芸能界において奇抜なものは注目を集めやすい、というのは鉄則ですが、80年代は「日本語をしゃべる外国人」というだけでタレントになった人がたくさんいます。90年代になるとオカマちゃんがタレントに、90年代後半にはちょっと変わった教授や評論家サブカル的な人気者もタレントとして消費されました。麻原彰晃がとんねるずといっしょに人生相談に出てた、って今考えるとすごい話です。
そんな中でもギャルというのは鉄板で供給され続けるキャラクター。神田うの以降というか、傍若無人キャラとかお騒がせ女子、みたいなノリで、この枠を争ってるグラビア美女あがりはたくさんいるわけです。
神田うのなんて、人々の印象に残る仕事なんて何ひとつしてないのに、なぜか季節季節でテレビに出てきて記者に囲まれてコメントしたりしてるでしょ。あれ収入はともかくとして、超勝ち組ですよ。何の仕事でのし上がったのか分からないけれど、いつの間にか全員名前知ってるなんてことは実社会じゃあそうそうないよ。
で今年になってきゃりーぱみゅぱみゅがブレイクしたのですが、中田ヤスタカのエレクトロを歌う、原宿系のバリバリなサブカル女子にもかかわらず、テレビでしか芸能にふれないオトーサンからみたら「ハデな格好したギャル」にしか過ぎないのかな、と思うような認識の模様。きゃりーぱみゅぱみゅとローラを同じ枠だと思ってるオトーサンは多そうです。
何故そんなことを思ったのかというと今週のビッグコミック「そばもん」読んだからですね。
「そばもん」は流れの蕎麦職人が主人公で、旨い蕎麦まずい蕎麦を「何故ダメか」まで含めて素人にも分かりやすく説明してくれる稀有な漫画で、最近では手打ちと機械打ちの差と利点欠点の話がよかった。
蕎麦好きにとっては手打ち至上主義というのは過去の思想ですが、手打ちだからといって何でもありがたがる人、機械打ちだからといってすべて否定する人、というのはまだまだ少なくありません。「水まわしは手で」「切りは機械で」「圧延はどうしたらいい」など、踏み込んで話しています・・・それでも、ときどき変な描写や説明もそれなりにあったりはしますが。でも分かってる人がちゃんと取材してるな、というのは感じますね。
で今号は「スーパーで売ってる家庭用のそばつゆはなんでこんなにマズいんだ」という話の続き。職人みたいにそばつゆをしっかり作るのは厳しいから、せめて市販のつゆを美味しく食べる工夫はないか・・・というのがテーマ。ですが、市販そばつゆマズいと訴える男性の娘がなんか。なんかアレです。名前も「ぱみゅ」ならぬ「みゅう」だし。
・・・まあこれだけではわからない。頭の上になんか乗っけることが多いきゃりーぱみゅぱみゅみたいにデコっただけなのかもしれない。まあ絵が古いことはさておくとしても・・・。でもこっちの絵を見て確信しましたね。
右上のはこないだ出たCD「ぱみゅぱみゅレボリューション」限定版のジャケから。そのまんまサメ乗ってますね。
真ん中のは「もしもし原宿」のジャケからのインスピレーションです。
まあここまではいいとして、あとの3人があからさまにテキトーに描いた想像上の女子ですね。左の子とかKISSみたいになってるし。エレクトロというよりこれはグラムロックかメタルの人だよ。
そんなきゃりーみたいな子が「ざるそば~~」「おそば大好き~~」。空想上。あまりに空想上の生き物です!
しかしよく考えてみてください。作者の山本おさむはもう60近いわけで、そんなヒトがきゃりーぱみゅぱみゅをちゃんと知ってるというのだけでも気が若いという気もします。主人公が作者を投影したセリフで「またしても混乱する昭和の人」「時代に取り残されていく自分を感じる」なんてのも出てくるし。ビッグコミック4兄弟の中でももっとも年齢層が高い「ビッグコミック」連載だから、読者的には「最近の若い子は奇抜だねェ」なんて意見の方が大勢でしょうしね。
でも、でもですよ。「Hey!ブルースマン」など描いているくらい音楽に造詣が深い氏だから、ひょっとしたらリアルで聴いているのかもしれない。山本おさむよりも1歳年上の小林よしのり(58)が、AKB総選挙にあれだけ熱く語る昨今、山本おさむがきゃりーにハマっててもおかしくは、ない・・・ですよね。
・・・待て待て、どこのテレビつけても雑誌読んでも乗ってるAKBにハマるのと、原宿系はぜんぜんちがうだろ!
中野店 岩井