBSのクレイジージャーニーであらかじめ用意したトカゲを捕獲したシーンを流して、ヤラセがバレて放送終了したり
番組を盛り上げるために短期決戦の収録を進める旅番組ではイッテQもそうですけど仕込み次第でどれだけ良いのもが撮れるかが決まるので制作者サイドは必死に事実と違う演出をします。
面白ければバラエティの仕込みは当たり前だと思いますが
信じ込んで見ちゃう人もFISHING WITH JOHNのレビューをみると沢山います。
ヤラセのやってる部分もちゃんと情報として見せて良いのかなと
仕込まれてても仕込みとあんまりバレない事実の様な匠な仕込みをするとTBSの様に強め罰せられ、FISHING WITH JOHNのような曖昧な作品は厳しくジャッジされない。
セミドキュメンタリーのセミを付けてしまえばヤラセがバレてもばれなくても問題が起こらない無敵の大勝利が出来るという事を学べる鑑賞会でした。
沼田