なれるよ お前だったら宇宙飛行士に。塾行ってるし

 桜もあっという間に散って最近は三寒四温の肌寒い日々が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。僕は相変わらずブックオフの100円棚を巡る日々を過ごしていますが、この前『君の膵臓をたべたい』の実写映画版をTSUTAYAで借りて観ました。目ざとい僕はこういうちょっとミステリー入ってる系の作品のどんでん返しを見抜くことに命をかけているので、主人公が最初に盲腸で手術をしていて、ヒロインが不治の病、タイトルに「膵臓」とあることからピコーン!ときて、これは主人公の方も実は盲腸ではなくなんかの難病で、最初の時点ですでにヒロインの膵臓を移植しているんや! そういうことなら、なぜヒロインがやたら主人公に接触してくるのか理由がわかるし、ラストは「実は最初から君は僕の中にいたんだね......。僕はすでに君の膵臓を食べていたんだ!」という事になり、タイトル回収もバッチリ☆という風に思って観続けていたら、全然違いました。中野店の長谷川です。

 さて、今回ご紹介する漫画はこちら。

omega0002.jpg

『ヤンキー塾へ行く』/荒木光/講談社/2011~14年/全4巻

 テレビドラマ化もされた『僕たちがやりました』の荒木光先生の連載デビュー作にあたる今作。喧嘩最強で無口な碇石くんが、偶然出会った黒髪ショートの清楚系女子の宮本さん目当てで塾に通うことになるのですが、そこはヤンキー。めっちゃ喧嘩をふっかけられます。でも内申に響くので自分からは手は出せない。自分がボコボコにされるのは我慢できますが、高校受験当日に友達の宇都宮が大ピンチ。宇都宮を助けに行ったため、宮本さんと同じ高校に行くことは叶わず、底辺高校である益垣高校へ入学します。そんな底辺高校に入った碇石くんでしたが、塾通いは辞めません。なぜだ、碇石......。宮本さん目当てで塾に行っていたのではなかったのか? と思っていた矢先、実は宇宙飛行士になるというドリームがあったことがわかるというのが1巻のあらすじです。

omega0007.jpg

omega0008.jpg

 塾へ通うヤンキーという変化球が目立ちがちですが、ヤンキーの友情モノとしてもよくできているし、ギャグのキレもあり、キャラクターも立っていて、続きが読みたくなる度が高く、単純に漫画としておもしろい作品です。

 口角を上げ過ぎてめっちゃガンつけてるみたいになってしまった面接練習中の碇石くん。

omega01.jpg

 碇石くんのマブダチ宇都宮。ブス専でちょっと中二病入ってますが、喧嘩もそこそこ強く、実はお母さん思いのいい子です。

omega0003.jpg

 宇都宮のお母さん。

omega0009.jpg

 宇都宮の彼女。

omega0011.jpg

 ツバを飛ばさなとしゃべることができない宮田先輩。この漫画の中でぶっちぎりにバカで喧嘩も弱く、碇石たちが入学したときにはJ君のパシリにされていましたが、後輩の前でかっこ悪い姿は見せられないという根性だけは最強で、なんだかんだ碇石たちに慕われているいい先輩。

omega0005.jpg

omega0006.jpg

 碇石、宇都宮といつもつるんでるデブの高見沢。喧嘩も弱いただのデブです。

ome0002.jpg

 こんなゴキゲンなメンバーたちが喧嘩をしたり友情したり、塾に通ったりする漫画です。

 恋愛要素もあり、無口でウブな碇石くんが意外と友情より恋愛を優先するところに笑います。僕が好きなエピソードが2巻14話の「消しゴム忘れたの巻」。宮田先輩と三バカトリオ(碇石、宇都宮、高見沢)でカラオケに行ったときに、宮田先輩がバカなので宇都宮を怒らせてしまいました。

omega0010.jpg

 宮田先輩は表ではヤンキーらしくイキがってますが、本当は乙女のように繊細な心をもっているめんどくさい先輩なので、高見沢と碇石にメールで相談します。碇石も寡黙ながら筆マメという繊細さを持ち合わせた男。憎めない宮田先輩を長文メールで励まします。

omega0012.jpg

 そしてその日も塾に行く碇石くん。塾にはちょっと(というかかなり)気になっている比呂奈ちゃんがいて、消しゴムを忘れた様子。

omega0013.jpg

 人を殺しそうな形相+無言で消しゴムを机に置く碇石くん。一度は断られますが、隣の席のブスのアシストもあり、ちょっといい感じの雰囲気に。

omega0014.jpg

 そんなおり、タイミング悪く宮田先輩からまためんどくさいメールが......

