今回のソドムスクールは『ホラー漫画研究 90年ホラーを考察する』です。先生の秋山さんより90年ホラーとは何かの説明が始まりました。
貸本時代から新書へ、そして昭和が終わるまで日本のホラー・怪奇漫画を引率してきたひばり書房や、70年代からレモンコミックを出版していた立風書房が1989年を境に新たなタイトルの発行を終了。
書き下ろし単行本がメインだった当時の作家たちは発表の場を徐々に失っていく。
そんな折、1988年に講談社から少女フレンド増刊として刊行されたのが『サスペンス&ホラー』と言う雑誌で、それまでの書き下ろし単行本から、雑誌スタイルの読切、多くの作家を配し600ページ~700ページと分厚い装丁が主流となっていきます。
その『サスペンス&ホラー』を追随するかの様に、『ホラーM』『サスペリア』『恐怖の館』『角川ザ・ホラー』など多くの雑誌分厚い背表紙と共にが刊行されました。
90年代ホラーの特徴は、それまでのホラー・怪奇漫画によく見受けられた、オバケ、幽霊、怪物などの題材では無く、社会問題化しつつあった、イジメや暴力、虐待など、現実に起こりうる事柄を取り上げ描く作家が増えてきたことや、描写がかなりグロく陰惨な物語が多いのも特徴でした。
そんな中トップの人気を誇っていたのが犬木加奈子先生と関よしみ先生でした。
講談社刊の少女フレンド増刊楳図かずお特集号にて「おるすばん」でデビューした犬木加奈子先生。
90年代のホラーを語る上では外す事の出来ないまさにホラーの女王として君臨していました。
ブームの最中沢山の雑誌が出版されていましたが、ほぼ全ての表紙画は犬木加奈子先生でした。
日野日出志先生と楳図かずお先生の良いとこ取りな絵柄を感じさせていた初期の作画から独自の作風を確立させ、『不思議のたたりちゃん』や『不気田くん』など恐怖の中に笑いと感動を描いた作品が特徴です。


そんなに特徴のないと言ったら失礼ですが、普通の少女漫画的なタッチから描かれるのは、圧倒的な読後感の悪さ、嫌悪感、妬み、嫉みが満載、罵声、 罵倒、最後は友人、家族、愛する人と殺しあう作品ばかり、一番の恐怖は人間、がメインテーマのシチュエーションホラーの女王です。


読んで頂きありがとうございます。上で紹介をした『ホラーM』『角川ザ・ホラー』『サスペンス&ホラー』
『サスペリア』などの雑誌を当社の目録、まんだらけZENBUに出品すべく作業中です!
愛と情熱を込めて準備していますので是非ともお楽しみに!!!
とのことでした。
上田