こんにちは。
まんだらけの画太郎先生担当の中野店わきです。
前回は先生の連載デビュー作「珍遊記-太郎とゆかいな仲間たち-」を紹介させていただきました。今回は「珍遊記」92年の連載終了後約2年の時を経てスタートされた2作目の連載作品「まんゆうき~ばばあとあわれなげぼくたち~」をご紹介します。
ジャンプコミックス単行本(新書サイズ)全2巻の表紙
新装版単行本(B6サイズ)全2巻の表紙
一目瞭然なのですが同じ作品でありながらこの表紙の差・・
95年のジャンプコミックス当時の表紙は本当に尖っていてほぼ「売ってやる!」という野心に於いてはゼロであると思われます。これを本屋で一見さんが買う場合その方は確実にハイセンスです。ただ新装版の娘々にあざとさを感じるかと言えばそんな事はなくただただその異常な可愛さ・聖女のような存在である娘々にほんわりさせられる自分が居るのでやはり画太郎・・好き(はぁと)という気持ちを確認せざるを得ません。
「まんゆうき」は、前作の「珍遊記」に比べ非常にまったりとした作品です。社会への攻撃性は少なく純粋に娯楽漫画としてのんびり楽しめます。物語はとある田舎の村で主に農業で生活を営む平和な住民達の元にむかーし昔に絶滅したハズの妖怪が現れ村を乗っ取られてしまい、村の長老は「萬々山」に住む仙人「萬々様」に倒してもらうんじゃ!と使いを送るのですが・・(!!)という所から話がはじまります。
設定としては戦前の日本と中国の間といった所ですが全体的な町並みや生活レベルの描写等の世界感は珍遊記に近く後の「珍遊記2-夢の印税生活編-」(スーパー画太郎大戦的な話)でも珍遊記キャラとまんゆうきキャラが同じ世界に住んでいるのが違和感無く同じ世界の住人であるという認識ができます。
ヒロインの娘々は「赤んぼの頃に橋の下にダンボールに入れられ捨てられている所を不幸にも萬々に拾われてしまい後継者として育てられるはめになった薄幸の少女」です。娘々は全画太郎作品の中でも屈指の人気キャラで「萌えキャラのオリジン」等と呼ばれてもおり、画太郎先生の作品を読んだ事の無い方にも高知名度なキャラ。萬々は不老不死の仙人でビル4階くらいある巨体の老婆です。(かつて妖怪退治で世界を救った伝説の仙人ということにされていたがその実萬々は妖怪蒐集が趣味であり退治という概念はなかった事が後に判明)娘々は仙人の弟子なので不思議なお札を使い「仙術」を行えたり、馬語が話せたりします。優しい性格で困った人を見ると放っておけず助ける事で色んな艱難辛苦が・・という物語です。
娘々の初登場シーンです。村人が萬々様に助けを求めに来ます。
しかし萬々様がお昼寝中のため相手にされず
弟子の娘々に来てもらおうとしますがそこには急で長い階段が・・
村人、階段から転がり落ちてショーゲキの転落死。
お わ か り い た だ け た だ ろ う か ・・・
「画太郎」で有名な「階段オチ」は既にここから始まっていたのです!!!
(ちなみに「まんゆうき」ではこの階段で3人死んでいます。完全に人殺し階段であると言えるでしょう・・)
村人の願いを聞いて村に妖怪退治に出向いた娘々でしたがかなりの難敵。
しかしとっても!ラッキーマン方式で妖怪退治に成功。村に平和をもたらします。めでたしめでたし。
これが水戸黄門で言う印籠→家来活躍→一件落着黄金パターンのようなものでその他のパターンは「萬々様が助けに来る」バージョンがあります。私はこの萬々様バージョンが楽しみで(あんなふうに見えて実は娘々のピンチを察知して飛んで来ていると勝手に私は思っています)当時から生原稿はどれだけ描き込まれているんだろう・・とジャンプの荒々しい誌面を凝視したりコンビニでコピーしてそれを壁に貼ったりしていました。(コピーして白黒の誌面になるとものすごい迫力になり、映えるんです。皆さまも是非やってみてください)萬々様というキャラは無敵の強キャラでとにかくカッコ良いんです。画太郎ファンで萬々に「様」を付けない人は誰も居ません。
萬々様登場!!!(でかい・カッコイイ)
ばちこ~ん からの バタンQ
筋斗雲に乗れるので心はキレイです
実はこの「まんゆうき」は週刊少年ジャンプ掲載時と単行本掲載時の順番が相当違います。単行本では前半に主に娘々と萬々様が活躍する読切→後半「ゴッドベイダー編」となっていますが、雑誌掲載時には 読切 → ゴッドベイダー編 → 読切 という順番でした。全21回終了という事を考えると正直迷走(あっ!)しての結果だったのかも知れませんが私は毎週楽しく読んでいましたよ。もう終わっちゃったのか・・と私がポ完だよ!!!と思った記憶が未だに鮮やかです。無念。
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雑誌掲載時と単行本の掲載順を参考までに
「まんゆうき~ばばあとあわれなげぼくたち~」
週刊少年ジャンプ掲載時順番
1994年28号 巻末に予告ページ有り ※単行本未収録
1994年29号 一発目/復活萬々 ※表紙
1994年30号 二発目/娘々爆発!!
