こんにちわ。製麺所にうどんを買いに行ったら、体格から感じえるものがあったのかオバさんらに何かとオマケされ、一週間で11玉のうどんを食べるハメになった岩井です。
新たな年度も始まり、桜も咲いては散って、暖かくなってきましたね。
さて年度も変わったので、昨年である16年度にまんだらけでどんな本が売れたかを今日は発表してみたいと思います。
ただいわゆる少年コミックの新書判とか、青年コミックのB6版だと新刊でのランキングとあまり差がないんですよね。少年の1位は「進撃の巨人」19巻で、2位が「ONEPIECE」の82巻。
青年の1位は「ドリフターズ」5巻で、2位は「ダンジョン飯」3巻。3位は「東京喰種:re」の7巻。
これは予想が付くというか、まあオリコン発表のそれと対比して特筆すべきものでもなく、古本屋らしいはないものではと。
まんだらけは古本屋ですから、古本屋らしい過去の作品も売れてはいますが、みんなが読むものは流通量も多いので、古本で入ってくる数も潤沢に。なので上位に来るものは新刊書店の売上のそれと類似してしまうという。
古本屋っぽい売上ランクってなんぞやというと、
たとえば中野店の年間のA5サイズ(完全版ドラゴンボールとか「この世界の片隅に」みたいな大きなサイズ)のコミックの1位は、「NEWGAME!」でも「ポプテピピック」でもなくて、大友克洋の「童夢」ですよ? 2010年代の本を押しのけて1983年発行の本がもっとも売れているというこの異質さ。しかも「童夢」はいわゆるプレ値というか、定価以上の売価にも関わらず1位です。多分日本の古本屋で一番「童無」売ってると思います。
2位は丸尾末広「少女椿」、これも映画化されたとはいえ、ぜんぜん最近の本じゃありません。こういうのが古本屋らしいタイトルでありランキングだと思うのですが、これもサブカル寄りのブロードウェイビル内にある中野店で顕著ではあるものの、全店での総合ランキングだとアニメ化された「NEWGAME!」の方が上にくるわけです。
それにくらべると成年の売上ランキングはというと新刊書店のそれとやはり差があるなと思わざるを得ません。新刊書店ではここ2年ほどの成年コミックがメインなので、新しいもの中心で売上が構成されています。
新作は平置き台の上でジャケットを見せて絵柄をアピールされていて、やはりそちらから手を伸ばすのは当然というもの。
一方まんだらけだと90年代の成年マーク以前のものから最新作まであり、古くなったものはそれなりに値段もこなれてきて安く手に入るというのが新刊書店との違いです。そのかわり成年に強い新刊書店にくらべると面陳されているものは少ないので、お客様も好みの絵柄・ジャケから察せられる内容や性嗜好・そして値段の兼ね合いを考えて選んでいるという印象を受けます。
それでは16年4月から17年3月末までの、成年コミックランキングベスト20位をご覧下さい。
1位 武田弘光「シスターブリーダー」16年3月発行
2位 Hisasi「ポルノスイッチ」12年11月発行
3位 クジラックス「ろりとぼくらの。」12年11月発行
4位 師走の翁「ヌーディストビーチに修学旅行」15年7月発行
5位 武田弘光「いまりあ」14年12月発行
6位 なぱた「ぱんでもにうむ」15年10月発行
7位 saitom「いっしょにしよ」15年3月
8位 新堂エル「変身」16年5月
9位 くじら「ギャルとかビッチとか色々。」15年11月
10位 メメ50「発情警報」16年1月
10位まではやはり新刊・近刊がメインではあるものの、1位のシスターブリーダーはさすがの売れ行きで、2位に大差をつけての1位でした。古本での傾向として、新刊がでるとその前の1作も再注目を浴びて需要が高まるという法則がありますが、5位の「いまりあ」はまさにそれでしょうか。
2位の「ポルノスイッチ」はもうHisasiさんの1作目で、発行から4年たついまも大人気という、優れた作品はなかなか古びないのだなと感じさせますね。16位にもランクインしてます。
4位「ろりとぼくらの。」はコミックLOから唯一10位内に入ったのですが、こちらも5年前の本。しかも常に人気で在庫が足りていないという異常な本です。
