サンコミック版全2巻
角川書店版
双葉社版。巻頭カラー8P描き下ろし有
カバーを裏返すとポスター風の一枚絵が開帳(見切れてます)
漫画の世界には度々魅力的な「仮面」が登場します。「北斗の拳」のジャギ、「スケバン刑事」の鉄仮面、「ベルセルク」グリフィスなど探せばまだまだ出てきそう。
風忍「地上最強の男 竜」の主人公・雷音竜(らいおんりゅう)の被っている仮面は、その中でも最高にクールでイカしてるデザインでプロレスマスクにして名のあるレスラーに被ってもらいたい位です 。
風忍はダイナミックプロで永井豪のアシスタントを経て70年にギャグ漫画「百円病院」でデビュー。のちにフランスの作家フィリップ・ドリュイエ「ローン・スローン」に触れる事によりサイケデリックな色彩感覚やコマ割り、複雑に入り組んだメカニックデザインなど強く影響を受け三頭身のギャグマンガからガラッと変化しています。(鈴木清順やブルースリーにも影響を受けたとも)それと永井豪的なキャラデザと日本的な仏像とガンマニアとして知られるほど執拗な銃の書き込みがストーリーの破茶滅茶さと絵のインパクトが相まって、読者に強大な衝撃や理解不能な印象を与えます。
フィリップ・ドリュイエ「ローン・スローン」
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冒頭からコレ。自分で「地上最強の男」と言っちゃってます。実に分かりやすい。
全方位に向けられた銃が不穏な空気を醸し出しています。
雷音竜は強すぎるがゆえ命を狙われる存在なのです。しかもスケールがデカイ!
アメリカのFBI、イギリス、ドイツ、フランス、中国、ソ連、地上には名だたる国の刺客たち、空にはジェット機が...一体何をやらかせばこんだけの人に命を狙われるのでしょうか。しかもよく見ると高倉健ばりの昭和残俠伝風の男や舘ひろし似のバードボイルドなど国内の凄腕にも狙われているのが分かります。
このマンガのキャチコピーとも呼べる 「どんなやつがきても0.2秒であの世へおくることができる」は男なら一度は言ってみたいセリフ。(上半身裸のスパッツ姿で、銃撃されまっくて逃げながら言うセリフではないですが...)
「武器はもたないカラテだ!」
やっぱりカラテが最強なんですね。まず「最強」を目指すなら回り道せず空手を習いに行く事をオススメします。
〜羅城門空手〜
竜は強すぎるがゆえ、力をなくす念をかけた例のイカした仮面を付ける事を師匠(先生)に命じられます。そして羅城門空手は破門。
きっかけは一つの事件が原因なのです。
〜全日本空手大会〜
優勝候補の加山五段との対戦。加山は大ヒット曲「パタパタ パパ」の歌手二階堂の婚約者。曲名はさておき嫌な予感がします...
無意識に手が出てしまい(体への直接あては反則行為)失格する竜。
竜が会場を去った後、加山の額から血が、何故か蝿が傷口に止まると...
竜から打撃をくらった箇所が時間差で(北斗の拳の秘孔みたいなヤツ)飛散して無残な姿に。それ以来、自分でも制御できない強すぎる力を恐れ苦悩する竜。
そんな竜にも妹がいます。
父と母を亡くし、親戚に家(豪邸)を乗っ取られ奴隷のようにこき使われる妹。
居場所を無くし、身を潜める為5年ぶりに帰ってきた家には秘密の地下室があるのです。
予知能力を持った父が作った地下室。
竜の未来を予見した設定らしいが、近未来感がハンパなく、ドリュイエの血が風忍に混じりあった時に起こった化学反応がスパークしたかの様な奇跡のデザインだ。
そこに現れたのは、羅城門空手の師匠と、かつて婚約者を竜に爆死させられ身なりが180度変化した元人気歌手の二階堂の姿が!
酷い言われよう。それにしても二階堂が「その変な機械」って言っちゃてますね。
そして、復讐の鬼と化した二階堂と師匠のコンビVS竜の壮絶な戦いがはじまります。
冒頭の50ページを紹介するだけでも、この情報量。省いてる箇所があるとはいえ突っ込みどころ満載なのも、この漫画の魅力の一つです。
後半のイカれぷっりがまた凄まじいです。駆け足感は否めませんが絵ありきでご紹介。
マシンとマインドが融合したコマ。少年マンガというよりかは、プログレッシブロックやスペースロックのジャケットのようです。
仏像が空を飛びます。
世界中の仏像が圧巻の揃い踏み。
そして、竜を殺すため、竜の元師匠はとんでもない男(!?)を復活させてしまいます。
イエス・キリストなのでした。
更にキリストは神のパワーで2人の男を復活させます。
宮本武蔵 と ブルース・リー なのでした。
宮本武蔵は「刃牙道」でも主役はってますし、「バガボンド」でも獣じみた強さを見せており、魔界転生させたい人、国内人気ナンバー1かと思います。ブルース・リーは連載当時、風忍が映画から影響を受け、多少無理くり感は否めませんがカンフー漫画を描きたいとねじ込んだ節があります。
ですが、この2人が並ぶと異様です。
最後に 〜こんなお見舞いは嫌だ〜 をご紹介。
師匠との死闘で入院した竜の所へ、キリスト・武蔵・リーが(暴力的や意味の)病院にお見舞いに来るのです。
「面会謝絶」の場に「銃刀法違反」の嫌な響きが!
ヌンチャク、日本刀を持ってポーズ、決まってます。
果たして竜の運命や如何に!
このマンガは最初の段階ではギャグマンガとして描かれたそうですが、永井豪や編集の意見によりシリアスなストーリーに変更されたそうです。
そして、最初の設定では竜と空手の師匠(道教)はホモ関係だったとも!!
しかし、決してギャグマンガではないのです。
そして衝撃的で伝説となったラストはあえて触れませんが、
1977年「週刊少年マガジン」にて連載スタートし、連載開始の掲載号(77年1号)にふくしま政美「聖マッスル」の最終話が載っているのが、混沌とした時代が伺えます。
こんなマンガが少年誌でしかも週刊連載していたなんて凄すぎます。
のちに、富士見書房「ドラゴンHG」というマンガ雑誌で「新地上最強の男 竜」を
描き下ろしますが、単行本未収録ですので併せて雑誌の講読もオススメします。
よりディープでサイケデリックな世界が楽しめます。
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