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8/31(土) ジェニーとマリーンとエクセリーナの見分け方

タカラが発売したジェニーに、やはり人気の別モデル、エクセリーナ、マリーンを加え、今回はこれら3つのドールの見分け方についての講義でした。

<概略>
もともと米・マテル社のバービーを、日本向けにデザイン変更して販売していたタカラが、86年、バービーの商標返還を機に、ジェニーと名を変えて売るようになった。

ジェニーの特徴は、垂れ気味の一本眉と白いアイラインであり、ボディは、バービーと同種のレディマリアタイプ、カチカチと足が曲がるクリック足タイプ、非クリック足タイプの3種類に分かれている。

エクセリーナは特別仕様の高級タイプで、トヨカロンという素材のなめらかな髪をもち、下まつげが2本あるのが特徴である。また瞳の下方にある星2つの間隔が狭い。

このエクセリーナの普及版モデルとして作られたのがマリーン。一般的に下まつ毛がなくギザギザの眉が特徴とされる。またジェニーのような白いアイラインをもたない。

基本的な特徴は以上だが、例外や異バージョンが複雑に加わってくる。現在の製作や販売元が複数あることも相俟って、正確な把握は困難をきわめる。

たとえば初代ジェニーは、タカラバービーと顔が酷似しているが、手がかりになるボディは付け換え可能であり、取り替えられている場合もある。眉の太さ、アイラインの幅なども、時期や製作ルートによって異なっている。

エクセリーナは、茶色の下まつげ2本が特徴だが、グレーまつ毛で下まつ毛の無いタイプも存在する。髪がトヨカロンか否かは一定の指標となるが、絶対ではない。ジェニー登場以降、多様なジェニーエクセリーナが製作され、ここにエクセリーナフェイスのジェニーも加わってその見分けは至難である。

マリーンは基本的に下まつ毛を持たないが、下まつ毛ありのタイプも存在する。カレンダーガールシリーズのマリーンは、下まつ毛を3本もっている。ちなみに特徴のギザ眉も、88年発売の「キュートスプリング」モデルなどでは、ジェニーにおいても用いられた。

        *

ドールのコレクトは格別だという印象が個人的にあります。

さまざまなジャンルの中で、とりわけドールのコレクターは、対象と深く私的な関係をむすび、他人が安易に入り込むのを許さぬ傾向があるように感じます。

わたしは人形マニアではありませんが、人形好きの友人はおります。彼に接していると、人形を買うのはこの子を我が家に迎えること、売るのはその子を他者に託すこと。だから人形を売る買うというのは、おそらくどう転んでも商売とは少し毛色の違う、特別な経験になるような気がしますし、それゆえ他のどのジャンルにも増して相手の「理解」というものを心から欲するのではないかと思います。

売ってもらうには、その価値を理解することが重要であると大内さんは語ります。その人形の価値をきちんとわかっていないと、せっかく売りに来てくれた人からもういいですと言われてしまうことがある、と。

しかしドールの正確な見分けは難しい。ともすれば「雰囲気」や「感じ」という言葉でしか言いようのないその難しさを、大内さんのソドムスクールで自分もしばしば学んできました。

翻ってまんだらけの特筆すべき点は、POSというすぐれたデータ登録システムをもつところと思いますが、このPOSという言語を用いて、目の前のドールをジェニーである、エクセリーナである、マリーンであると記録し、一定以上の高さの認識を皆で共有してゆこうとする、その試みは当ジャンルの特質を思うに、まことに一筋縄でない戦いであろうと感じます。

そもそも持ち込まれるドールには、最大の手がかりとなる箱がないことが多いのだそうです。それぞれの特徴から識別し、同じ品が別の名前で出ぬよう、詳しくない人が使えるよう、状態の違いにも対応できるよう、データに修正をかけてゆく。

どうしてもわからない存在は、その特徴をひとつひとつ列挙するしかない、と大内さんは言います。たとえば髪がトヨカロン、眉がギザ眉、下まつ毛が2本などを、キャプションやPOSの備考欄に書き込んだりもするそうです。

その上で、最も大切なのは、良いものをはっきり良いとわかることなのだそうです。安いものを高く買ってしまうのもいけないが、高いものを安く買ってしまうのは顧客の信用を損なうことであり、この先に続かないのだと。

個人的な店舗ではないこの巨大な現場において、ドールという分野で顧客の信用をかちえてゆく、その困難さを大内さんはきわめて自覚的に引き受け、自分を含む全体の見分けの質を上げることに挑みつづけていると見えます。そのことは、大内さんのソドムスクールが、ぷらすちっくの若手スタッフの教育の場として理想的に機能している点にも現れているようです。

POSという名の膨大なデータは、ひとつひとつ、この先のまんだらけを支えるのみならず、ドール史の大きな財産となってゆくわけですが、大内さんのソドムスクールを受けるたび、その貢献の質を支える視線の高さを強く感じます。

今回も刺激的な授業を有難うございました。日頃の敬意と共に、感謝しております。


池田


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