1994年31号 三発目/妖怪じじい
1994年32号 四発目/くびなしおとこ
1994年33号 五発目/走れババア ※単行本未収録
1994年34号 六発目/神かくし
1994年35号 七発目/神かくしR
1994年36+37号 八発目/ゴッドベイダーその1
1994年38号 九発目/ゴッドベイダーその2 ※表紙
1994年39号 十発目/ゴッドベイダーその3
1994年40号 十一発目/ゴッドベイダーその4
1994年41号 十二発目/ゴッドベイダーその5
1994年42号 十三発目/ゴッドベイダーその6
1994年43号 十四発目/ゴッドベイダーその7
1994年44号 十五発目/ゴッドベイダーその8
1994年45号 十六発目/ゴッドベイダーその9
1994年46号 十七発目/サンタがまんちにやってきた
1994年47号 十八発目/平成狸合戦ちんぽこ
1994年48号 十九発目/きつねのうでだめし
1994年49号 ニ十発目/天下一ぶどう会
1994年50号 二十一発目/ポックリ大魔王復活!!
単行本掲載順番※回数は明記されていません・○は単行本描き下ろし
【ジャンプコミックス1巻(新装版上巻)】
復活萬々伝説(前編)= 1994年29号 一発目/復活萬々 ※表紙
復活萬々伝説(後編)= 1994年30号 二発目/娘々爆発!!
妖怪じじい = 1994年31号 三発目/妖怪じじい
くびなしおとこ = 1994年32号 四発目/くびなしおとこ
サンタがまんちにやってきた = 1994年46号 十七発目/サンタがまんちにやってきた
平成狸合戦ちんぽこ = 1994年47号 十八発目/平成狸合戦ちんぽこ
きつねのうでだめし = 1994年48号 十九発目/きつねのうでだめし
天下一ぶどう会 = 1994年49号 ニ十発目/天下一ぶどう会
ポックリ大魔王復活!! = 1994年50号 二十一発目/ポックリ大魔王復活!!
○特別描き下ろし漫画 ばばあのちえぶくろ
○神々の黄昏 ばばあ論(ハエたちのたそがれ ばばあろん)
○おまけ H氏の設定・ラフ
○「妖怪大図鑑」9ページ
【ジャンプコミックス2巻(新装版下巻)】
神かくし = 1994年34号 六発目/神かくし
続・神かくし = 1994年35号 七発目/神かくしR
ゴッドベイダーその1 = 1994年36+37号 八発目/ゴッドベイダーその1
ゴッドベイダーその2 = 1994年38号 九発目/ゴッドベイダーその2 ※表紙
ゴッドベイダーその3 = 1994年39号 十発目/ゴッドベイダーその3
ゴッドベイダーその4 = 1994年40号 十一発目/ゴッドベイダーその4
ゴッドベイダーその5 = 1994年41号 十二発目/ゴッドベイダーその5
ゴッドベイダーその6 = 1994年42号 十三発目/ゴッドベイダーその6
ゴッドベイダーその7 = 1994年43号 十四発目/ゴッドベイダーその7
ゴッドベイダーその8 = 1994年44号 十五発目/ゴッドベイダーその8
ゴッドベイダーその9 = 1994年45号 十六発目/ゴッドベイダーその9
特別読切漫画 家・なき子 ※週刊少年ジャンプ1995年9号に掲載されたものですが前後がかなり改変されています。雑誌掲載時は母親の医療費(人質代100万円)を稼ぐという設定でしたが単行本ではみなしごのススがわずか一週間で裸一貫から日本一の大金持ちに成り上がるという話になっています。
○漫画家を志す、ちびっ子達のために、ばばあが、一肌脱いでくれました。
○いろんな角度のばばあ
○歩くばばあ
○走るばばあ
○座るばばあと寝るばばあ
○ばばあのいろんな表情
○漫画家適性テスト1(「本心はなんだ?」ばばあのいろんな表情を活用したもの)
