鄭問(チェン・ウェン)といえば「東周英雄伝」であり、近年の仕事「鄭問之三国志」でもあるように、中国の歴史物に卓越した作家というのが日本でのイメージですが、氏の母国である台湾ではそれに限らずSFものも描いていると聞きます。
初めて東周英雄伝を読んだときのインパクトは忘れられません。太筆で大胆に描いたかと思えば、モブシーンの兵士の鎧や武具までを精緻な筆致で描ききる。日本のマンガ界にはない描写であり筆致であり感性だったので、当時かなり売れていたと記憶しています。
もっともこの「海外の作家の作品を日本に」のほぼ唯一の成功といえるのも鄭問氏くらいで、当時モーニングはヨーロッパの作家の作品を頻繁に掲載したり単行本化したりしていましたが、いわゆるショウバイになったのは結局のところ鄭問だけでした。
モーニング、オープン増刊、アフタヌーン・・・なぜ講談社は「海外の作家を日本に」の夢が捨てきれないのか。最近も、モーニング2で「日本にはない感性」とか「MANGAの影響を受けて育った世代」などといって海外作家の新人コンペを行ってましたが、まあ間違ってはいないものの単行本が出たから買うかと言われたらちょっと微妙、という群に感じましたが如何なものでしょうか。
実際のところ、ネット時代もその前夜も、日本の読者の多くは「海外のまだ見ぬ異才のマンガを紹介してほしい」欲は薄いんじゃないかと思うのです。絵に関しては別だと思いますが、マンガとなるとどうなんでしょうね。
さて話しを戻しまして、27日にグダンドカオスではこれを出します。やっと全5巻揃いましたよ。



1巻は100円棚でもフツーに見当たりますが、キキメは5巻です。5巻はめったに入ってきません。セットの価格の半分くらいは5巻の値段だといってもいいくらいです。
同時代的なマンガ暦を持つ方なら分かると思うのですが、人間界の話だったので期待して読んだのが1巻、それが魔界の話になってついていけないな・・・と感じ始めたのが2巻。3巻は東西南北の魔界の有力者と理想王、収妖王、そして百兵衛・・と、聞いたこともないような東洋の魔物が出てきて正直読んでてもついてけませんでした。
本誌で読んでた僕ですらついていけなかったのと同じように、多くの人はやっぱり2巻から先を買わなかったんです。そこを最後5巻まで付き合った方は、正直辛抱強いなと思うしだいです。今回改めて3,4,5巻を見ましたが、魔界編になってから話がどこに向かうのかホント読めないんです。絵は達筆でも、話がマンガ的な文脈に沿いきれてないといえばいいんでしょうか? 近年のたとえばBoichiの全くの違和感のなさはやっぱりすごいことなんですね。
逆に言えば、最後どうなっているのか気になったままの方も多いと思うのも本作です。セットがなかなかの相場で落ち着いているのも充分に分かります。
もっともこの「深く美しきアジア」の尻すぼみで、「鄭問にはオリジナルストーリーは向いてない」と判断されたのか、結局その後オリジナルものは日本ではしばらく発表されず・・・というアフタヌーンの海外戦略がちょっと下向く結果になったのが忘れられません。
話は、あらゆる災厄を呼び込む疫病神の百兵衛と、秩序と統制によって世界を統一しようともくろむ理想王との争い・・・というものですが、この理想王のインパクトが強かった。理性と秩序が最高のものとしんじて、何事も規則を自分に律している男ですが、このシーンが忘れられません。

しばらく寝てないと耳たぶが長くなるので、カミソリでスパっと切るシーン。このシーンは1巻読んだ人は皆覚えてるシーンだと思う。あと、理想王同様のパワーを持った完美王が登場したときのここ。

