麻雀漫画をオススメする記事、第5回目です。
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麻雀漫画をオススメしてみる 第1回 原恵一郎「凌ぎの哲」
麻雀漫画をオススメしてみる 第2回 神田たけ志「ショーイチ」&谷口亜夢「雀鬼サマへの道」
麻雀漫画をオススメしてみる 第3回 志名坂高次「麻雀倶楽部」
麻雀漫画をオススメしてみる 第4回 みやぞえ郁雄「風の雀吾」
2010年から2012年あたりにかけて、未刊行や絶版の麻雀漫画がこぞって廉価版コミック、いわゆるコンビニコミックとして刊行されました。
そのはしりとなったのが、本日紹介する押川雲太朗「反逆の麻雀 リスキーエッジ」です。
元のタイトルは「リスキーエッジ」。
通常のコミックスで2巻まで刊行されたあと、連載は続くもコミックスの続きが出る気配がなく、結局全90話の連載が終了するまで続きが出ることもありませんでした。
改めてコミックスの表紙を並べて見ると......
売れなさそうな表紙ですよね(どストレート)......何の漫画かまったく分からない。
そんな「リスキーエッジ」が「反逆の麻雀」とタイトルも変えてコンビニコミックスでの刊行が決まったとき、ファンは歓喜したものです。
在庫を持ちたくない、経費を安く抑えたい、という出版社の思惑と、本屋よりもコンビニに寄る方が多い客層がうまく合致した結果か、この「反逆の麻雀」は重版を重ねて、結果、後の未単行本・絶版麻雀漫画のコンビニコミックス化への流れを作ったのでした。
ちなみに、コミックス化されている2巻はちょうどコンビニコミックスの1巻にあたります。コンビニコミックス2巻~5巻までが丸々初単行本化でした。発売当初思った以上に未収録の話数が多いなぁ、と驚いたものです。
「リスキーエッジ」という漫画の面白さには、他の麻雀漫画と大きく異質なところがあります。
5巻の裏表紙の煽り文が顕著なのですが、
「爽快感0!」
そこ、プッシュするところ?
漫画の面白さ、もっというと、ギャンブルの面白さは一発逆転のアドレナリンどばー、ってところ。そこを完全に否定しています。
もちろん、物語としては追い込まれてからの逆転、という定番はあります。
が、「麻雀」という点で見ると「リスキーエッジ」はたしかに爽快感がないのです。
何故か?
それはこの漫画の大部分を占める「楊夫人の麻雀」でのルールが
「赤ドラと一発裏ドラなし」
だからです。
「偶然の要素が少ないほうが実力が出るでしょ」
麻雀をギャンブルとして考えると「何言ってるんだ?」って台詞に思えるかもしれません。
麻雀のルールに詳しくない方に大雑把に説明すると、
「赤ドラ」......点数ブースト牌。全体の点数が底上げされます。
「一発」......点数ボーナス。
「裏ドラ」......上がったときのボーナスタイム。運がよければ一気に点数跳ね上がる。
といったところです。
それらを排除した、ということは、点数が少なくなる、ということ。
これは、
「最初に配られた手牌から、だいたいの点数が予想できる」
ということです。
これが「爽快感0」の大きなポイントであり「リスキーエッジ」の面白さだと自分は考えます。
つまり麻雀の「役作り」や「捨て牌読み」に焦点を絞った作りになっているのです。
そんな闘牌シーンとは真逆に、ストーリーはギャンブルで破滅していく男たちを描きます。
※重大なネタバレを含むため、名前の箇所を加工しています。
じゃあ、主人公は破滅型かというと......まぁ、破滅型なんですが、それ(麻雀)しか生きる道がないから選んだ、というタイプ。
そんで、この主人公・吉岡の麻雀がまた格好いいんですね。
衒いの無い手作りで徹底した攻め麻雀。麻雀打ちのある種の理想系がここにあります。
「おれはもう生きていない」という言葉が重いですね。
麻雀のルールを全然知らないと正直敷居が高いですが、少しでも麻雀をかじったことがある人にはオススメの麻雀漫画です。
(うめだ店/山本コウ)
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