○漫画家適性テスト1 解答(ばばあのいろんな表情を活用したもの)
○漫画家適性テスト2(「死んでいるのは誰だ?」ばばあのいろんな表情を活用したもの)
○漫画家適性テスト2 解答(「死んでいるのは誰だ?」ばばあのいろんな表情を活用したもの)
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画像は良くネットで流れてくる「ばばあのいろんな表情」です。
こちらはまんゆうき単行本の2巻・下巻に収録されていますが、
私のオススメは「走るばばあ」です。
本当に目を凝らして良くご覧になってみてください。ひからびた瓜(想像)のような乳のばばあですが本当はこんな揺れ方しないんだろうけど「この揺れ方」をしている事が面白過ぎてもう何度も見てしまいます。はぁ・・私の癒し☆ 辛い時にこのイラストを思い出すと辛さが緩和されるので是非思い出して見てください。
単行本のまんゆうきは描き下ろしのおまけページが質・量が信じられないくらいのハイクオリティーかつ大ボリュームで本がこんなに安くていいのかと思えるほどです。ちなみに新書版と新装版(B6)ではほぼ内容は同一ですが新装版発売時に「いただきまんもす」が当時ネタ元のお方が逮捕されたりでどうなっちゃうんだろうと心配しましたがそのままでホッとしたものです。唯一の違いは新書版の前後に載っている画太郎先生の挨拶が無いこと、しかしB6版は表紙だけでも十分に購入の価値があります。店頭で違いを聞かれたら珍遊記は絶対に新書を推しますがまんゆうきはどうしてもというなら新書、でもB6でも全然大丈夫です、とお答えすると思います^^
最後にゴッドベイダー編にも少し触れておきます。
天才科学者・Dr.ヘーシー(名前は当時の担当編集者の瓶子氏から・現編集長)を擁して大妖怪「あっぱれ太郎」の誕生を企む「ゴッドベイダー」率いる悪の組織それが「秘密結社ゴッドベイダー」です。相当昭和ライダーの香りが色濃いのですが(画像は「極楽大使」)実際DVDで地獄大使を見てみるとあの被り物感といい色の感じといい、まんゆうきの極楽大使はカラー描写が無いのですが黄金と銀色のストライプが見えてくるかのようで画太郎先生の描写のこだわりに染み入る事ができます。
ちなみに先生は今年でデビュー26周年にもなるというのに「画集」の発行が1度もありません。「わらってごらん」は画集とも言えるのですが、細かく言うとあれは月刊少年ジャンプに連載されていた「1コマ連続漫画」とも呼べるものであり、世間で言う「画集」とは異なるように思います。漫☆画太郎画集の発行を切に願っています。当然「少年ジャンプ」の表紙も当時のジャンプを手に入れないと拝めないのですが、まんだらけではジャンプのお取り扱いがありますので表紙を載せておきます。中野店では4Fマニア館でお取り扱いがあります。このイラストは抽プレのテレホンカードなどにもなっておりますが秀逸の作品だと思います。家の本棚の背表紙にこのジャンプの娘々が居たら嬉しいですね。日々が潤います。
実写版珍遊記の公開が近く画太郎先生に対する注目もより一層強まってきました。まんゆうきは画太郎先生の「絵」自体を凝視してその世界に心躍らすことのできる作品です。私は珍遊記では先生の志の高さに惚れたのですが、まんゆうきでは絵の素晴らしさに震え惚れ直しました。
漫☆画太郎先生の作品に興味を持たれた方はこちらから是非お願いします。
漫☆画太郎先生の単行本未収録作品一覧表(買取情報)です。
お持ちの方是非!!!
http://www.mandarake.co.jp/information/buy/book/comic-mishuroku.html
ありがとうございました。
(中野店・わき)
















中野店 わき