はい、ということで「Devils×Devil」のお話です。
「Devils×Devil」とはかの「高校鉄拳伝タフ」「TOUGH」のスピンオフ作品。
もちろん両作品と同じく猿渡哲也先生です。
「Devils×Devil」は「高校鉄拳伝タフ」ではラスボスを務め、「TOUGH」でも強い印象を残した「宮沢鬼龍」が主人公。 「宮沢鬼龍」といえば一時期は(あくまで一時期は)「バキ」の「範馬勇次郎」とも比類する扱いで語られることもあった格闘漫画界での強者キャラでした。 鬼龍といえば、主人公キー坊の父の双子の兄という立ち位置や、残忍ながらも頭脳明晰(IQ200!)である点、イメージカラーの黒など、「範馬勇次郎」ともまた違った味わいの強キャラだったのです...「高校鉄拳伝タフ」までは。 続編となった「TOUGH」の中盤以降は、単行本に挿入される「Another side of鬼龍」では大阪おばちゃんに負けたり、カンガルーに格闘技を仕込んだりと以前の強者を完全に破壊するネタキャラ扱いにされ、本編でも車に轢かれるなどを筆頭に突然の瞬殺→奇行を繰り返して今までのキャライメージを粉砕しつくしたのは今でも偶に語られる悲劇です。 そしてキャライメージを完全に破壊した始末が、ろくに見せ場のないまま連載終了のお知らせでした。 そういった鬼龍の雄姿(?)はテンプレwikiに詳しいのでそちらで確認してみるとよく分かります(笑) 思えば2012年はライバルだった「刃牙」シリーズも飯の食い方を説教されたあと、盛り上がらない親子喧嘩のまま連載終了した年でもありました。 「刃牙」「タフ」シリーズいずれも10年を遥に超える長期シリーズとなり、格闘技という題材とキャラクター自体の掘り下げが疲弊を感じさせていたこともあり、煮え切れない思いは有りつつも終了を見守るしかないといった2012年は格闘漫画にとって大きなターニングポイントでありました。 その後、「刃牙」シリーズは「刃牙道」として宮本武蔵を蘇らせただけでなく、格闘技だけでない武具を用いた総合武闘を扱うようになったのは皆さんのご存知のことかと思います。 こうして2012年を越えた後、今だ「刃牙」の力を大きく残しながらも、純粋なる格闘漫画は「喧嘩稼業」「ケンガンアシュラ」といった新しい作品たちに大きな流れが動いていくわけなのですが... そんな時代の中、「タフ」シリーズから生まれたのがこのスピンオフ「Devils×Devil」でした。 主人公、かつての強キャラ「宮沢鬼龍」が殺人ウイルスで崩壊した世界を舞台に登場という今まで以上にぶっ飛んだストーリーは純粋な「タフ」ファンだけでなく格闘漫画ファンをも驚かせたスッ飛び振りでした。
これがあの「タフ」のキャラが居た世界といわれても全く実感がわかないんですけど・・・
当たり前のようにシリーズの他のキャラは一切登場せず、人類の99.9パーセントは死滅し「NHM(ノーヘアモンキー)」と呼ばれるモンスター跳梁跋扈するようになったと語られるだけという世紀末ぶりでファンでなくてもショッキングな展開。
東京喰種ならぬパリ喰種。
「悪魔」と称された鬼龍も人間じゃないバイオハザード的モンスターには常に劣勢で、平然とダブルバレルショットガンを使いご自慢の鬼龍カーでひき逃げ(かつて自分がされたように...)を繰り出したりと単なる強い生存者レベルの描写で、往年の「強い」鬼龍は正直描かれず鬼龍ファンはひどく落ち込んだものでした。 といえ、崩壊した世界でルーブル美術館を一人守る鬼龍の姿や、律儀に食事のマナーを守り、ワインを嗜む姿は「TOUGH」後半で描かれた強キャラではないにしろ、人間として描かれた鬼龍の延長線上でした。
スポーツカーで轢かれたことも轢いたこともある元ラスボスなんて鬼龍ぐらいのもんだと思う・・・多分・・・
また「刃牙道」のように相手は人智を超えた相手であり、戦い方も武具に制限のないある種極限状態での戦闘となっているのも興味深いところ。これは行き詰った格闘描写に対する「タフ」シリーズなりの回答だったのかも知れません・・・ 美術品に対する妙な薀蓄や引用などはまさに猿渡節で、一々モンスターにもお決まりの悲しい過去を用意してくださる手腕にはファンは脱帽です。
鬼龍の貴重なギャグ顔をみよ!一々ナプキンまで付けてるのが物悲しい・・・ 免許を取りにいくピッコロ、味噌汁を飲む勇次郎に比肩する迷シーン。
偉そうにゲルニカについて語っていたわりには残念の画力の鬼龍・・・
本当にワンパンでダウンする鬼龍、弱体化ここに極まれり。
その後猿渡先生は「GOKUSAI」「Runin」といった格闘物とは離れた作品を手がけていき、「ロックアップ」などの連載はあるものの、「タフ」シリーズは数年間休眠することとなりました。 そして遂に2016年「TOUGH外伝 龍を継ぐ男」が連載スタート、長い休眠を終えることになりました。
新シリーズの1コマ。水木喜太郎ってそのまんま過ぎィ!
