さて、前回は新書・B6サイズの少年青年コミックスのランキングを出してみましたが、
今回はまずA5サイズのランキングを出して行きます。
新書は400円、B6サイズは550円くらい、高くとも6・700円で収まるものが大半ですが、A5サイズは650円から1500円くらいまでと一気に定価が高くなり、かつその分カラーが多かったり装丁が凝っていたりとうれしい部分もあるサイズ。
しかしながら買取をする側から言わせてもらえば、昨今はコミックエッセイ風のあんまり内容がないやネット連載をまとめたものも多く、それらは瞬間風速だけで商売してるものもすくなからずあり、定価に比して内容が薄くない?と思う本もしばしば。体験モノ、潜入モノ、レポート、旅行エッセイ系の女性コミックエッセイは新刊書店では売れているようですが・・・。
あといままでの少年・青年とくらべ、店ごとの傾向というか、色がでやすい種類なんですよね。
たとえばタコシェさんがある中野だとサブカル・ガロ系の作家が強いのですが、秋葉原にあるコンプレックスだと萌え4コマやゲーム系アンソロが売れる、といったように。
ですがランキングをみて「うちで買い物をされるお客様はやはりわかってる方がおおいなあ」とホッとしたというか。
だって中野店のA5サイズ1位が大友克洋の「童夢」ですよ!
大友克洋の作品の中でも金字塔とも言えるものですが、なぜかずっと再版されていない「童夢」。つまり古本で買うしかないわけです。それが年間売り上げ1位。おいおい、「孤独のグルメ」2巻よりも売れてるってどうゆうことですか!
中野店7位は丸尾末広の「少女椿」。13位は大友克洋「さよならにっぽん」。何年前の本だよ、とうれしくなってしまうじゃないですか!
これらは結局のところ新刊書店で揃ってなかったり、扱わなくなって久しいところだったりもします。
反してコンプレックスの1位はというと「今日も一日がんばるぞい」の「NEW GAME!」。
こちらもちゃんとわかっているというか、アニメ化作品じゃなく、瞬間風速で話題になったあのコマからここにたどり着いたんだろうなと言う部分に加え、新しくてきれいな本が定価以下で並んでいるんなら中古でぜんぜんかまわないという、実利をきちんとわかった合理的判断で買われたんだなとうんうんと頷けます。
A5サイズのランキングの全店合計の総合では、
1位 「ご注文はうさぎですか?」1巻
2位 「幸腹グラフィティ」1巻
3位 「ご注文はうさぎですか?」2巻
4位 「ご注文はうさぎですか?」3巻
5位 「幸腹グラフィティ」2巻
6位 「幸腹グラフィティ」3巻
7位 「NEW GAME!」2巻
8位 「幸腹グラフィティ」4巻
9位 「おしえて!ギャル子ちゃん」1巻
10位 「NEW GAME!」1巻
と、実に芳文社まんがタイムKR系が上位10位のうち9つを占める独占ぶり。
以下は気になるところから。
12位「孤独のグルメ」2巻
17位「孤独のグルメ」1巻
2巻は萌えじゃないあたりでのトップ。17ぶりの新刊、と考えるともっと売れて欲しかったですね。
16位「童夢」
おそらく今年いちばん「童夢」売ったのは間違いなくうちでしょうね。
今年話題になったわけでもないこの作品を、いまきちんと買ってくれるお客様がこれだけいるという喜び。
26位「攻殻機動隊」
映画やってるのに講談社が旧版のままで頑張るから・・・新版なぜ出さないのかな?
ホラー漫画家の伊藤潤二でもっとも売れてるのが猫マンガだとは・・・これも売れるだけの数を確保するのが大変な作品。
34位「さよならにっぽん」大友克洋
40位「ファイブスター物語」13巻
63位「犬神博士」丸尾末広
64位「猟奇刑事マルサイ」大越孝太郎
71位「アル中ワンダーランド」まんしゅうきつこ
ここらも印象的なランキング。久方ぶりの新刊のFSS13巻と、30年前の「さよならにっぽん」がランクを争う店はまんだらけだけです!
新書B6は売れている数がケタ違いに大きいのですが、ランキングは没個性的。でもA5サイズは実数は及ばないものの個性派ぞろいですな。
成年はというと、これも古本屋ならではというか。
通常成年コミックスは最新のものに需要が集中するんですが、古くとも人気の作家、また過年度のもので「中古のほうがお手ごろ」になったものもランクインする結果になってます。ですから、最近発表されたとらのあなさんの売れ行きランキングとはずいぶん違った結果になってますね。
1位 武田弘光「いまりあ」2014/12
2位 胃之上奇嘉郎「奉仕委員のおしごと」2014/11
3位 saitomi「いっしょにしよ」2015/03
4位 三巷文「こんなこと」2015/02
5位 Hisasi「ポルノスイッチ」2012/11
6位 Hisasi「少女のトゲ」2013/12
7位 クジラックス「ろりとぼくらの。」2012/11
8位 如月群真「好きになったら一直線!」2015/05
9位 tosh「めんくい!」2010/03
10位 みくに瑞貴「素直になれない!」2014/12
11位 武田弘光「ツンデロ」2008/12
12位 師走の翁「ヌーディストビーチに修学旅行で!」2015/07
13位 しおこんぶ「恋まぐわい」2015/01
14位 鳴子ハナハル「少女マテリアル」2008/05
15位 ReDrop「ヒメパコ」2014/11
16位 tosh「ハーレムタイム」2011/07
17位 Hamao「きらきら」2014/11
18位 新堂エル「純愛イレギュラーズ」2014/11
19位 へんりいだ「はつこいりぼん。」2014/08
20位 岡田コウ「Aサイズ」2015/02
特殊さがわかりやすいようにタイトルのあとに発行時期を記しておきました。
成年に詳しい人がみたら
「なぱたの「ぱんでもにうむ」が入ってないのは何故だ」
「いやいや、織田nonが入ってないほうがおかしい」
と思うかもですが、前者は15年10月発行、後者は11月発行だったので、まだ中古市場で弾数が少なくて・・・というのがあります。それと織田nonの「NON VIRGIN」は手放す人が少なすぎ! 傑作すぎてなかなか手放さないのかもしれませんな。
成年は値段との兼ね合いで考える方も多く、たとえば「ツンデロ」なんて在庫もそれなりにあるため300円で販売中。値段とあの内容で考えたらそれはお得ですよね。Hamaoの「きらきら」も500円と半額ですし。
クジラックスは某通販で販売されておらず、かつ、それなりに発行から日も経っているしで地方では入手しづらいのかも。
少女マテリアルは08年の本で、いまだにこの売れ行きというのはバケモノタイトルとしかいいようがないです。成年の世界において2010年以前というのはほとんどランク内に残らないんですよ。
それと感じたのは、ワニマガジン強いな・・・ということ。20位以内に14タイトルがワニマガジンですよ? かつて強かったコアマガ系が今年の新作で20位以内ゼロとは、月日が流れる速さを実感します。
それではまた。反響があれば半期ごとでも発表しますが、どうなるかは・・・未定です。
(担当・岩井)
中野店 岩井