西洋甲冑のデザインは国内の多くのアニメやゲームで使われ、私たちにとっては思い浮かべやすいイメージとなっています。
しかし実際にはどの様に作られ、着心地はどうなのか、など平面的な視覚情報では捉えられない物質としての西洋甲冑を学ぶ授業が行われました。
西洋の板金技術と同じ方法で作られた甲冑の手甲部分(手首から指先まで)を講師である奥主さんが借りて来てくださり装着させてもらいました。
見た目の重厚なイメージとは異なり指と指の間が干渉することもなく、しなやかに動くことに感動を覚え、鱗の様に動く表面に美術品としての価値の高さを感じました。稼働部分の板と板を止める鋲についても適したサイズのものが無いため切り出して作り上げているという事に驚きました。また表面の輝く光沢は錆の防止になるため定期的に磨きを行う必要があるという事も意外でした。
後半は西洋甲冑のデザインと機能の関わりについての説明をして頂き金属板部分に波線の凹凸があるものが主にドイツ式で一枚の板に凹凸を作る事により衝撃に強くなるという事でした。また逆にイタリア式では形状を卵型の丸にする事により強度を出しているという事でした。
西洋甲冑の歴史は長く剣や弓による戦いから銃撃戦に以降する中でより強い金属板を作る技術が研究され球が当たっても割れない甲冑が作り出されました。
その中でも硬度の異なる金属を重ね合わせる当時の技術は謎とされ現代の科学でも解き明かせないというのは驚きでした。
今回のソドムスクールでは実際に西洋甲冑に触れた事が大きな経験となりました。
今後、博物館などで西洋甲冑を見た際は装飾品としての見方とは別に表面の形状やパーツの分割方法による動きへの影響など今までの視点とは異なる見方が出来るようになったと感じられます。
実物の甲冑を借りてきて頂いた奥主さんに改めて有難うございます。
川村 景