2010/4/12 21:00掲載
まんだらけ 小倉店

L.S.C in 小倉 〜ライトノベル普及委員会〜【第45回】球春が来たので野球 (のライトノベル) の話

前回予告しておいてなんですが、これを書いている現在 (3/26) ついにプロ野球がセ・パともに開幕してしまったので、思わず野球の話にしてしまったりします。 とはいうものの、以前にも書いたように、野球を題材にしたマンガ、というのは数多くあっても、野球を題材にしたライトノベルはほとんどありません。これがライトノベルではなくて児童小説、だったら数多く存在するのですが。
しかし、先日創刊されたばかりのメディアワークス文庫から、意外にも野球を題材にした長編作品が刊行されました。

(図1)

作者は柏葉空十郎先生。「桜田家のヒミツ」という異色極まる作品で電撃文庫からデビューした柏葉先生ですが、この新作「ひとりぼっちの王様とサイドスローのお姫様」 (図1) を読んで、”ああ、やっぱりこちら側 (30代以上のオタク) の人間だったんだ!”と嬉しくなってしまいました。

内容は、挫折した天才投手と、その幼馴染の野球選手の少女が、弱小公立高校の野球部で甲子園を目指す。という野球モノ好きならたまらない要要素がてんこ盛りの話となっています。
電撃文庫ではできなかった野球小説も、メディアワークス文庫ならば出来たというべきでしょうか。やはりメディアワークス文庫は、ライトノベルで育った世代のもうひとつの受け皿、という気がします。

ところでこの「ひとりぼっちの王様〜」を読んで思ったことは、やはり野球マンガがメジャーでも野球ノベルがいまいちマイナー (?) なのは、試合時の描写なのかな、とも思ったりしました。古くは「プレイボール」、最近では「おおきく振りかぶって」などが、試合展開の中に選手たちの心理描写を詳細に描いて好評でしたが、マンガであれば『絵』を見ればわかる実際の試合の動きも、ノベルとなると当然のことながらすべて文章で描写しなければなりません。
「ひとりぼっちの王様〜」もクライマックスは試合であり、なかなかに緻密な試合の描写で面白かったものの、どうしても登場人物の心理描写と試合展開が文章でクロスしてしまい、やや読みづらい印象を受けてしまいました。
このへんの問題点を消化する文章を書ける作家さんが出てくれば、きっとライトノベル界にも野球ブーム、ひいてはスポーツブームが起こるのではと勝手に思ってしまいました。

次回は再び山本弘先生の話です。

(担当 有冨)

このページの先頭へ

お問い合わせ (営業時間:12:00〜20:00)

まんだらけ 小倉店(詳しい店舗地図はこちら)
〒802-0001 福岡県北九州市小倉北区浅野2-14-5 あるあるシティー 4F
TEL 093-512-1777 / e-mail kokura@mandarake.co.jp