怒ると自分を律しようと、あやとりをするんですが、この出来! でもこれはあやとりなのかな~!? ちょうちょとかつり橋とかつくってるのがアホらしくなる出来具合です。
このセット、しかし紙ヤケと背ヤケが若干あるので、3150円。27日にショーケースに出しますのでグランドカオスに是非!
初めて東周英雄伝を読んだときのインパクトは忘れられません。太筆で大胆に描いたかと思えば、モブシーンの兵士の鎧や武具までを精緻な筆致で描ききる。日本のマンガ界にはない描写であり筆致であり感性だったので、当時かなり売れていたと記憶しています。
もっともこの「海外の作家の作品を日本に」のほぼ唯一の成功といえるのも鄭問氏くらいで、当時モーニングはヨーロッパの作家の作品を頻繁に掲載したり単行本化したりしていましたが、いわゆるショウバイになったのは結局のところ鄭問だけでした。
モーニング、オープン増刊、アフタヌーン・・・なぜ講談社は「海外の作家を日本に」の夢が捨てきれないのか。最近も、モーニング2で「日本にはない感性」とか「MANGAの影響を受けて育った世代」などといって海外作家の新人コンペを行ってましたが、まあ間違ってはいないものの単行本が出たから買うかと言われたらちょっと微妙、という群に感じましたが如何なものでしょうか。
実際のところ、ネット時代もその前夜も、日本の読者の多くは「海外のまだ見ぬ異才のマンガを紹介してほしい」欲は薄いんじゃないかと思うのです。絵に関しては別だと思いますが、マンガとなるとどうなんでしょうね。
さて話しを戻しまして、27日にグダンドカオスではこれを出します。やっと全5巻揃いましたよ。





1巻は100円棚でもフツーに見当たりますが、キキメは5巻です。5巻はめったに入ってきません。セットの価格の半分くらいは5巻の値段だといってもいいくらいです。
同時代的なマンガ暦を持つ方なら分かると思うのですが、人間界の話だったので期待して読んだのが1巻、それが魔界の話になってついていけないな・・・と感じ始めたのが2巻。3巻は東西南北の魔界の有力者と理想王、収妖王、そして百兵衛・・と、聞いたこともないような東洋の魔物が出てきて正直読んでてもついてけませんでした。
本誌で読んでた僕ですらついていけなかったのと同じように、多くの人はやっぱり2巻から先を買わなかったんです。そこを最後5巻まで付き合った方は、正直辛抱強いなと思うしだいです。今回改めて3,4,5巻を見ましたが、魔界編になってから話がどこに向かうのかホント読めないんです。絵は達筆でも、話がマンガ的な文脈に沿いきれてないといえばいいんでしょうか? 近年のたとえばBoichiの全くの違和感のなさはやっぱりすごいことなんですね。
逆に言えば、最後どうなっているのか気になったままの方も多いと思うのも本作です。セットがなかなかの相場で落ち着いているのも充分に分かります。
もっともこの「深く美しきアジア」の尻すぼみで、「鄭問にはオリジナルストーリーは向いてない」と判断されたのか、結局その後オリジナルものは日本ではしばらく発表されず・・・というアフタヌーンの海外戦略がちょっと下向く結果になったのが忘れられません。
話は、あらゆる災厄を呼び込む疫病神の百兵衛と、秩序と統制によって世界を統一しようともくろむ理想王との争い・・・というものですが、この理想王のインパクトが強かった。理性と秩序が最高のものとしんじて、何事も規則を自分に律している男ですが、このシーンが忘れられません。


しばらく寝てないと耳たぶが長くなるので、カミソリでスパっと切るシーン。このシーンは1巻読んだ人は皆覚えてるシーンだと思う。あと、理想王同様のパワーを持った完美王が登場したときのここ。


怒ると自分を律しようと、あやとりをするんですが、この出来! でもこれはあやとりなのかな~!? ちょうちょとかつり橋とかつくってるのがアホらしくなる出来具合です。
このセット、しかし紙ヤケと背ヤケが若干あるので、3150円。27日にショーケースに出しますのでグランドカオスに是非!
中野店 岩井