初日の25日
新宿から茅野を経て、タクシーで白駒池入口に朝10時ぐらいに着く。
メンバーは辻中社長と竹下店長と小山店長と私、齋藤。
天候は曇り空。湖には霧がかかり、向こう岸が見えない。半袖の身ではうすら寒い気温。
途中からポツポツと雨が降る。
30分ほどで高見石小屋に着き、一休み。
きなこ ココア 抹茶 ゴマ チーズ
焼きたての5色の揚げパンを分け合っていただく。うまい。
しばらく雨は止んだり降ったりしていたが、
稜線に出て一息しているとザーザー降りだした。
東天狗岳山頂から臨むは一面の雲。
初日は天候に恵まれず。明日は晴れることを望む
1時間ほど急斜面を下りきり、本日泊まる本沢温泉に到着。
早々、露天風呂に向かう。
崖沿いを進んでいくと、その槽は谷間にポツんとあった。
全周囲、大自然。とんでもねぇ場所。
先日槽から湯が抜けていてたまっていないんじゃないか、と宿の主人から聞き及んでいたが、
湯は半分ほど溜まり、白く濁っている。
いざ入らんとすると、50度はあるんじゃないだろうか、熱湯。
浸かっては出てを4度ほど繰り返し、ようやく慣れる。
とてもよござんした。
我々の部屋は新館の角、「御来光」。
19時頃、もう寝ようかと全員で川の字になり布団で横になる中、いびきを立てる辻中さんの顔にめがけて天井からガタっと音を立てて黒いものが落ちるのを見た。
いびきがぴたっと止まり、竹下さんの頭の後ろから飛び出て天井に羽ばたいていたのはコウモリであった。
いやだな。最初は扉を開けて逃がそうとはしてみるが、ぐるぐると天井を飛び続けては梁や額の裏に留まってしまう。
気になりつつもだんだん面倒くさくなり、無視して寝る。
しかし20時頃、雷が遠くでゴロゴロと唸っている中、辻中さんがぶつぶつ言いながら『キィイ!!!』と鳴く窓と格闘していて目が覚めた。
「そうそうそう、こっちこっちこっち...」
『キィイイイ!!!!!』
「なんででていかないのよ...!!!もう...!!!」
『キィイ!キィイイ!』
「俺はおまえを...たすけてやろうとしてんだぞ...!?」
窓にいるらしいコウモリを外へ逃そうとしているようだった。
私もレジ袋を片手にして窓に歩み寄る。
コウモリは雨戸と内窓との間に挟まっていた。
出してやろうと雨戸を閉めてみれば内窓の出っ張りに引っ掛かり『キィ!!!』と鳴く。
間に手を突っ込んでも届かない。どうしようもなく、寝ようとも思った。
だが、辻中さんがもう一度試すと、コウモリは間から網を伝って這い出てきた。
無我夢中でその這い出たのをレジ袋で掴んでは引っぺがして外へと放り投げた。
その日は熟睡した。
2日目の26日
昨夜はどしゃ降りで雷も鳴っていたが、部屋の名前よろしく御来光が差し入っていた。
7時20分頃、本沢温泉を発ち、硫黄岳へを目指す。
霧の昨日とは違って、日が出て暑い。
夏沢峠を経て硫黄岳。
硫黄岳のケルンを見渡せる快晴。
火口。
いや、こんなに晴れるとは思わなんだ。
硫黄岳の広間からは横岳、赤岳と稜線が続く
硫黄岳山荘を経て横岳を目指す。 横岳周辺は岩場が険しくなり、梯子に鎖場。
荒々しい稜線の先、赤岳の肩にちょこんと座る赤岳天望荘までもう少しだが、となりの雲行きが怪しく感じる。
赤岳天望荘にたどり着き、うどんをいただく。
登り疲れて腹に入らないとも感じていたが、山菜に醤油の出汁の味がよく染みていてうまい。完食・完飲する。
ここで辻中さん、小山さん、まさかの離脱。
私と竹下さんだけで山荘後背にそびえる赤岳を登る。
急斜面に息も絶え絶えになりつつ、ついぞ山頂。
すっかり曇ってしまった。
急いで山を駆け下り、辻中さんたちと無事合流。
帰りに縄文の湯に寄って、その日の疲れを癒した。
その日は熟睡した。
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