omega0015.jpg

 まあそうですよね。でもちゃんと返信はするところに碇石くんの人の良さがでているんだかいないんだか。僕だったら電源切りますね。

 『ヤンキー塾へ行く』自体は4巻で終わってしまうんですが、ヤンキー要素を少なめに、より塾生としての碇石くんへスポットライトを当てた続編『塾生★碇石くん』がこちらも全4巻で発売されています。ナンバーワンバカの称号は宮田先輩から比呂奈ちゃんへバトンタッチされ、ツインテ女子中学生のチャコちゃん、中学の頃に塾に行くきっかけになった宮本さんも再登場。碇石くんを巡る恋のバトルロワイヤルへ...? 的な展開もあり、こちらもおすすめです。

 それでは最後にチャコちゃんの煽り画像でお別れです。また次回お会いしましょう。

omega0016.jpg

『ヤンキー塾へ行く』はこちら

https://order.mandarake.co.jp/order/listPage/serchKeyWord?categoryCode=00&keyword=%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%BC%E5%A1%BE%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%8F

その他荒木光先生の作品はこちらからどうぞ

https://order.mandarake.co.jp/order/listPage/serchKeyWord?categoryCode=11&keyword=%E8%8D%92%E6%9C%A8%E5%85%89

中野店 長谷川

1週間のアクセスランキング

    長谷川と同じカテゴリの記事

    最新の記事
    UC、NTへと続く福井晴敏ガンダムワールド

    このブログが掲載されている現在も絶賛公開中。 宇宙世紀ガンダムとしては27年ぶりの新作劇場と話題になっている「機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)」 「機動戦士ガ...

    うめだ店 森田

    性欲も睡眠欲には勝てない。

    小学館 篠房六郎『おやすみシェヘラザード』 とある女子高、女子寮。まだ5月だというのに暑い夜が続くある日・・・ 1年生の二都麻都(にとあさと)は友人の部屋へ行こ...

    渋谷店 田名部

    ☆★画像あり ☆★ |コリコン女教師 真昼の決斗☆★ネタバレ注意 ☆★

     最近、海外版のA.D.POLICEのDVDを買って観たらDISC1に最終巻であるDISC3の内容が入ってたんですよ。 で、あの時代のアングラな設定のOVAって...

    コンプレックス 内村

    戦国時代に転生したら...

    間が空いてしまいましたが今回も私的なおすすめラノベを紹介させていただきます。 今回紹介するのはイスラーフィールさん作の「淡海乃海 水面が揺れる時」。 副題で「...

    サーラ 阿部

    是非続いてほしかった!

      集英社 佐野ロクロウ、肥田野健太郎 『ジガ-ZIGA-』  あらすじ---少年ジャンプ公式サイトより--- 明るく充実した学校生活の一方、「怪物に潰される」...

    コンプレックス 山田

    きっとあなたのなかにもいる『かわいい闇』

    はじめて記事を書かせていただきます中野店の高畠と申します。 SFだいすきアイマスPです!今後ともよろしくお願いいたします! さて今回は、一見かわいらしい絵本のよ...

    中野店 高畠

    平成もそろそろオワリ!!

    連載開始したサーラの本棚!! どうも、おひさしぶりですうめだ店コミックスタッフの山崎です。   あまりに久々すぎて誰が何を紹介してたかすっかり忘れてしまってるの...

    うめだ店 山崎

    母と子と将棋がある日常と

     いやー、すっかり寒くなってきましたね。日中は暖かくても夜はもうダウンジャケットじゃないと寒くて、日々モコモコして過ごしております。「ワールドトリガー」が連載再...

    中野店 長谷川

    悪と正義の境界とは。

    そろそろアニメ化の話があってもおかしくはないのでは...と個人的に思っているこちらの漫画をご紹介。タイトル:憂国のモリアーティ 構成:竹内良輔 漫画:三好輝コナ...

    小倉店 藤野

    老いとは、正しい成長

    当ブログのアクセスランキングで根強い人気を誇っているのがとうとう「島耕作担当」を名乗り始めた、弘兼憲史大好きおじさん・臼井による一連の島耕作シリーズ。 (未読の...

    中野店 清水