弘兼憲史のセルフおはぎパロディ

ビッグコミックオリジナル2017年第10号は皆様ご覧になられたでしょうか?
新連載、伊藤潤二×太宰治の「人間失格」や能條純一の「昭和天皇物語」第2話などオリジナルにも新しい風が吹き始めましたが、何といっても注目は「黄昏流星群」。
弘兼先生の貧乏×おはぎストーリーが20数年ぶりに帰ってきました。


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タイトルは「煌めかざる星」


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貧乏な家の生まれのサトル。ある日クラスで嬉しいことがあり、母にその話をしたらボタ餅を持たせてくれます。


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しかし現実は酷なもので、皆からの辛い反応が彼を待っていました。


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残ってしまったボタ餅をサトルはどんどん川へ投げ捨てます。
持たせてくれた母を傷つけないための配慮といいますが、本人のくやしさも相当だったでしょう。


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その後サトルは遠くへ引っ越していき、舞台はその数十年後へと移り、次号へ続いていきます...。

ところで、おはぎとぼたもちの差は諸説ありますが、牡丹のと萩の咲く時期から春はぼたもち、秋はおはぎと呼ぶのが一般的のようです。
家庭で作られるおやつとして昔はメジャーな食べ物でありましたが、工程の大部分が人の手のひらによって作られるものです。
それ故に家族以外が口にするのはなかなかにハードルの高い食べ物だったのではないでしょうか。

おはぎと貧乏の話は「課長島耕作」14巻にも登場しています。
インターネット上では「貧乏が悪いんだ」の台詞とおはぎだけが一時期流行ったものです。


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その話のメインとなるキャタクターはすっぽん屋の女将、田名網敬子。
実は別作品「加治隆介の議」にも登場するキャラクターです。

すっぽん屋で上司、部下と酒を酌み交わした後、忘れ物を取りに戻った耕作。
電話で別れ話をしているのを偶然聞いてしまった耕作は敬子といい仲になります(さすがの一言です)。


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「うちの店はすっぽん食べた後のアフターケアがついているの」
この名言も飛び出します。


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話をしていくうちに、お金に厳しいのは何故かという話題になり、子供の頃貧しかったエピソードに移りゆきます。

貧乏だった当時の敬子に、家庭訪問という試練が立ちはだかります。
家に呼ぶのが恥ずかしい、先生に出すお菓子も買えないという敬子に母は一喝。


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とっておきのおはぎを作ってくれます。


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しかし先生はそれには手をつけません。
当時のことはわかりませんが、最近ではどの家庭でも平等に接するために出されたものには手をつけない決まりのようなものがありますね。
こういった案件が実際にあったからでしょうか。
ともあれ、母はおはぎを包んでおみやげとして先生に持たせます。
ところが...。


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無残にも打ち捨てられるおはぎ...。


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「貧乏が悪いんだ」

今回の「黄昏流星群」は、このエピソードを思い出させるものでした。
次号以降、話がどう展開していくのか...。
いずれにせよお金絡みの話になるのではないかと予想しています。

それにしても、ビッグコミックオリジナルにおはぎの話が載ったことを上司と笑いながら話せる環境というのはなかなかスゴい会社だなと思う今日この頃でありました。


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