少々古い話になるが、食いしん坊福田が寄生獣の実写映画を観て驚いたのが、新一がスマホを使っていたことである。現代の高校生としては、いたって普通のことであるが、寄生獣の連載されていた1990年頃にはスマホはおろかケータイすら全く普及しておらず、当然原作にも出てこない。
けれども、今を舞台に映画化するのなら、それらを使わないのは不自然極まりないので、この変更はあたりまえであろう。そして映画は、細かな原作との差異は他にもあれ、きちんと「寄生獣」で良かったのだけれど、このような名作でさえ、やはり時代と無縁ではいられないのだなあとしみじみしてしまったしだいである。
なぜ、今頃こんな話をするのかといえば。最近、「大市民」の傑作集という名の抄録をよく見かけるからである。
柳沢きみおのライフワークともいうべき「大市民」シリーズ。90年代から雑誌、出版社を変えつつ、途切れつつも続いている。
作者の分身・小説家の山形が、こだわりを語りたおすマンガで、美味し、という決めゼリフが有名である。
山形は別に食べ物ばかりでなく、政治、野球、日本の四季、健康法など、気になることはかたっぱしから話題にしているのにもかかわらず、この傑作集はすべてメシネタ中心なのだ。
食マンガが流行っているから、というのはもちろんだけれども、やはり、食べ物マンガは時代を超える、ということではないか。
例えば、30年前のプロ野球事情を今読んでも、たいていの人間は面白くないだろうし、バブルの時代の話など、ピンとこない読者が多いのではないか。
それにひきかえ、カツ丼の旨さは共感しやすい。喫茶店のナポリタンがいいと言われれば確かに、と首肯できる。
さあ、時を超えた山形の美味しを体験してみようではないか。
(名古屋店/福田)
柳沢きみおの「大市民」シリーズはこちらから。
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名古屋店 福田
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