自分はコミックのスタッフですが、担当としては主にアメコミなどの海外コミックや非電源ゲーム(TRPG、ボードゲームなど)の担当をしています。 こちらのブログでは海外コミックの紹介はしたことがなかったのでこちらで初めて紹介してみようと思います。で初めて紹介してみようと思います。
ということで今回ご紹介するのは「マーベル・アベンジャーズ事典[増補改訂版]」です。 海外コミック、といってもこちらはマーベルコミックにて登場するキャラクターをまとめたガイドブックとなります。 この一冊、増補改訂版ということで2011年に出ていたものに追加されたものです。 実はこのタイトル、アマゾンレビューでは妙に評価が低く☆3や☆2がほとんど。書籍のアマゾンレビューは 好評なコメントが多く、アメコミのジャンルとしても詳細なレビューをされる方がいらっしゃるのもあってその傾向がある中では少し目立つタイトルです。 内容としては中身が薄い、エックスメンをはじめとした載っていないキャラクターが多い、といったコメントがほとんどです。
裏表紙にはファランクスを率いていた最盛期のウルトロンくんが。
では実際、「マーベル・アベンジャーズ事典[増補改訂版]」はこのような評価になったのか、というと本の実際の内容だけではない事情があったように感じます。 まずこの「マーベル・アベンジャーズ事典[増補改訂版]」を含めて海外コミックは翻訳を出版する際の契約で大体の場合本の追加や修正、編集などはされないことが多いです。日本特別編集、と銘打ったタイトル以外は殆どアメリカに販売されたオリジナル版に準拠した内容になるというわけです(別紙や本編後に解説などが挿入されることはありますが) この「マーベル・アベンジャーズ事典[増補改訂版]」はハードカバーでガッチリとした作りになっていますが、これはアメコミによく見られる装丁で、住宅環境が広いアメリカではハードカバーにありえないような膨大なページでストーリーを全部収録した豪華版なども人気のある装丁です。重さで2キロ以上を越えるタイトルも多く、通称アメコミ鈍器と呼ばれる超弩級のタイトルもシリーズの区切りに販売されています。 「マーベル・アベンジャーズ事典[増補改訂版]」もハードカバーのガッチリした作りとなっており、これはDorling Kindersley ( DK)の事典タイトルの伝統的な作りであり、他にも翻訳された「DCキャラクター大事典」や「マーベルキャラクター大事典」「スパイダーマン パーフェクト・ガイド 」などのアメコミキャラクターの事典だけでなく、トランスフォーマーやスターウォーズなどの書籍も多く出版されています。 海外ではこのようなガッチリとして耐久的に優れて、雰囲気のある装丁は好まれていますが、日本の狭い住宅環境では漫画のハードカバーはほぼ絶滅状態に近く、馴染みのない装丁になりつつあるという、環境、文化の違いを感じさせます。 このような事典は翻訳された「マーベル・アベンジャーズ事典[増補改訂版]」以外にもスパイダーマンのものやエックスメンのものが販売されており、アメコミの重厚で、数多くのキャラクターが登場するストーリーの副読本として愛されてきたものです。
海外版の準拠の翻訳なのでアルファベット順に並んでいます。一枚目は彼。
内容としてはキャラクターの解説と詳細データ、MARVELが公式で設定しているパワーレベルが載っています。 長い歴史のあるキャラクターと、最新のキャラクターが同じ量での解説になっているので各キャラクターごとの紹介はどうしても物足りなさを感じるところはあるものの、220以上のキャラクターを複数枚のイラストとともに紹介されており、どのようなキャラクターがいるのかを知る窓口としては最適な本となっています。 特にパワーレベルは各キャラに大体設定されており、例えばソーとハルク、どっちがパワーがあるのか?みたいな疑問の一つの指標になる面白いものとなっています。もちろん一つの指標であって「ドラゴンボール」の戦闘力ではなく、「キン肉マン」の超人強度のような絶対的なものではなく、また流動的なものではあるのもお約束でしょうか。 収録されているヴィランは翻訳タイトルにはほんの端役で登場したキャラや全く登場したことがないキャラ、日本で放映されている「スパイダーマン」や「アベンジャーズ」のアニメーションでは登場したことがあるキャラクが多く収録されており、作品を楽しむ傍らに置いておくのにオススメの一冊になっています。
グランドマスターはMARVEL映画には登場していませんがアルティメットスパイダーマンで印象的な登場をしていました。コールソンは改訂版に追加されたキャラで、ご存知MARVEL映画からコミックの導入されたキャラ。改訂までの人気の変遷を感じさせます。
この「マーベル・アベンジャーズ事典[増補改訂版]」、最初に投稿されたレビューを皮切りに☆1、☆2等の評価が多く投稿されましたが、その前訳となる「マーベル・アベンジャーズ事典」は高評価であり、この評価は最初に投稿されたレビューに引っ張られた面や、前訳がでた6年前とはアメコミ映画が毎年何作も発表されるような環境となったがためにキャラクターの多彩な紹介よりも一人のキャラクターをより深い解説が求められている、といった背景があるように感じます。 日本では「マーベルキャラクター大事典」という決定版ともいうべき一冊が刊行されましたが、あっという間にプレミアタイトルとなり、再販がないまま高額を維持していますがそちらの再販を求める人にとっては肩透かしになってしまったタイトルではあります。 が、「大事典」のような何キロもある決定版(それでも載ってないキャラは多いのですが)とそばにおける「事典」ではそもそもの使用意図が違うというのも留意したほうがいいでしょう。
確かに長い長いアイアンマンの歴史と複雑な人間性を1Pに紹介するのは酷でしょう。パワーレベルは最高が7なので数値で見るといかにアイアンマンが優秀なヒーローか分かります。ではキャプテン・アメリカやソー、ハルクは...というとそれは勝手からのお楽しみに。
実際内容、そして歴史を理解して読むには良い一冊であると自分は思っています。 アマゾンのような投稿レビューは賞品の評価を高めるものもあればその逆もあるわけですが、そういった作品の良さを紹介できれば、とぼんやりと考えている次第です。
最終ページは映画でも大活躍だった彼。
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(担当 黒田)
中野店 黒田