食いしん坊福田は、実はSFが大好きである。小学生時代から小松左京、筒井康隆を愛読し、星新一のショートショートは全単行本読破した。三浦健太郎が、「ベルセルク」はこの作品へのオマージュです、と先日ヤングアニマルで語っていた「ダークグリーン」は、へへん、リアルタイムで読んでたもんね、というのが自慢だったりする。佐々木淳子は本当に、ハードな設定のSFをきちんと少女マンガに落とし込んでいるのが見事で、「SHORT TWIST」なぞ、よくまあこのスケールの話を短編にしたな、と感動してやまないのだが、今回語りたいのはまた別の作品。
東京のど真ん中にいきなり出現した巨大な花のせいで、都市機能は壊滅状態におちいり、安否のわからない大勢とその帰りを待ち続ける家族たち。
こんなSFマインドを刺激してやまない設定なのは、「花と奥たん」。高橋しんが週刊および月刊スピリッツに描いていた、未完の作品。
主人公の奥たんは、帰ってこない夫を心配しながら、いつ帰ってきても大丈夫なように毎日おいしいごはんを工夫してつくっていて、この献立が、もう、素晴らしくおいしそうでたまらないのである。
そう、このマンガ最大の魅力はステキごはんにほかならない。巨大バッタに襲われるシーンでも、戦闘のワクワクよりもまず、コメ大丈夫か、バッタから守ってごはんつくれるかが心配になってしまう。
実際、マンガ後半になるとメニューに変化が見られるのがわかるだろうか。
主食がない。米も小麦も不足して、オカズだけ的な内容になってしまっている。それでもとびきりおいしそうなことに変わりはないのだけれど。
献立で切なさを現せる珍しいマンガ、食い意地のはったSF者にオススメです。
(名古屋店/福田)
名古屋店 飯田
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