中野店の実録系(コンビニ本)担当の小泉です。
まんだらけ本スタッフは本の壁に囲まれて生活している人がほとんどだと思いますが、
年の瀬が迫り「そろそろ部屋の片付けでも」という傍から読みふけってしまう漫画が誰しもあるのではないのでしょうか。
自分にとってそんな漫画を今回は紹介します。
石ノ森章太郎先生の「HOTEL」です。
ドラマ版・映画版はオリジナルストーリーで高嶋政伸さん演じる新人ホテルマン赤川一平の「姉さん、事件です」でもお馴染みの
(35歳以上じゃないと分からないかも)主人公として据えられていますが、
彼の活躍を影で支える上司の東堂克生(実写版では松方弘樹!!)が漫画版ではメインの主人公となり、ホテルを支える従業員や、
宿泊者らの目線で語られた仕事や人生に対する回答や指南をしていただけるという、大変ありがたい漫画です。
漫画のゼロ世代が5年・10年単位で語られるようになっているものの、昭和を象徴する90年代のテレビの光と闇が濃いこと(出演者の)だったり、
ホラー漫画を除いて語られなくなってきているので改めて話をしなくては!と思いました。
オススメのポイントとしては従業員間での仕事に対する考えの衝突や、利用するお客との掛け合いや人情に溢れた話が多くある中、
特にトラブルを解決させるために奔走するチーフ東堂の男気に痺れます。
ビッグコミックス版2巻の第11話「DO NOT DISTUBE」より
どやっ
しかし、仕事も出来てユーモアもあって大人の器量も十分なそんな完璧超人な東堂さんも、
かつて結婚していた女性に仕事の不安や嫉妬から自暴自棄に・・・そして離婚という黒歴史を惜しげもなくダイジェストで紹介する回があります。
この後どうやって聖人君子のような成長を遂げたのかは気になるところ…
自分の働いているホテルの名簿に元婦人の名前を見つけ焦る東堂
女々しい
東堂のメンタルの弱さと奥さんの服のセンス!!
新婚旅行先で買ったのかな!!
この後の東堂の活躍の場があればあるほど逆に何度も情けない姿(と奥さんのトレーナー)を思い出してしまいます・・・という読み方は絶対にしないように!
建築家なり料理人なり、何かしら努力を隠して仕事に望んでいる人々の姿は時代を関係なく尊いものだと思います。
「岩井さん、事件です」と書いたのは理由がございまして
322話目(ビッグコミック版36巻)に「電子会議」という、1998年にはそんなに
まだ普及していなかったはず(?)のインターネットを使った話が展開されます。
話を簡単に要約すると、ホテルに泊まったお客さんが仕事でプレゼンしようと出かけようと思ったら大雪で外に出れない。
お客さん「絶対行くし!今日行かないと大事な仕事がパー(昭和的表現)になるんだよ!」」
ホテル側「うちのホテル、インターネットできます」
お客さん「本当!すごいね!」
という話。
回線速度が気になります。
奇しくも先生が没後に発表された回でもあります。
今まさに「まんだらけ」でも行っているテレビ会議の先取りを既に先生は17年も前にやっていたんだ!と先日改めて読み直して感動しました!
藤子だけじゃない!手塚だけじゃない!石ノ森先生の思い描いた未来が今、
自分の周りにも起こりつつあることに奇妙な巡り会わせを感じます。
(中野店/小泉)
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