今回の企画展も小樽。場所は小樽文学館になります。
ちなみに前回の「ゴールデンカムイ」の中の小樽の記事はコチラ
http://iwainohondana.blog85.fc2.com/blog-entry-513.html
札幌市から小樽市まで車で40分位(中心地から中心地まで)ちょっとしたドライブで行ける距離です。 「ガロと北海道のマンガ家たち」展。通称ガロ展は10月23日までとなっており、この記事が載る日には終了しています。
なので記事を読んで行きたくなった人は時すでに遅し‥
ですが、前回の小樽博物館同様に館内写真撮影OK(懐が深いぜ!)なので、雰囲気だけでも味わって下さい。
前回の小樽博物館では偶然にも館長さんのお話を聞けて、と言うか盗み聞きしてたんですけど‥
今回はちゃんと真っ向から挨拶させていただきました。(博物館と文学館の館長は別人)
話が二転三転しま すが、最近まんだらけオリジナル製品を札幌店発信で企画・製作したのですが、
それが「花輪和一オリジナルTシャツ」になりまして、詳細は以下のページ↓(通販でも買えます!)
http://www.mandarake.co.jp/information/sale/hanawa/index.html
こちらのポスター等、販促物を館長の玉川薫さんにお話しして文学館に置かせていただきました。
本題に入ります。画像を見ながら雰囲気を膨らませて中に入っていきましょう。
文学館外観。小樽には古い建物が沢山残っており風情がある。
元は地方貯金局で鉄枠の大きな窓が特徴的で日光が良く入る作りになっている。
文学館は2階。これまたレトロな作りのドアに重厚感のある木彫りの板が歴史の深さを感じさせる。
入室すると、まるで昔の喫茶店に入ったかの様にチャイムが鳴るのが何と も味わい深い。
「編集人・長井勝一没後20年」
あえてブログのタイトルで伏せてますが、この企画展は漫画雑誌「ガロ」と
長井勝一に大きく焦点を当てています。
ガロとは。長井勝一とは。
長井勝一の写真も展示されています。
青林堂の建物外観(1階は材木屋)と2階から見下ろす長井さんの写真の配置が良い。
ガロのバッグナンバー約250冊がほぼ揃っており、年代別にショーケースに飾られています。
圧巻です。
60年代。錚々たるメンバーです。
まんだらけ 社長もおります。
70年代。最近知ったのですが、この頃から活躍されてる花輪さんと蛭子さんって同い年なんですね。
来年70歳になられます。
80年代。石川次郎といえば「トゥナイト2」を思い出しますが別人。
いつの年代も濃いラインナップです。
90年代。漫画界のみならず音楽・文学・映画など多方面に
影響力のあったガロ。こうして見ると掲載された作家や作品を見て憧れて
新人が生まれる原動力を生み出し続けていたんだと感じます。
ショーケースに並べら れてる本を眺めるだけではありません!!ちゃんと手に取って
座って読めるスペースがあるんです。ガロがメインになりますが、聞いた話によると玉川館長の私物を
提供されているとの事。(懐が深いぜ!)
花輪和一のデビュー作「かんのむし」掲載号もありました!
「ガロ」をはじめとして「COM」や貸本マンガ(150冊)の展示も充実していましたが
何と言っても原画の数が多く迫力があります。一部ですが見てみましょう。
鈴木翁二「オートバイ少女」。何かもう。見た瞬間泣きそうになりました。直筆原稿の力強さは
時が経っても朽ちないです。10月23日の最終日に映画化の監督を務めた、あがた森魚と
鈴木翁二によるジョイントコンサート が開かれます。行きたかった...
長井勝一と共に「ガロ」を創刊した白土三平の原稿もあります。
長井は「カムイ伝」を掲載する場として「ガロ」を創刊したのは有名な話。
青林堂から白土三平には原稿料は支払われなかったが、白土が「ガロ」に推挙した、つげ
義春には白土が原稿料を払っていたという。「ガロ」のタイトルロゴ。これも白土三平作。
つげさんもいます。
忘れてならない「北海道のマンガ家たち」の原画もあります。
森雅之。ブレる事無く一貫して描き続ける世界観は、いつでもリリカルで
ノスタルジックな雰囲気に誘われます。
花輪和一。これまた有名な話。幼少期に実の母の再婚相手の義父に受けた虐待が
凄まじく、のちの人格形成に深く影響を与え、後々まで心に傷を負って80年代に北海道に移住。
理由が津軽海峡を渡れば深い業から解放されると思い、数珠を握りしめて船に乗り海を渡った。
まさに自身が描く漫画そのもの。94年に銃刀法違反で刑務所に入る。本人曰く「居られるもの
ならもっと入っていたかった」「刑務所は極楽」と日常生活の葛藤の呪縛を引き合いにしている。
一般人では計り知れないトラウマの深さだ。
現在も第一線で活躍。次号発売の「ビッグコミックオリジナル増刊」にて新連載「風水ペット」が
掲載される。
そして、そして見所の山場は「ガロ 青年の部屋」
1960年代末から70年代の初め、マンガ家をめざして上京。さまざまなアルバイトやアシスタントを
しながら「ガロ」に投稿をし続けた青年の部屋を(抽象的に)再現しました。
投稿入選作「庄助あたりで」で1969年11月「ガロ」デビューした鈴木翁二氏の記憶を参考しています。
洗濯ばさみで吊っていたり、壁に貼っている下書きやメモと作品は、すべて鈴木翁二氏直筆。(パネル文参照)
再現度が凄い!!何をもっての再現度か正直わかりませんが小物の使い込まれた感とマッチやタバコの箱、タバコの本体に至るまで鈴木翁二本人お手製と言うんだから気合の入りようが違います。ギターやハーモニカが片隅に置いてあるのが作家性が良く出ているなと感じます。他に今じゃ見ない銀色のドライヤーだったり、ハーモニカの箱(HOHNER)にチョークが入っていたりと映画のセットばりのクオリティで永久保存・展示してもらいたい位です。
展示用に毎週原画が翁二さんから送られてくるそうで、量も凄い。そのまま個展でもいけそう。
写真をバンバン載せましたが、こんな良い企画展を見れない特に道外の方には説明 よりも
画像かなと。小樽文学館編集の図録(500円)を購入しまして、武田巧太郎、高野慎三、山中潤
などが寄稿しており、特に青林堂最後の経営者山中潤氏の回顧録と想いは初見で興味深いものでした。
そして最終ページに花輪和一「ガロ」との出会いの文章と今回の展示会用に書き下ろした絵がカラーで掲載されています。
どこかで見たような!
冒頭でお伝えした、花輪和一オリジナルTシャツの書き下ろしの一つ「出たあぁ!」Ver.になります。ちなみにこれはTシャツデザイン用にと作画依頼した際に、先にラフで書き上げたモノを着色して仕上げた作品になります。ちょっとした自慢になりますが、僕が起点となって描いていただいた作品が一つはTシャツのデザインになり、もう一つはこの「ガロ展」用に文学館に飾られる事になろうとは嬉しい限りです。
10月23日で「ガロ展」は終了しますが、文学館では今後も面白い企画展が開催されます。是非足を運んでみて下さい。今回紹介した「ガロ」の創始者でもある白土三平。その父親はプロレタリア画家の岡本唐貴になります。
唐貴作の油絵「小林多喜二死面」は文学館に行けばいつでも見られます。
また、文学館ではショーケースで飾られていた「ガロ」ですが、まんだらけでは普通に買えます。
年代ごとに特色の変わるあなたに合った「ガロ」を探してみて下さい。
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札幌店田村
札幌店 田村