「剛力彩芽の顔ってつのだじろうの描く女に似てるよね」
という言説がネットででまわってますが、僕それを知ったときとんでもない!と思わざるを得ませんでした。そうじゃない!
正しくは
「つのだじろうの描くような女性の顔が美しい、といわれる世の中に、ようやくなってきたよね」
「剛力彩芽の顔が美しいのは、つのだじろうが描いたからだよね」
ですよ!
さてつのだじろうといえば「うしろの百太郎」ですが、主人公である一太郎と、百太郎はつのだ先生による筆で描かれていますが、一太郎の父とか、霊能犬ゼロとか、わりと主要なキャラクターでもバリバリ他人の筆で描いてるんですな。恐怖新聞もそう。主人公の鬼形とポルターガイスト以外は、ほとんどアシスタントの絵です。
そんなわけで意外にも主要作に女が出てこないのですが、それは表の世界、つまり霊魂のマンガだけです! 裏の世界、つまり「夜と女と酒のマンガ」では、女性はほぼすべてつのだ筆です! 昔から思ってましたが、つのだ先生の描く女性はめっちゃ美女だらけですよ!? 類型的なハの字眉に釣り目、みたいなのばかりじゃないと、断言しておきましょう!
というわけで剛力彩芽ぽいかどうかに関わらず、つのだ美人とつのだ世界観にあふれたコマを抽出してみました!! もちろん元ネタは
「悲しげな女が踊る」シリーズと「女たちの詩」シリーズからです!
これがまず覚えるべき典型的なつのだ美女ですね。目と眉の形と、ちょっとぷっくりした下唇が特徴です。
つのだ先生が「少女性をちょっとかもし出したいな」と考えたときによく使われる前髪パッツン眉毛隠しです。ちょっときゃりーぱむぱむ(発音できない)ぽいですね。この絵を背景に「つけまつける」とか流したらそれなりにニコ動で反響あるんじゃないかと思いますよ。
もちょっとマユの形が反ってたら剛力彩芽ぽいのになと惜しいですが
いわゆる「つのだ泣き」でダランダランに涙流すととたんに剛力彩芽のカケラもなくなるのが不思議といえば不思議。
とにかくこの「女たちの詩」シリーズはレイプ、泣く、裏切られる、自殺する、という女性の4大ダークネスをねっとりしっとりと描いてるので、前おきで「女たちの」と来たあとに、「歌」とくるなら賛歌のほう、「唄」だったら唄い踊るほう、でも「詩」は叙情詩かエレジーのことなんだな、と、読めば読むだけ眼前がボンヤリとグレー化するような絶対的事実がわかるだけです!
「つのだ泣き」のように独自の境地の表現がありますが、これはつのだファッションです。奇抜すぎます。麻呂にも程があります。
これは「つのだオールドミス」。つのだ先生はオールドミスのヒステリーを描くのも上手いんですよ。まさにエレジー。哀歌です!
でこれが「つのだ姉御」。こんなふうに男を誘っても実は処女、というのが泣かせますね。作中、強気な女性が多いです。
これが「つのだコピー」。前衛的ですな。70年代の喫茶店みたいな絵です。
意外につのだ先生はかなり早くからコピーを導入して作中に表現手法として使ってます。写真を大胆にコピーしたコマも頻繁にありますしね。
で「つのだリンチ」。リンチも多いですね。異性からはレイプ、同性からはリンチ。逃げ場所がないとはこのことです! アワビを取ったとらないで大モメ。海女は怖い!
で、これらを複合してくと最終的にはこうなります! 「ババじゃないか!」などといわないでください! 最終的に「ひとりぼっちのミチコ」はつのだ先生の闇と夜をぐわっと集約してるので、これが選ばれるのは仕方がないことなのです!!
つのだ泣きにつのだ眉、つのだ斜線・・・何度見てもイイセリフ、いい表情! 過去記事ですがもいっかい読んでください「ひとりぼっちのミチコ」!
さて、つのだで閉めてつのだで明ける「岩井の本棚BLOG」。また「悲しげな女がおどる」を紹介したい欲求が首をもたげてきました! 近日中にアップしますのでたまにはのぞきにきてやってくださいね!!
中野店 岩井