人間疲れていると体力が落ち、命の危機を感じるせいで、生殖本能が働くそうです。
担当も、仕事や原稿・趣味の制作でへっとへとになればなるほど
推しキャラのけしからん妄想で己を鼓舞してみたりと頭の中が大忙しになります。
誰しも一度は経験ありますよね?・・・あ、ないですか?
今回ご紹介するのはそんな類まれなる妄想力に少々お困り気味の
美術部部長つるたさんが送る、かわいくて笑える日常の一冊
「つるた部長はいつも寝不足」です。
MFコミックス 「つるた部長はいつも寝不足」 須河篤志
キラキラやデジタルが主流となっている二次元界において
アナログのざかざか塗りの質感が、表紙も本文からも感じられる
本はとても貴重な気がします・・・アナログ派の担当もにっこりです。
正統派セーラー服も良いし、何より絵の具で汚れたみずみずしい女子高生のお肌がまぶしいです。すき。
主人公の鶴田恵は美術部の部長をしている上級生です。
だけど、つるたさんの高校の美術部は絵画の知識が明るい教員がおらず
まともにデッサンの指導もできない有様。
そこで、指導役に抜擢されたのが絵の上手い1年生・瀬戸くん。
見た目もさわやかで指導も的確。ほとんど無償で美術部に手を貸してくれることに
部長として感謝しつつも、つるたさんは瀬戸くんのことがなんだか気になっています。
それに対してつるたさんはというと、部長なのに絵のクオリティはそこそこ。
特に大きなカリスマ性があるわけでもなく、下級生にジュースの買出しを頼まれてしまったりと
威厳なんてものはなんにもない普通の女の子・・・なのですが、
実は、つるた部長には人には話せない秘密があるのです。
その秘密とは、
人よりえっちな妄想をし過ぎること!
しかもその妄想は、場所や時間を選ばず、ありとあらゆる日常生活の中に
トリップしてしまう起爆スイッチが隠されています。
時にはカメラの使い方で。
時には版画の専門用語で。
しかも、現実からなんの切り替えもなくシームレスに妄想に突入するので
読んでいるこちら側としてはいったいどこからが妄想で、
どこまでがリアルだったのかが読み進めている間はわかりません。
ひゃーそんな、ばかな、そんなことってー!?って
こちらが指の隙間から覗きながらドギマギしているのも束の間、
鼻血を盛大に噴いたり、白目剥いたりしてるつるたさんが、
一生懸命まわりに気付けされてる姿に戻り、
ようやくそれが妄想だったのだと読み手は、ハッと我に返ります。
くそ・・・してやられた・・・で、でも、なんだか悪くない妄想だったぜ・・・と
段々そのハラハラドキドキが癖になってきます。
物語はちいさな美術部の部活風景や、部活動の中で部員たちがぶつかる
ものづくりに関する、楽しさや、ひとりひとりの情熱の形。
現実的な技術の向上などをわかりやすく描いており、
さらに絵を描くことを通じて、少しずつ距離を近づけていく
つるたさんと瀬戸くんの初々しい恋の行方も描いています。
果たしてつるたさんの妄想が現実となる瞬間は現れるのか!?
また、つるたさんが妄想やえっちな悩みに困ったときに駆け込む
保健室の描写も毎話ごとのお約束!という演出で
つるたさんにしてみれば保健の先生に純粋な相談をしているはずが、
肝心の言葉が足りなすぎて、いつのまにかあやしい性の相談になっているという
掛け違いがとても面白いです。先生がんばれ。超がんばれ。
著者の初連載作品ともあって、画面の荒削り感が凄く"人が書いている"という
線を味わえるので
テカテカしたデジタル彩色の世界にちょっと食傷気味の方におすすめです。
(担当:まりな)
中野店 まりな
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