今日は天候不順ですが、それでも中野店では5000冊近い数の本を買取しています。そのうち、今日は花沢健吾が帯で推薦コメントを書いてるマンガが3冊あったんです。
花沢氏はわりと帯の推薦文に担ぎ出されやすいのか、よく見かけますが、今回のこれはちょっとと思った。
僕らは花沢氏が推薦した本で、市の世界観を共有したいわけです。ボーイズオンザランに夢中になっていたときに、氏が新井英樹の作品の復刻の帯に名を連ねていてやっぱりと思ったし、元町夏央の本の帯に名前が入っていたときにもやっぱりと感じた。日々ロックの推薦でもああ、あるなと思ったのです、が、今回は趣旨がわからなかったんですよ。なんで花沢健吾がヤンキー系少年画報社の、それもコテコテの闇金融マンガに対して推薦を?悩みつつ背を見るとこれ。
これはないよ。作者名が読めないじゃん。ていうか、偽装だよここまで行くと! 偽装というかサ○といわれても仕方がないレベルです。間違えて買った人いると思うな・・・。 だって背だけだと花沢健吾の著作みたい。
ご丁寧におなじ花カンムリの苗字なので、オビが多少ずれてて、したにも同じように書いてあるんだなと錯覚ささせます。
本屋的に言うと、この本は帯がこんなで作者名が帯から見れないので、棚に入れてもお客様が調べられない。だったら視認性と検索性からいって面だしするか・・・って追い込まれる気もするし、それを狙ってるのかも知れません。
で、ぼくらはそれを知りつつ、さらになぜ花沢健吾が推薦するのかを知りたいのですが、読んでみたら、正直ヤンキン色ににしめた闇金底辺生活者モノとして優れているわけじゃない、正直コンビニ本のオムニバス作品と対してかわらないのかな・・・という出来でした。読んでも何故花沢氏が?というのは謎だったのですが、あとがきを見て納得。
作者の藤原ひとしと花沢健吾は山本英夫のアシスタント仲間だった、と。帯の裏を見て「フッシー初単行本おめでとう!」で馬鹿でかく「花沢健吾応援!」・・・そりゃ間違ってないよ。ないけどさ・・・ああ、縁故ですか!
ぼくは売るためにあざといことをするのは別に否定しません。だからコネで帯というのは前々否定しません。
ですが、帯でもともとの作者名がまったく読めず、帯を取らないと本来の作者名が読めないというのはまず作者本人を損なっているのであまり感心はしません。そしてそこに、何十倍もネームバリューのある作家の名前を記すというのは・・・。
で、このブログを読んだ人が覚えておいてほしいのは「ダマされるな」ではなく、それもそれで今のコミック界の商売の仕方のひとつなんだなということです。
それにしても、あとがきで花沢氏とおなじカマの飯食った仲間なんだってことは、隠したってよかったわけで。というか、隠した方がハクがついたわけで。それをあえて触れたのが、この藤原さとしさんなりのこの扱い、装丁への抵抗だったのかもしれないですね。
中野店 岩井