今年は「都道府県魅力度ランキング」で下位に沈んだ群馬県が激怒したというニュースが流れましたね。県として魅力が低い、って言われてみてもなんじゃそらという気がします。
たしかに埼玉・茨城みたいにそれをネタにする県もあります。しかし埼玉は「人口集中地域はだいたい駅から30分以内で東京に出られる」「ゆえに東京で働ける」というほかがかすむほどの魅力がありますし、茨城にしてももうちょっと時間はかかるけれども同様です。
振り返ってみると魅力度1位の北海道、以下京都沖縄東京大阪、という順位を見るとこれは旅行に行って楽しそうな観光資源のあるとこばかりではないかと。住むのに適した町順位ではないことに留意が必要です。
それでは住んでる人たちの幸福度ランキングを見てみると・・・こういうのって北陸三県が強いイメージですよね・・・と最新の2021ランキングを見ると石川が5位から15位。福井が4位から18位。富山は前年8位が37位とガク落ちしてるじゃないですか。
どうもコロナ禍/ステイホームが多くなった影響で地元で暮らすことへの見直しが日本全体で住民満足度や幸福度を高めたが、北陸三県はそれほど伸びなかった・・・という話みたいですが、富山の8位から37位というのはずいぶんと落ちてしまったなと感じます。
実際、富山というと何があるのか、寒ぶり、タラ汁、立山連峰、黒部峡谷鉄道、富山ブラックラーメン、・・・から先でパッと思い浮かぶものがあまりない割には(失礼)魅力度ランキングは24位と平均的な位置です。
僕も隣の新潟に住んでるからわかるんですが、新潟に行くよ!と同僚に言われたときに満を持して「あそこに行くべき」とお勧めするスポットがないんですよね。農業県だから食べ物はおいしい、魚も酒も旨い、温泉もけっこうある、・・・じゃあどこに行けば?泊まればいいの?というとううんとなる。温泉だったらもっと近場の長野群馬にたくさんあるわけで。
富山も同じでそのルートなら金沢がまず第一候補に挙がってしまうわけですね。
しかしそんないまいち富山県の凄いところは早くからそのことについて危機感を持っていたことですね。1991年に富山県が人気マンガ「美味しんぼ」にあやかってこんな本を出しています。
「富山しあわせ勝負」まではいいとして
21世紀へのシナリオ 新富山県民総合計画<後期事業計画>
と急にものものしくなるのがいいですね。表紙の山岡士郎も口のあたりが微妙に本家と違う気がしますが、作者の毛内ヒロやすって・・・? 毛内浩靖、「カンニンGOOD」描いてた方ですね。原作/浅野拓は高井研一郎「あんたの代理人」の原作担当らしいです。
なぜ「美味しんぼ」が富山で? というとどうも作画の花咲アキラが富山出身なのでこの話が来たようなのですが、それを原作/浅野拓、作画/毛内ヒロやすの二人でやり直したという話みたいですね。
ちなみに浅野氏は和歌山県生まれ、毛内ヒロやすは青森県生まれ。他県人が仕事のために富山をほめそやかすというなんだかもの悲しい気がする本です。雁屋哲と花咲アキラは監修(実際のところほぼノータッチに近いかと)にとどまっています。
ふたりがほぼ関わってないのなら美味しんぼである必要も感じないんですが、丸投げっていうのもどうなのかなあ。
内容はというと、東京在住の富山出身カメラマンが富山は最高にいいところです!とアピールするも、富山在住の幼なじみは「そんなに富山がいいんならなんで東京で働いてるんだよ!」と不満顔。じゃあ東京と富山どっちがしあわせなのか対決しようじゃないか! という究極VS至高ならぬ「富山VS東京」という対決が繰り広げられるというもの。
女性が富山出身の東京在住カメラマンで富山至高主義で、男性が逆に富山自虐主義というカップル。
東京に住んでる女性が東京の良さを主張し、富山に住んでる男性が富山の良さを誇るのなら話は簡単ですが、その逆というのが地方のリアルもありますね。地方の人は東京から人が来た時に「おらが里は日本一」なスタンスでは対しません。
富山をアゲすぎるため無神経な物言いになり、だんだん栗田さんが引いていくのが面白いですね。
東京と富山どっちがしあわせか勝負だ! と、数量化できないものを勝負するのが怖い。山岡も煽ってどうする。むしろ本家美味しんぼのように富山の素材を使って味勝負の方がぜんぜん平和です。
