かつてマンガのタッチを記憶力を元に再現するコーナー「そらで描く」をしており、ぼく自身もこのコーナーけっこう書いてて面白かったのですが、更新しないままもう約2年たってしまいました。
なぜかというと、題材の選択になやんだからです。みながざっくりと覚えているものはけっこうざっくりと描けて、破綻するものがなかったり、おおむねは似てたりで面白みに欠けたりといったことが多かったからです。
今回のお題は「立原あゆみの「本気」」ですが、やっぱり記憶力と画力が結びつかないが故の破綻や記憶の損壊、が面白いほうに流れてかないなーと思ってしばらくお蔵入りしてしまってたのです。
立原あゆみといえば非常に特徴的なので、我々マンガ読みにはどういうタッチかは「ああアレ」と認識できる絵柄。細い線、白っぽい絵、途切れ途切れの輪郭、アウトローものが多いのに少女マンガ出身を感じさせるタッチ・・・。ではその記憶力を、指先はどう紙面に伝えたかを見ていきましょう。
もっとも記憶がおぼろげな例ですね。ソリが入ってたよな、というところに力を入れすぎて、月刊チャンピオンに出てくる不良マンガのザコキャラみたいな髪型になってます。
目が釣り上げっていて白目なので、これは特撮だと「ニセ○○」のしるしです。ビルを壊したりして「ウルトラマンが狂ったぞ!」などといわれるのをよく見ますが、みな目がつりあがっててもニセモノだとには思わない、なぜか。今までその理屈がわかりませんでしたが「今日のウルトラマンは機嫌がよくなさそうだな、目とがってるし」と現場隊員達が判断してたのかもなと最近考えました。
ヤクザという悪の道に足を踏み入れながら義の人、というのが本気こと白銀本気の魅力なのですが、この本気は実直すぎて地方公務員になってしまうので物語が転がらないのではと心配してしまいます。瞳のあたりが明確な線で描かれてない、ボニョボニョッとした感じは捉えられてますが・・・首が細すぎて栄養状態が良くないように見えるのはいけません。
ヤクザだから眉ないだろ、という起点からスタートしてるのに、終点はヤクザには程遠い。なんだか音楽の好きな白人の子供が描く絵、みたいになってしまいました。背中にどくろの刺青をしていることまで覚えていながら(つまり読んだことがある)、レコードの針がヘボいせいでこんな再生のされ方する。これではどんないいレコード持ってても意味ありませんね。
立原氏独特のあの静かな背景、そして尖った肩を表現しようとしたのだと思いますが、半月の白目と短足のせいか遠くなってしまいました。仁義を通す感じには見えません。クローゼットを開けて「今日着てく服ないわあ」となげく50代のオバサンに見えます。
惜しい! 凶悪なツラというより哀しげ、という路線、またパンチの感じも近いです! ですが幼すぎです! これでは「さくらももこが描いたちぢれっ毛の中学生」です。
パンチパーマじゃなくなったのが敗因、というケース。ソリが入ってるのとハゲてるのは別ですね。東国原宮崎県知事だと思うと納得の出来栄えなのですが。
これもパンチじゃないです。西森博之と「MADARA」描いてたときの田島昭宇とアキラにでてきた鉄雄がごっちゃになってます。少女マンガタッチ、悲しげ、孤独・・・という、似せようとするためのポイントをことごとく外してて、立原あゆみをホントに読んだことあるのか! といいたいですね。「立原あゆみの本気? ああサンデーに載ってたやつでしょ」とか勘違いしてるんじゃないでしょうか。
パンチじゃないどころかフサフサ、立原あゆみのあごの細い感じも無視してゴツゴツ、鼻がないせいか不登校のパタリロみたいな感じになってしまいましたが、まず大前提としてヤクザである、という部分はおさえてくれないと。こんな人たちがコワモテでやってきても、ベルト振り回しただけで撃退できそうです。
ああ目の感じが近いんですが・・・書いている途中「あごが尖ってた」といい、そこまではあたりですが次に「口が尖っていた気がする」とすっとんきょうな路線ミスをしてしまったので子供がはやしたてて口笛吹いてるようになってしまいました。あごも尖りすぎですね。下向いたら胸にアゴ刺さりますよ。
一応人の顔のはずですが、トランジスタ回路時代の基盤図みたいですね。コイルとコンデンサーがついてます。パンチ、あとこころもち目が下がっている、という部分に拘泥しすぎて、額が狭くなってしまいましたね。
髪の処理でえんぴつでヨコにシャシャシャシャと流しているタッチが法廷画ぽくみえます。遠い目ですね。なおのこと被告人ぽいです。

