何年も本の買取をしているのに、今でもときどき見たことがないマンガにめぐり合う事があります。特にそういった本が生まれやすいのが4コママンガ。読み捨てられる率が高いこともありますが、もともとの流通量が小さいためでもあります。いわゆる萌え4コマ以前、近年のまんがタイムが売れ始める以前の作品・・・植田まさしや平ひさしに代表されるような・・・たちは、かなり消散してしまっています。ファミリー4コマ時代の作品は集めるのに相当苦労するようになるでしょう。
今回「いってきまーす」というマンガをたまたま棚から見つけて読んでみたのですが、表紙から想像されるほんわかさとはかなり異なるテイストでちょっと驚きました。
舞台は離婚して母子家庭となった家庭。離婚したとはいえ、ひと月に一度おとうさんには会える。子供たちは今でもお父さんを慕っているが、自分達を育てるために母さんが苦労しているのもわかってるからそれなりに気遣う・・・という切ない背景があります。
父さんに会えるのはうれしいんだけれど、それをあんまりうれしいと表現すると母さんに悪いからと、あえてテンション低めに振舞う兄妹とか、
離婚届を破れば父さんが帰ってくると思い込んだり、
極めつけは、ニュースで「犯罪者の家庭の背景は複雑で、早くから両親が離婚し・・・」というや母親が傷つかないようにと寝たふりをする兄妹と、母親。全体のうちのわずかではあるものの、こういった話が1割くらい入っていました。「ほのぼのギャグだろ」と期待もなく何の気負いもなく読んだだけにちょっと面食らいました。こういう話に弱いので、家で読んでたら下手したら涙ぐんでたと思います。「赤ちゃん」の4コマ目の母親のカンジなど、これはほのぼの4コマとは思えません。
これ以外にも父親不在の家庭で自分が父親の代わりに妹を支えなきゃと兄が張り切ったり、運動会で遠くから見てた父親にめざとく気がついた兄妹たちの話など、切ない話ばかり。そうやってもう一度表紙の絵を見ると「いってきまーす」というタイトルは冒頭4コマの、ひと月に一度だけ会える父さんを送り出すときの、半ば演技の入ったテンション低い「いってきまーす」というあいさつから来ていることが分かります。けして明るいあいさつでもタイトルでもない・・・ということに気がついたときはちょっと背筋がゾクっとしました。
全体で通してみるとホノボノ4コマを突き抜けるようなものではないのですが、この切ない数編が混ざっていると全体が引き締まったように感じます。
買取で本に触れていると読まずして知ったかになる部分が出てきますが、しかし自分が知らないだけでまだまだマンガ界には読むべき本がたくさんあることを思い知らされます。
今回「いってきまーす」というマンガをたまたま棚から見つけて読んでみたのですが、表紙から想像されるほんわかさとはかなり異なるテイストでちょっと驚きました。
舞台は離婚して母子家庭となった家庭。離婚したとはいえ、ひと月に一度おとうさんには会える。子供たちは今でもお父さんを慕っているが、自分達を育てるために母さんが苦労しているのもわかってるからそれなりに気遣う・・・という切ない背景があります。
父さんに会えるのはうれしいんだけれど、それをあんまりうれしいと表現すると母さんに悪いからと、あえてテンション低めに振舞う兄妹とか、
離婚届を破れば父さんが帰ってくると思い込んだり、
極めつけは、ニュースで「犯罪者の家庭の背景は複雑で、早くから両親が離婚し・・・」というや母親が傷つかないようにと寝たふりをする兄妹と、母親。全体のうちのわずかではあるものの、こういった話が1割くらい入っていました。「ほのぼのギャグだろ」と期待もなく何の気負いもなく読んだだけにちょっと面食らいました。こういう話に弱いので、家で読んでたら下手したら涙ぐんでたと思います。「赤ちゃん」の4コマ目の母親のカンジなど、これはほのぼの4コマとは思えません。
これ以外にも父親不在の家庭で自分が父親の代わりに妹を支えなきゃと兄が張り切ったり、運動会で遠くから見てた父親にめざとく気がついた兄妹たちの話など、切ない話ばかり。そうやってもう一度表紙の絵を見ると「いってきまーす」というタイトルは冒頭4コマの、ひと月に一度だけ会える父さんを送り出すときの、半ば演技の入ったテンション低い「いってきまーす」というあいさつから来ていることが分かります。けして明るいあいさつでもタイトルでもない・・・ということに気がついたときはちょっと背筋がゾクっとしました。
全体で通してみるとホノボノ4コマを突き抜けるようなものではないのですが、この切ない数編が混ざっていると全体が引き締まったように感じます。
買取で本に触れていると読まずして知ったかになる部分が出てきますが、しかし自分が知らないだけでまだまだマンガ界には読むべき本がたくさんあることを思い知らされます。
中野店 岩井