苗場山
あのちょっと特殊な山頂はいまだに鮮明に覚えています。
以前登ったのは6年前。(前回レポートはこちら)
山頂に着くや広がる広大な湿原。
ここが山頂なのかと突如広がる楽園のような風景に度肝を抜かれました。
深田久弥は「百名山」で苗場山のことをこう記しています。
もし苗場が平凡な山であったら、ただの奥山として放っておかれただろう。
ところがこれは人の眼を惹かずにはおかない。
そして一ぺんその山を見たら、その名を問わずにはおられない特徴を持っている。
すぐれた個性は、どんなに隠れようとしても、世にあらわれるものである。
山岳展望に興味を持つ人なら、白馬岳から、八ヶ岳から、赤城山から、その他方々の頂上から、この独自の姿を持った山をすぐ見分けるだろう。それはゆるく傾いた長い稜線を持った山である。
いわゆる山らしい山のたくさん重なっているあいだに、苗場だけはまるで鯨の背のようにその厖大な図体を横たえている。
この特異な山容は今も昔も多くの人の心を捉えて離しません。
深田久弥は赤湯側から登っていますが、ぼくたちは和田小屋からのピストンルートで登りました。
今回のメンバーは、
西田さん、小山さん、成海くんと自分(竹下)。
行きの車中では越後湯沢でかつてつくられたリゾートマンションのはなしが西田さんからでて、
そのはなしに小山さんがいいですねと、けっこうまじなトーンでの返事があって、
ちょっと驚きました。
越後湯沢はたしかに東京からのアクセスもしやすいし、温泉も良いし、山も良いしすごく好きです。
時間が余れば、小山さんの家探しを行うかもしれない・・・
そう思いつつ登山口の和田小屋に到着しました。
かぐらスキー場のゲレンデの中腹あたりに和田小屋はあります。
以前別の山で登山口がスキー場でそのゲレンデの単調な斜面を登ることからスタートしたことがありました。
登山口はまっすぐそのゲレンデを登るかたちではないものの、まっすぐなその斜面を眺めて、
ここから登りたいな―とつぶやく小山さん。
ま~登山口をそのまま行きましょ、とそこは軽くかわして登りを開始しました。
最初の登りは、下ノ芝、中ノ芝、上ノ芝と登りがつづく。
以前の印象だと最初のこの登りが一番きつかった記憶があります。
ひたすら進んでいき、休憩しようとしてポイントの下ノ芝をすでに過ぎていたよう。
もうこのへんで良いかとあまり座りポイントもないような場所で休憩。
今回は先頭を成海くん。成海くんは最後まで先頭で強かったです。
西田さん、自分、小山さんはそれにほぼ同じかんじで続いています。
これは今回先頭を引っ張り続けた成海くんの越後湯沢に到着したときの足湯ショット。
足湯といえば成海くんです。
ちょっとぬるいです、とポツリ。
大して休みポイントでないところで休憩を少しとってリスタート直後に中ノ芝。
開けたポイントにベンチもあって、あ~~ここだった、もうひと踏ん張りすればここで休めた。
と一同笑いつつ登る。
今回一番の紅葉ポイントでもあってきれいでした。
紅葉には縁のない我が登山部ですが、この紅葉はきれい。間違いなく今までで一番でした。
今年の紅葉は例年より遅れていて、あまり期待できないのではというはなしもありました。
その中でも直前に涸沢で珍しい三段紅葉(木々の「緑」、紅葉の「赤」、山頂の雪の「白」)が話題となり、
もしかしたらとほんのり期待していました。
今年は登山部とにかく雨が多く、天候に翻弄され思うように登れませんでしたが、
ここにきてのこの快晴に紅葉。
ありがとうございます!
写真ではわかりづらいですが、上ノ芝あたりから山々を見渡すと、
そこから見える緑がよく見る緑ではなく、少し淡くエメラルドグリーンのような色に一面見えます。
独特な緑色できれいです。
上ノ芝からは一度下がって、
そこから最後苗場山への登りとなります。見た目威圧感ある登り。
成海くんと西田さんはスイスイ登っていきますが、ぼくと小山さんは体を押し上げるように少しずつ登っていきます。
山頂到着。
いや~~きつかった。
この山頂。
他では見られない広大な湿地帯。
突然楽園にまぎれこんだかのようなほんとに素晴らしい風景。
そしてこの天気です。
ベンチに座りながらポカポカしていることもあり、ついついもう今日は帰らなくていいんじゃないと。
ビールを飲みたくなります。
山頂でキャベツを手にもつ方が一人。
丸ッと一玉で。
集合写真はその方に撮ってもらいました。群馬のキャベツ農家の方で、キャベツトークに西田さんがグイグイ攻め込んでいく。
その方もやたらトークが上手で群馬でかなりのキャベツ農家の方のようでした。
キャベツどうですか?と言ってもらえましたが、さすがに一玉背負って、このまま東京に戻るのはちょっとしんどい。
その方の山頂ショット withキャベツ を西田さんが撮影し、その場を去りましたが、どうやらそのあと貰い手がいたようです。
下山は登山道が湿っていることもあり慎重に。
苗場さんは山頂が湿地帯であることを象徴しているように全体的に湿っています。
石や木道が湿って滑るところがあって危ない。
そこで西田さんが帰りはスキーのゲレンデから降りないかと。
すごく良い案だと即乗りました。
なかなかわかりづらいと思いますが、草深く、斜面も急なこともあり、一歩一歩かなりパワーを使う。
登りはじめの登山道は湿った石が多く、そこよりはこのチョイスの方が良いと思いますが、むちゃくちゃ疲れました。
小山さん、やっぱここから登ってこなくてよかったですよ。ここから登ったらここで終わってました。
脚力を削られながらもなんとか下山。
おつかれさまでした。
温泉は越後湯沢で大好きな温泉「山の湯」へ。
ツルツルで気持ちの良い湯でオススメです。
温泉のあとは以前から行きたいと思っていたうどんすきの店「森瀧」へ行きました。
うどんすきを外で食べるのは以前東京に美々卯があったとき一度行ったのみ。
小山さんははじめてとのこと。
なんでや、と西田さんは驚いていましたが、関東圏ではうどんすきって食べる機会あまりないですよね。。
うどんすき以外も名物が舞茸の天ぷらと岩魚料理とのことでそちらも頼んで、
大量に盛られた舞茸天ぷら、岩魚の骨酒に驚きつつ、おいしくいただきました。
来月もギリギリ雪積もってないあたりを狙って登りたいと思っています。
コンプレックス 竹下