
話題になっていたので読んだ方、知っている方も多いかと思いますが2016年10月号の「ドリームス」、凄い事になっています。
凄いというか、もうなんというか、20年以上も続いた漫画が打ち切り(多分)を宣告されるとこうなってしまうのかという恐怖、絶望が溢れた恐ろしい展開となっていました。
だって…明らかにいつのタイミングで宣告が来たのかがわかるページ構成になってるし…
というわけで話題のドリームスですが、本来的には意外とリアル寄りで最新のスポーツ学や物理学を取り入れた…取り入れすぎているぐらいの理系な漫画だった面もあります。特に前半では野球漫画お馴染の魔球が頻出しながらも、物理法則を無視したものではなく変化球に近いものも多くありました。
まぁそのせいで一回打席に入って終わるたびに科学的見地の説明から精神論まで一通り語ってくれるのでそれで一話一カ月潰れて甲子園のひと夏を語るのに20年以上掛かっているいるわけですが…
またコマ割り、ページ構成も独特で、頻出という言葉では生ぬるいほどの割合をしめる左向きの顔、くど過ぎる説明と木多康昭先生の「泣くようぐいす」でもネタにされていた口と耳が同じ位置になる顔、全員同じ顔をしているキャラ、「750ライダー」のマスターのたばこのように顔と同化したフーセンガムなど、その表現論はマンネリをもした神話的表現となっており、ドリームスワールドを他との類似性が皆無の異形野球世界へと毎話築きあげています。
あまりにも同じデザインのモブがページ全体を埋め付くした上で、さらに小さなコマ割りを散りばめたまさに情報量の暴力とでもいうべき凶悪なページ割り!
世界よ、これがドリームスだ。
そんなドリームスも段々と甲子園を舞台にしながらキャラクター達も人間離れしていき、まずその変貌が明確に露わになったのが33~35巻の海聖戦です。
試合としては甲子園二戦目、実は甲子園に入ってからの試合の中では一番少ないページ数なのですが、そんなことは関係ない問題エピソード。
まず主人公である問題児「久里武志」が前日に酒を飲んで寝込んだまま試合開始という衝撃の試合開始なのですが、まぁあの「久里」、野球そっちのけの喧嘩で数話使うようなキャラクターなのでこれでも規定路線なぐらいです。
問題は相手チームの高知代表の海聖学園。
そのエース、秋吉広大。
ご覧ください。
高知=カツオ=一本釣り打法、とまぁ方程式的には間違っていないような気もするのですが、そのビジュアルインパクトの凄まじさはドリームス読者に大きなトラウマを植え付けました。
この一本釣り打法、単にカツオ釣りで鍛えた足腰での打撃ということで実際あっさりとこの後破られてしまうわけなのでしたが、この神聖なる甲子園の大地にカツオが突き刺さる野球漫画的にも歴的的伝説的シーンを残してくれましたのです。
今でもドリームスの話題になると必ずカツオが出てくるほどのインパクトだったようで、そういった意味では出番が少ないながらも強く心に刻まれた「北斗の拳」のハート様、「ジョジョの奇妙な冒険」の血管針攻撃、「キン肉マン」のミキサー大帝といった猛者達と比類する存在なのかもしれません。
こんな短いながらもドリームスの魅力が最大に詰まったのが33~35巻となるのです。
これ以降、アフリカから超人をチームに引き入れた久里の親父が監督のチーム(しかも親父との因縁が終わったのが甲子園第3試合という謎の中途半端感)や女性ながら打率十割、投げる球も150kmをたやすく超える人類最強レベルのキャラが登場したりと急激に人間離れをしたインフレ状態になるのでした。
ちなみにこの33~35巻、裏表紙にドリームシなる謎の漫画も載っているのですがその内容もなかなかにドリームス的なので全話載せておきます。
虫だけでなく擬人化ならぬ擬魚化もあるんだよ、そうドリームスならね。
そして2016年現在、20年以上を費やしてようやっと準決勝に辿り着いたところで先日の衝撃的な展開だったわけです。
こんな記事を書いた後であれですが、ドリームスで一貫して、目に見えずとも努力と研鑽は報われるべきである、というきわめて健全なスポーツマン的思想がテーマとして描かれていました。
そのようなテーマを描いた作品がこのようないわば捨て鉢的な展開を迎えてしまう、というのは重ねた年月以上の衝撃を自分は感じたのでした…
時の流れは残酷なものですが、まだドリームスは何話かある模様ですので、今のうちに読み返してこの先の「夢の先」に備えるべきなのです!
(担当 黒田)
そういえば川三番地先生といえば過去にこんなこともあったっけ・・・
http://iwainohondana.blog85.fc2.com/blog-entry-224.html
「愚かなる作家とディスられた人とスピリッツ」
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中野店 黒田
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