同一人物が3パターン描いてきたんですが、まあ弱そうというか、主人公にはなれそうにない感じというか。全員一発でノされてその後の物語にも絡んでこないだろう印象の薄さですね。3パターン描く必要なかったのではないでしょうか。
顔はにていないけれど雰囲気が近いですね。黒いスーツを角度ピシっと張るように着こなす感じ、おぼろげな顔の部品、つねにスラックスのポケットに手を突っ込んでるポーズ、パンチパーマの浅い生え際・・・。さすがに10メートル先にスタスタ歩いてるAV男優を「あれ○○だよ」と判別できる男。すごい判別能力ですね、ってそんなにAV男優に詳しくても仕方ないんだけど・・・。
次はぼくですが、ぼく自信ありますよ。全50巻持ってますから!
ちなみに「本気!」は20巻くらいでヒロイン久美子が白血病で死んで、残り30巻ヒロインなし、その後はずっと出てくるのオールやくざ、主人公がまるまる単行本4巻分くらい刑務所に入る(つまり連載で1年近くも!)という、コレほんとに少年誌?という内容でした。
「本気」と書いてマジ、「弱虫」と書いてチンピラ、「恋愛」と書いていたずら、と読ませるなど独特のルビ打ちセンスをもつ立原先生ですが、近作「ポリ公」はそのままポリコーだったので逆に新鮮でしたな。下手したら「ポリ公」と書いてさすらい、くらいに読ませるんだろな・・・って期待してたのに!!
立原あゆみ的なものを軽く考えて読まない人多いですけど、読み出したら止まらないですよ?
さて大トリですが、画力がなまじあるだけに大失敗、というパターン。
アラさわやかだなー、最近のやくざって。本人は坂田靖子みたい! といって大赤面してましたが、もとはしまさひでのようでもあります。ガタイはいいがでくのぼう、って太陽にほえろの初期ジーパンみたいな。野口五郎からトシちゃんの間に入る顔ですね。目をウルウルにしたはいいけど、口までするから不平顔になったんですよ! ちなみに書いた本人は「家で練習します!」と猛くやしがりしてましたが、そこまでして立原タッチを習得しても使い道はあまりない(大人気作家なのに、フォロアーが誰も出ないのがその証拠)ようにも思いますがねえ・・・。
なぜかというと、題材の選択になやんだからです。みながざっくりと覚えているものはけっこうざっくりと描けて、破綻するものがなかったり、おおむねは似てたりで面白みに欠けたりといったことが多かったからです。
今回のお題は「立原あゆみの「本気」」ですが、やっぱり記憶力と画力が結びつかないが故の破綻や記憶の損壊、が面白いほうに流れてかないなーと思ってしばらくお蔵入りしてしまってたのです。
立原あゆみといえば非常に特徴的なので、我々マンガ読みにはどういうタッチかは「ああアレ」と認識できる絵柄。細い線、白っぽい絵、途切れ途切れの輪郭、アウトローものが多いのに少女マンガ出身を感じさせるタッチ・・・。ではその記憶力を、指先はどう紙面に伝えたかを見ていきましょう。

もっとも記憶がおぼろげな例ですね。ソリが入ってたよな、というところに力を入れすぎて、月刊チャンピオンに出てくる不良マンガのザコキャラみたいな髪型になってます。
目が釣り上げっていて白目なので、これは特撮だと「ニセ○○」のしるしです。ビルを壊したりして「ウルトラマンが狂ったぞ!」などといわれるのをよく見ますが、みな目がつりあがっててもニセモノだとには思わない、なぜか。今までその理屈がわかりませんでしたが「今日のウルトラマンは機嫌がよくなさそうだな、目とがってるし」と現場隊員達が判断してたのかもなと最近考えました。

ヤクザという悪の道に足を踏み入れながら義の人、というのが本気こと白銀本気の魅力なのですが、この本気は実直すぎて地方公務員になってしまうので物語が転がらないのではと心配してしまいます。瞳のあたりが明確な線で描かれてない、ボニョボニョッとした感じは捉えられてますが・・・首が細すぎて栄養状態が良くないように見えるのはいけません。

ヤクザだから眉ないだろ、という起点からスタートしてるのに、終点はヤクザには程遠い。なんだか音楽の好きな白人の子供が描く絵、みたいになってしまいました。背中にどくろの刺青をしていることまで覚えていながら(つまり読んだことがある)、レコードの針がヘボいせいでこんな再生のされ方する。これではどんないいレコード持ってても意味ありませんね。

