EE JUMPの「おっととっと夏だぜ!」が脳内で無限ループするくらい見事に真夏日な今日このごろですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。僕は最近、吉祥寺に安くていい感じの古着屋を見つけて、夏に備えて短パンを6着くらい購入したので夏の準備は万全太郎や!と思いきや、体質的に冷房に弱く、体調を壊すのが怖いのでまだ1回しか短パンを履く機会がありません。中野店の長谷川です。
さて今回ご紹介する漫画はこちら。
『湯神くんには友達がいない』佐倉準/小学館/2012年~/既刊11巻
近年、◯◯くん(さん)は◯◯が◯◯系漫画が増えていますが、その中でもおすすめできる由緒正しい少年サンデー漫画です。
主人公はの湯神くんは高校二年生。野球部のエースです。が、自分のペースを崩されると貧乏ゆすりが止まらなくなるほどイライラしだす、マイペース型効率至上主義者で他人のことを路肩の石くらいにしか思っていないちょっと個性的な性格の人物です。
転校してきたばかりのヒロイン?である綿貫さんになんだかんだ感謝されてもこの塩対応。
もうなんか清々しい。もしかしてみんな湯神くんみたいだったら人間関係ももっと楽になるのかもしれない。それはそれでディストピアでしょうか。でもそんな世界になったら、合コンの時にサラダを均等に取り分けたり、唐揚げにレモンをかけるかどうか悩んだり、焼き鳥を1個1個分解して鳥団子にする必要もなくなる世界になるのでは......! うーん......どうでもいいですね。
「冴えない彼女の作り方」の加藤ちゃんのようなノーマル系ヒロインの綿貫さんも、夏休みなのに家で羊毛フェルトをし続けて母親に心配されるくらい友達がいなくて長谷川ポイント高いですが、さらっと登場する湯神くんの妹、湯神裕子ちゃん(中1)がストライク過ぎてこの漫画を最後まで読もうと決意しました。
そんな湯神くんも大好きな落語の話になると子供のようにはしゃいだり、意外と普通にノーヒットノーランが達成できなったことで落ち込むくらいの人間として描かれていて、数ある日常系サイコパス主人公よりは人間味があり、かわいげがあるっちゃあります。
特に湯神くんが人間味があるんだかないんだかわからない回として、3巻の祭りの亀回をご紹介しようと思います。
それは湯神くんがまだ中学生だった頃、初めて見た亀すくいに心を奪われ課金しまくりますが、亀すくい屋の妨害にあって全然亀がすくえません。女性の客にはモナカを優しくつける亀すくい屋にキレる湯神くんは復讐を誓います。
今回は法律も学んで、ディベート能力もつけ、女性であり意外と亀をすくうのが得意な綿貫さんにやらせるという用意周到さ。しかし、とうとう復讐を果たせるかと思った矢先、亀すくい屋が改心していて、納得いかない形で復讐は終わります。
残ったのは意外と30年くらい長生きするミドリガメ6匹と今回も湯神くんに振り回されて疲労をあらわにする登場人物たち......。そして、家で飼われることになった亀を見て当時を思い出す妹の裕子。普通なら兄妹のいい話風になりそうなエピソードが、兄に振り回された記憶として蘇ってため息をつく妹の裕子ちゃん。浴衣姿がかわいいですね。
この話でうまいのは、復讐が妹のためなのか自分のためなのか判断がつかないところなんですね。サイコパス寄りに解釈すれば自分自身のためというより、詐欺は絶対に許せないというマイルールを貫き通しただけとも取れます。でも、それだけでそんな昔の復讐を果たそうとするでしょうか。そもそもこの性格なので、他にも復讐すべきことはたくさんあるのでは? 妹が巻き込まれたからこそ、亀すくい屋に対する復讐心が持続したのではないか。いやでも、こいつだったら妹が巻き込まれてなくても復讐しそうだな......。といった感じです。
あと、3感は巻末おまけ漫画2の藤沢さんのめんどくささ溢れる表情が最高です。
全然紹介できませんでしたが、美人なのに湯神くんを好きになるという業を背負った藤沢さんや、野球部で湯神くんの女房役を務める後輩門田など、意外とみんな頭おかしいレギュラー陣たちもいい仕事して脇を固めています。
君も、冷房の効いた部屋で羊毛フェルトをつつきながら『湯神くんには友達がいない』を読んで今年の夏を乗り切ろう!
『湯神くんには友達がいない』はこちらからどうぞ!
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中野店 長谷川