富山をアゲるたびに東京をやたらめったらコキおろすので、かえって富山のイメージが悪くなる気がするんですが大丈夫でしょうか。美味しい水は富山以外にはありません!といったら富山以外の全県も敵に回してしまいます。百万都市でもないかぎり、どんなとこだって自分のところの水は美味しいと思ってるんですよ。この言いようの無神経さがこのカメラマンの特徴なんですね。
また富山はなんでも日本一なのじゃ、と誇ろうとするあまりゲートボールがトップクラス、という高齢化率が高い現状まで伝えてしまうのも考え物です。
ぼく新潟生まれですが、雪なんか降らなきゃ降らないで越したことないと思います。仕事を始める前に家の前の雪かきをしてヘトヘトになってしまう社会があるんですよ。
まあ富山県が発行して富山の学校などに配った本のようだから東京の目には触れなかろうという発想でしょう。この比較して勝たないと気が済まないのに心の底にじっと秘め表立っていわないけれど地元では悪口三昧、なのが微妙に湿気のある底意地悪さが感じられますね。
これ関西圏なんかもそうなんですが、なんで東京にだけは悪口を言い放題にいっていいと思ってるんでしょうね。
最終的な結論は富山は自然も豊かだし物は旨いし水は美味しい、富山の良さが十分あるのに虚像だらけの東京のことばかり見るから自分の(富山の)幸せに気が付いてない。若い人は東京の大学に行かずに富山の大学に行き、就職も東京に出ずに富山でできることを考える。それが何かはまだわかっていない部分もあるけれど若い人は地域と結びついてそれを考えよう、みんなで富山を盛り上げていこう!というもので、最終的な勝敗も東京の負けです。
けっきょくこの「富山でしかできない、ほんとうに地元でしかできない仕事」がなんなのかの具体例がないまま終わってしまうので、じゃあ実際どう動けばいいんだ、というのがわからないモヤモヤが残ります。テレワークが普及した今ならまだともかく、91年当時は第1次産業か職人かしかなかったんじゃないでしょうか。そういう因習性が嫌いで都会に出ていく人もいるわけで。
東京と富山で優劣をつけること自体が愚であるという結論にならなかったのが実に不思議です。
富山だって負けてないぞ、というこのコマが逆に都会の利点の象徴になってたりします。
テレビが「よく映るかどうか」は都会の利点ではないんですね。こちらから何もせずともたくさんのチャンネルが映るかどうかの選択肢の多様性。ムラに頼らずとも個人的な嗜好の放送が見れる匿名性。そういうのが大事な人もたくさんいるんです。
あとこのマンガ、ラストに後日談がありますが、
山岡は牙を抜かれてもハニワ柄のパジャマなんか着ないと思いますよ。なんかもう絵柄的にテキトーになりすぎて、山岡士郎インスパイアの男性、栗田ゆう子リスペクトの女性、みたいなもはや別人になっているのがいいですね。
※こちらの商品(スペシャルアイテム)の販売方法について※
12/25(土) 12:50
【本店Ⅱ前】にて整理券をランダムで配布させていただきます。 配布終了の後、番号順に整列していただきます。 整理券配布終了後にご来店されたお客様は列の最後尾にお並びいただきます。
13:00~ スペシャルアイテムの販売開始
お一人様個数制限は当日の混雑状況に応じて設けさせていただきます。 整理券は抽選による配布となりますので、早く並んだお客様が1番に商品を購入出来るとは限りません。 ご了承の上、お買い物をお楽しみください。 イベント当日の状況によりタイムスケジュールに若干の変更がある場合がございますがその際はご了承ください。
※商品の状態確認をする場合、状況により整理券の順番が前後する場合がございます、 また状態確認後のお品物の変更に関しましてもお受けできませんのでご注意下さい。 当日店頭販売アイテムウェブ上にて情報をご確認下さい。お電話によるご確認は致しかねますので予めご了承下さい。
※WEB掲載以外の商品は開店11:55~購入いただけます。 また、開店~スペシャルアイテムの展示もおこなっていますので、実際に見ていただくことが出来ます。
中野店 岩井