立原氏独特のあの静かな背景、そして尖った肩を表現しようとしたのだと思いますが、半月の白目と短足のせいか遠くなってしまいました。仁義を通す感じには見えません。クローゼットを開けて「今日着てく服ないわあ」となげく50代のオバサンに見えます。

惜しい! 凶悪なツラというより哀しげ、という路線、またパンチの感じも近いです! ですが幼すぎです! これでは「さくらももこが描いたちぢれっ毛の中学生」です。

パンチパーマじゃなくなったのが敗因、というケース。ソリが入ってるのとハゲてるのは別ですね。東国原宮崎県知事だと思うと納得の出来栄えなのですが。

これもパンチじゃないです。西森博之と「MADARA」描いてたときの田島昭宇とアキラにでてきた鉄雄がごっちゃになってます。少女マンガタッチ、悲しげ、孤独・・・という、似せようとするためのポイントをことごとく外してて、立原あゆみをホントに読んだことあるのか! といいたいですね。「立原あゆみの本気? ああサンデーに載ってたやつでしょ」とか勘違いしてるんじゃないでしょうか。

パンチじゃないどころかフサフサ、立原あゆみのあごの細い感じも無視してゴツゴツ、鼻がないせいか不登校のパタリロみたいな感じになってしまいましたが、まず大前提としてヤクザである、という部分はおさえてくれないと。こんな人たちがコワモテでやってきても、ベルト振り回しただけで撃退できそうです。

ああ目の感じが近いんですが・・・書いている途中「あごが尖ってた」といい、そこまではあたりですが次に「口が尖っていた気がする」とすっとんきょうな路線ミスをしてしまったので子供がはやしたてて口笛吹いてるようになってしまいました。あごも尖りすぎですね。下向いたら胸にアゴ刺さりますよ。

一応人の顔のはずですが、トランジスタ回路時代の基盤図みたいですね。コイルとコンデンサーがついてます。パンチ、あとこころもち目が下がっている、という部分に拘泥しすぎて、額が狭くなってしまいましたね。

髪の処理でえんぴつでヨコにシャシャシャシャと流しているタッチが法廷画ぽくみえます。遠い目ですね。なおのこと被告人ぽいです。



同一人物が3パターン描いてきたんですが、まあ弱そうというか、主人公にはなれそうにない感じというか。全員一発でノされてその後の物語にも絡んでこないだろう印象の薄さですね。3パターン描く必要なかったのではないでしょうか。

顔はにていないけれど雰囲気が近いですね。黒いスーツを角度ピシっと張るように着こなす感じ、おぼろげな顔の部品、つねにスラックスのポケットに手を突っ込んでるポーズ、パンチパーマの浅い生え際・・・。さすがに10メートル先にスタスタ歩いてるAV男優を「あれ○○だよ」と判別できる男。すごい判別能力ですね、ってそんなにAV男優に詳しくても仕方ないんだけど・・・。
次はぼくですが、ぼく自信ありますよ。全50巻持ってますから!

ちなみに「本気!」は20巻くらいでヒロイン久美子が白血病で死んで、残り30巻ヒロインなし、その後はずっと出てくるのオールやくざ、主人公がまるまる単行本4巻分くらい刑務所に入る(つまり連載で1年近くも!)という、コレほんとに少年誌?という内容でした。
「本気」と書いてマジ、「弱虫」と書いてチンピラ、「恋愛」と書いていたずら、と読ませるなど独特のルビ打ちセンスをもつ立原先生ですが、近作「ポリ公」はそのままポリコーだったので逆に新鮮でしたな。下手したら「ポリ公」と書いてさすらい、くらいに読ませるんだろな・・・って期待してたのに!!
立原あゆみ的なものを軽く考えて読まない人多いですけど、読み出したら止まらないですよ?
さて大トリですが、画力がなまじあるだけに大失敗、というパターン。

アラさわやかだなー、最近のやくざって。本人は坂田靖子みたい! といって大赤面してましたが、もとはしまさひでのようでもあります。ガタイはいいがでくのぼう、って太陽にほえろの初期ジーパンみたいな。野口五郎からトシちゃんの間に入る顔ですね。目をウルウルにしたはいいけど、口までするから不平顔になったんですよ! ちなみに書いた本人は「家で練習します!」と猛くやしがりしてましたが、そこまでして立原タッチを習得しても使い道はあまりない(大人気作家なのに、フォロアーが誰も出ないのがその証拠)ようにも思いますがねえ・・・。
中野店 岩井