日本人なら誰もが知っている歴史上の人物・聖徳太子。
紙幣で一番肖像画が使われたり、幼少の頃から10人の話を
同時に聞き分ける事ができたなど逸話が数多くありますが、学校で
習った歴史を忘れている方が多くいるはずです。
大まかに見てみましょう。(きっと役立つはず!!)
593年 推古天皇の摂政(天皇を助けて政治をする最高位の官職)となる
601年 斑鳩宮(いかるがのみや‐宮殿)を建立
603年 冠位十二階(日本で初めて地位を12の等級に分けた)制定
604年 十七条憲法(日本で最初の憲法)制定
607年 遣隋使(中国に制度や技術を学びに行く)を派遣
→隋の文化が伝わり、法隆寺が出来る。
620年 日本の歴史書「天皇記」「国記」を作成
622年 死去(49歳)
→蘇我馬子が権力を握るようになる。
643年 蘇我蝦夷・蘇我入鹿(蘇我一族)が聖徳太子の一族を滅ぼす。
で、今回紹介するのが
作画・ふくしま政美 原作・滝沢解の「絶叫コンビ」がおくる不発(未完)の核弾頭「超劇画 聖徳太子」であります。この作品は皆が何となく知っている聖徳太子像はなく、怨念と性力に満ちた荒唐無稽な聖徳太子像が描かれています。
太田出版より発行されたクイックジャパンマンガ選書(QJマンガ選書)シリーズ16作目にして、初単行本化作品。白を基調としたそれまでの装丁から一変、黒に仏教寺院を想起させる額を施したデザインで奇書と呼ぶに相応しいカバーがまず目に付きます。そしてこのカバーを外すと、なんと!ディープパープルのイアン・ギランの姿がお目見えします。おそらく脳がコラージュされてますね。ちょっぴりグロくて作品と妙にマッチングしています。ちなみにこれ、無許可で写真を使用したとの事で、イアン・ギランサイドからクレームがあったそうです。勿論絶版。装丁は宇川直宏のお仕事です。
そして、この本若干ページの印刷が粗いです。何故なら原稿が存在せず連載していた「週刊漫画サンデー」原本からの印刷なので、致し方ないのです。
それもこれも、作者のふくしま政美が80年代に入り、今までやってきた事(漫画の執筆)全てに嫌気がさして、手持ちの原稿を全部燃やしてしまうという破天荒な行動に起因するワケです。
前置きはさておき、内容に少し触れていきます。冒頭で紹介した聖徳太子の歴史的偉業を頭の片隅に残しつつ...
まずは主人公の聖徳太子。顔をしっかり拝むのに70ページ以上読まないと登場しない演出がなされてますが、物語は上記の643年以降、聖徳太子の死後の世界。(太子は霊界にいます)一族を殺された恨みで蘇我氏を倒すため死霊となり怨念をひっさげて掟を破り女体を突き破って輪廻転生します。(何を言っているのか意味がわかないと思いますが...とにかく転生するシーン(画像)は内臓ぶちまけてグロいので割愛)
この人が1万円札にもなった日本人なら必ず知っている聖人・聖徳太子なのです。
恥ずかしげもなく屹立した股間を怒張させてます。もはや、そんな事はどうでも良い
のですが(全編この状態だから)注目したいのが登場時の顔&頭です。
全身見事すぎる筋肉ですが鼻にも筋肉がついてるんですね。鼻って鍛えられるモンなんですね。良く見ると眉間と顎にも筋肉が...
そして頭の形、ここでは「おむすび」みたいなトンガリヘッドです。
なんと中盤頃には、突き出た頭のトンガリが無くなり、サイズがかなり縮小されています。これは、かつて「魁!!男塾」で大豪院邪鬼が初登場した際に10メートルの大男に見えるという威圧による目の錯覚を利用した演出に近いのではないか!スケールは小さいが...
霊界でいう違反行為になる輪廻転生を果たした聖徳太子ですが、霊界の監視(鬼)にバレてしまいます。なんとも地獄のIT化が随分進んでますね。ヘッドホンで下界の音声をひろう鬼達。周りのゴツイ機械と対照的な鬼のふんどし姿。悪ふざけにも程があります。
ついに、現世に甦った太子を捕らえるべく、霊界の刺客が登場します。
体にコンピューターロケットが搭載された霊獣・「玄武1号2号3号」、女性器を模した「醜女(しこめ)」、男性器を模した「醜男(しこお)」もはや、説明するだけで気絶しそうな破壊力があります。世界に数あるクリーチャーの中でもトップクラスの造型ではないでしょうか。醜女・醜男VS聖徳太子のバトルシーンも見ものですが悔しいですが省きます。
玄武に捕まり、暗黒銀河系地獄星雲の閻魔大王庁に出廷させられた太子は最高権力者・閻魔羅闍陛下と対面し、いきなりバトルが勃発するのです。
互いに鋭い眼光で睨み合い、閻魔が唾を吐きかけ先制攻撃を仕掛けます。
唾は大蛇となり、太子を襲いますが、同じく唾攻撃で難なく大蛇を消滅させます。
そして閻魔が取り出したモノは、なんと怒張したイチモツ、名前の通り魔羅(チンチン)
を突然シコシコいじくりドバッ!!と勢いよくスペルマが飛び出し今度は八岐大蛇(ヤマタノオロチ)に変化しました。
太子の体に巻きついた蛇は強く体の自由を奪います。そこで対抗手段として太子もイチモツを取り出しシコシコし始めます。閻魔のビックリ顔が何ともいえません。
もはや、何の戦いかわかりませんが、恐ろしく強い霊力を持った方たちの高度な技の応酬
に違いありません。この人たち閻王のテラスで何やってるんでしょうか。
一つ、両者股間をシゴいている時の顔が見切れているのが残念でなりません。
この後のむさ苦しくイカ臭いバトルの結末は購入して確認して下さい。
最後に、この後の閻魔のキャラが情けなくある意味好感が持てるのですが、愛人の弁財天を太子に寝取られ怒り狂う表現が凄いのでお見せします。
閻魔の顔のアップ。怒りすぎて眼球が「パリーン!」と割れます。
連載がはじまったのが1977年。第1話「輪廻」から翌年1978年の第17話「救世観音」までが収録されており、当時17話を書き上げ作者が失踪したため、物語は突如未完で終っています。70年代後半は劇画が下火にあった時代の中、ここまでとにかくエネルギーに満ちてどす黒い作品は類をみません。
ふくしま政美といえば「筋肉」、そして「見開き」に魅力が集約された作家ですが
「超劇画・聖徳太子」は超と付くだけあって劇画表現の限界突破を果たし、それまで磨いたマンガのテクニックが遺憾なく発揮された記念碑的作品だと個人的に強く思います。
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札幌店 田村
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