これはちょっと事情があり、
アマゾンなど新刊通販サイトでは、コミックLO系の本をのきなみ取り扱いをやめたがために、欲しがっている人の手に回っていないのでは・・・というのもあります。それでいて2012年の本なので、成年に強くない新刊書店では手に入りづらいのでは・・・と。
11位 Sian「生ハメ☆ギャルびっち!」16年7月発行
12位 月吉ヒロキ「少女たちの茶道ism」16年3月発行
13位 奥森ボウイ「俺得修学旅行」16年5月発行
14位 御免なさい「だから神様、ボクにしか見えない小さな恋人をください。」16年6月発行
15位 おかゆ「スクールカースト」16年8月発行
16位 Hisasi「少女のトゲ」13年12月発行
17位 きくらげ「きみとえっち」16年4月発行
18位 アガタ「アネ×パコ2 究極版」16年3月発行
19位 みちきんぐ「性活週間」15年11月発行
20位 みちきんぐ「主従えくすたしー」16年8月発行
20位 momi「ふらっぴー!」16年8月発行
11位からは16年発行の本がほとんど。
ふたつランクインしてる、みちきんぐさんの本は先ほどの「前の作品に注目があつまる」パターンでしょうか。
月吉ヒロキさんの8年ぶりのLO単行本もさすがに入っています。「独蛾」が出たときの衝撃と、それ以降のLOムーブメントというのは未だに忘れえぬ記憶で残っています。
そんな感じで何年かずっと成年の動きを見ていて気がついたことで
・コアマガ系に陰りが見え、GOT系の台頭
ベスト20位内に入っている作品を出している出版社で最も多いのはもちろんワニマガジン社。10位以内で8作、20位以内だと12作もありで、相変わらずのヒットメーカー。確かにいいジャケだと思って手に取るとワニマガの本、っていうのは誰しも経験あるはずです。
逆にかつてはワニマガに次いでたくさんのヒットをだしていたコアマガジン社ですが、まんだらけでいちばん売れているのが08年の「ツンデロ」(武田弘光)、次が「PINKERTON」(モノリノ)で、16年発行の本は30位以内で1冊しかランクインしませんでした。これはコアマガがたとえばコミックメガストアなど、ここ数年で雑誌を統合していったこともあるかと思います。
ではかわりにその座を追っているのだと、GOTです。DMM系列というGOTですが、かつてはマイナーで作品数も少なかったものの、今年は20位内に5作もランクインしています。たしかに同社の雑誌「アンスリウム」はよく見かけるようになりましたしね。
・16年作でLO作品にランクインがひとつだけ
前述の月吉ヒロキさんの作品のみがランクインし、あとは「ろりとぼくらの。」が12年、29位に「もっかいするの?」(きんく)がランクインしましたがこれは15年発行。
成年コミックスは通販での売上がそれなりに大きいらしいのですが、多くの通販サイトがロリ系の販売を見合わせたりで市中流通在庫が落ちているのではないかと考えられます。まんだらけは中古販売なので、買取でモノが入ってこないと販売に至らないわけで、もっと入荷があればランクインした作品も多かったのではないでしょうか。
・「non virgin」が売れすぎ
同じように新刊書店などで人気の本で「non Virgin」(non)は入荷・即販売みたいに売れすぎていて在庫が足りていません(現在600円買取中です!)。在庫があれば間違いなくランクインしたでしょうから、このあたり中古流通である部分が新刊書店のランキングと異なる大きな要因になってたりします。
売れている本というのは原則的に手放す人も多いので、基本入荷も多くなるものなのです。ただnon氏に限っては、発売から1年経とうとも圧倒的に在庫不足なのが凄いですね。絵も印刷も版型も良かったので、手放せない気持ちも分かりますし・・・。
というわけで16年度の成年売れ行きでしたが、最後に「中野店の」ランキングは1位が鳴子ハナハルの「少女マテリアル」でした。発行から年数が経っただけあり値段がこなれてきているというのもありますが、新陳代謝が激しいこの世界で8年間売れ続けているというのは奇跡的だと思いますね。
(担当/岩井)
中野店 岩井