主人公は鬼龍の息子という事でやはり「タフ」シリーズは鬼龍から切っても切れない存在となりました。
鬼龍の金玉潰されてましたが子供は相当数残していたようです・・・(汗)
・・・でやはり壮大かつあっさり世界を滅ぼしていた「Devils×Devil」は無かったことにされるんだろうなぁ、となんとなく寂しい気分にもなるのです。 そんな時は2012年のことを思い出すのも乙なもんですよ、格闘漫画もがき、輝いてた2012年を・・・ (中野店/黒田)
「Devils×Devil」は「高校鉄拳伝タフ」ではラスボスを務め、「TOUGH」でも強い印象を残した「宮沢鬼龍」が主人公。 「宮沢鬼龍」といえば一時期は(あくまで一時期は)「バキ」の「範馬勇次郎」とも比類する扱いで語られることもあった格闘漫画界での強者キャラでした。 鬼龍といえば、主人公キー坊の父の双子の兄という立ち位置や、残忍ながらも頭脳明晰(IQ200!)である点、イメージカラーの黒など、「範馬勇次郎」ともまた違った味わいの強キャラだったのです...「高校鉄拳伝タフ」までは。 続編となった「TOUGH」の中盤以降は、単行本に挿入される「Another side of鬼龍」では大阪おばちゃんに負けたり、カンガルーに格闘技を仕込んだりと以前の強者を完全に破壊するネタキャラ扱いにされ、本編でも車に轢かれるなどを筆頭に突然の瞬殺→奇行を繰り返して今までのキャライメージを粉砕しつくしたのは今でも偶に語られる悲劇です。 そしてキャライメージを完全に破壊した始末が、ろくに見せ場のないまま連載終了のお知らせでした。 そういった鬼龍の雄姿(?)はテンプレwikiに詳しいのでそちらで確認してみるとよく分かります(笑) 思えば2012年はライバルだった「刃牙」シリーズも飯の食い方を説教されたあと、盛り上がらない親子喧嘩のまま連載終了した年でもありました。 「刃牙」「タフ」シリーズいずれも10年を遥に超える長期シリーズとなり、格闘技という題材とキャラクター自体の掘り下げが疲弊を感じさせていたこともあり、煮え切れない思いは有りつつも終了を見守るしかないといった2012年は格闘漫画にとって大きなターニングポイントでありました。 その後、「刃牙」シリーズは「刃牙道」として宮本武蔵を蘇らせただけでなく、格闘技だけでない武具を用いた総合武闘を扱うようになったのは皆さんのご存知のことかと思います。 こうして2012年を越えた後、今だ「刃牙」の力を大きく残しながらも、純粋なる格闘漫画は「喧嘩稼業」「ケンガンアシュラ」といった新しい作品たちに大きな流れが動いていくわけなのですが... そんな時代の中、「タフ」シリーズから生まれたのがこのスピンオフ「Devils×Devil」でした。 主人公、かつての強キャラ「宮沢鬼龍」が殺人ウイルスで崩壊した世界を舞台に登場という今まで以上にぶっ飛んだストーリーは純粋な「タフ」ファンだけでなく格闘漫画ファンをも驚かせたスッ飛び振りでした。
これがあの「タフ」のキャラが居た世界といわれても全く実感がわかないんですけど・・・
当たり前のようにシリーズの他のキャラは一切登場せず、人類の99.9パーセントは死滅し「NHM(ノーヘアモンキー)」と呼ばれるモンスター跳梁跋扈するようになったと語られるだけという世紀末ぶりでファンでなくてもショッキングな展開。
東京喰種ならぬパリ喰種。
「悪魔」と称された鬼龍も人間じゃないバイオハザード的モンスターには常に劣勢で、平然とダブルバレルショットガンを使いご自慢の鬼龍カーでひき逃げ(かつて自分がされたように...)を繰り出したりと単なる強い生存者レベルの描写で、往年の「強い」鬼龍は正直描かれず鬼龍ファンはひどく落ち込んだものでした。 といえ、崩壊した世界でルーブル美術館を一人守る鬼龍の姿や、律儀に食事のマナーを守り、ワインを嗜む姿は「TOUGH」後半で描かれた強キャラではないにしろ、人間として描かれた鬼龍の延長線上でした。
スポーツカーで轢かれたことも轢いたこともある元ラスボスなんて鬼龍ぐらいのもんだと思う・・・多分・・・
また「刃牙道」のように相手は人智を超えた相手であり、戦い方も武具に制限のないある種極限状態での戦闘となっているのも興味深いところ。これは行き詰った格闘描写に対する「タフ」シリーズなりの回答だったのかも知れません・・・ 美術品に対する妙な薀蓄や引用などはまさに猿渡節で、一々モンスターにもお決まりの悲しい過去を用意してくださる手腕にはファンは脱帽です。
鬼龍の貴重なギャグ顔をみよ!一々ナプキンまで付けてるのが物悲しい・・・ 免許を取りにいくピッコロ、味噌汁を飲む勇次郎に比肩する迷シーン。
偉そうにゲルニカについて語っていたわりには残念の画力の鬼龍・・・
本当にワンパンでダウンする鬼龍、弱体化ここに極まれり。
その後猿渡先生は「GOKUSAI」「Runin」といった格闘物とは離れた作品を手がけていき、「ロックアップ」などの連載はあるものの、「タフ」シリーズは数年間休眠することとなりました。 そして遂に2016年「TOUGH外伝 龍を継ぐ男」が連載スタート、長い休眠を終えることになりました。
新シリーズの1コマ。水木喜太郎ってそのまんま過ぎィ!
主人公は鬼龍の息子という事でやはり「タフ」シリーズは鬼龍から切っても切れない存在となりました。
鬼龍の金玉潰されてましたが子供は相当数残していたようです・・・(汗)
・・・でやはり壮大かつあっさり世界を滅ぼしていた「Devils×Devil」は無かったことにされるんだろうなぁ、となんとなく寂しい気分にもなるのです。 そんな時は2012年のことを思い出すのも乙なもんですよ、格闘漫画もがき、輝いてた2012年を・・・ (中野店/黒田)
中野店 黒田