好きな人には自分の大好きなものを一緒に好きでいてもらいたいとおもいますよね。
あぁ、なんてしょっぱい思想(エゴ)でしょうか、まぁそんなわけで学生時代の僕もそうでした。
それで、好きな人に自分の大好きな漫画を貸すことにしたわけです。
それがこの「海の牙」でした。
この「海の牙」、今ではすっかりSF、伝記コミックの巨匠星野之宣先生(以下敬称略)の短編集となっています。
ジャンプスーパーコミックスは「暗黒神話」「孔子暗黒伝」のかの諸星大二郎先生や「ゴージャス★アイリン」の荒木飛呂彦先生などを輩出しており強者達の登竜門的な雰囲気もあった一巻完結の単行本シリーズで、「海の牙」もそのシリーズにふさわしい傑作短編集です。
収録作品は表題作の「海の牙」「遠い呼び声」「太陽惑星イカルス」「暁の狩人」と宇宙を題材にしたもの、歴史を題材にしたものと短編集ながらこれ以降の描かれる作品に繋がる作品ばかりで、短編としても少ないページでかなりまとまったテーマとストーリーで当時から星野先生の確かな才能を感じさせます。
マンガの短編は連載と違って、短いページで作家の描きたいテーマをまとめなければならず、作家の試金石とも言える題材です。だからこそ、短編が面白い作家は長く愛され、また短編ばかりのJSCのシリーズも今でも読まれる名作を多く排出したシリーズになりました。
どの話もまとまったストーリーなのですが、やはり表題作の「海の牙」の面白さはぬきんでています。
このB・C計画が後の「ブルーシティー」というファンには嬉しい展開。デザインも本編に出たものそのままです。
この「海の牙」は、ジャンプで連載された「ブルーシティー」(これも名作!語りたい…)の外伝として描かれたもので、イェルマーク、ロゴスと作品内でも強い印象を残したキャラクターたちがメインで登場しています。
ストーリーとしては「ブルーシティー」の前日譚に当たるもので、新型潜水艦アクエリアス号の沈没の原因を探る、といった海洋ものとなっています。
60P程度の短編ながら、既に星野作品のストーリーとテーマが密接な関係とそれを昇華する展開、そして確かな筆致がすでに完成されており非常に読み応えのある作品となっています。
ユーラクロン号に忍び寄る黒い影…詳しい方ならこれでもわかってしまうかもしれませんが、
実はごくごく最近に漫画のネタになって話題になったことがある存在だったりします…
それを30年以上前の作品で扱っている星野先生の慧眼に脱帽ッ!
また、ストーリーだけでなく、メインを務める潜水艦ユーラクロン号を筆頭としたメカニック系にも注目してもらいたいです。
もともと星野先生は「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」の小説版「ハイ・ストリーマー」でMSデザインを務めたSFデザインでも有名な作家でもあります。
直線を多用したバリバリの硬派SFのデザインはMSとしては異端で、シド・ミートが手がけた異形のデザインの「∀ガンダム」に先駆けた存在ともいえるでしょう。
他にもコミカライズを手がけた「未来の二つの顔」「星を継ぐもの」といった名作SFにビジュアルイメージを与えたりとその功績は大きなものがあります。
「ブルーシティー」では近未来的な海底都市をデザインしてましたが、「海の牙」では渋い潜水艦、救助艇が硬派な筆で描かれています。
…そんな僕の大好きな「海の牙」そして「ブルーシティー」の単行本は結局「あの人」に貸したまま帰ってくることはありませんでした。
今ではどんな人生…いや本生を送っているのか、想像してみるのも僕のしょっぱい人生で少しは足しになるでしょうか…?
ちなみに今でも僕の本棚にはまんだらけ渋谷店で買った「海の牙」(二代目)が鎮座しているのです。
おまえはもう…手放さないぞ!
通販はこちら→https://order.mandarake.co.jp/order/detailPage/item?itemCode=1032499623&ref=list
他の星野之宣作品はこちら→http://order.mandarake.co.jp/order/listPage/serchKeyWord?target=01&keyword=%E6%98%9F%E9%87%8E%E4%B9%8B%E5%AE%A3&shop=55&soldOut=0&dispCount=48
(担当 黒田)
中野店 黒田
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