安達哲「さくらの唄」
まず、この漫画を知るきっかけとなったのは、まだ高校生だった自分が購読していたファッション雑誌smartの記事で、モデル・ミュージシャン・俳優などの有識者たちが選ぶマンガベスト3なるページがあり、当時面白い漫画に飢えていたので、そこにのっているタイトルを片っ端から読み漁るという事をしてました。誰が何をチョイスしてたのかは20年近く経つので朧げですが、ピエール瀧が「野球狂の詩」を推していたのは覚えています。中には「AKIRA」「リュウの道」「わたしは真悟」など、今まで読んだ事がないタイトルが多く、この出会いはマンガ好きを一気に加速したように思います。
中でも衝撃的だったのが、「さくらの唄」と「デビルマン」でした。
「デビルマン」に至っては、修学旅行の帰りの空港で文庫本を全巻買って、機内で読破しショックすぎて相当落ち込んだ記憶があります。折角楽しい旅行だったのに最後で台無しでした。僕の脳は、高校の修学旅行=デビルマンと記憶が完全に変換されました。
「さくらの唄」は、ここ最近では、「悪の華」3巻と「男のための青春まんがクロニクル」で押見修造が影響を受けたマンガとして「10代のうちに必ず読むべき漫画」と紹介されています。
単行本は講談社オリジナル版全3巻で3巻だけ18禁いわゆる成年マークが入っており、講談社B6コミック・青年コミック内を見渡しても異質な存在です。
まずは、1巻袖のあらすじをそのまま転記します。
市ノ瀬利彦-。富士桜ヶ丘高校3年生。
両親の海外赴任のため、離婚した元ヤンキーの姉と二人暮らし。そこへ親戚の金春(こんぱる)夫婦が乱入し、家庭生活は崩壊寸前。彼の唯一の救いは同じ高校の中村真理。同じ画塾に通うことから、退屈な日常から一歩足を踏み出す!
前編では、偏差値の低い高校生のとりとめのない日常が描かれており、主人公市ノ瀬は学校でそこそこの人気はあるが、自分に自信が持てず童貞をこじらせた性格。ある日、学園のマドンナで希望の光・中村真理との出会いが彼に彩りを与えていく。
映画「さくらの唄」のエンディング場面
文化祭の出し物で映画を制作することになり、市ノ瀬の強い希望で中村真理を主人公に、その名も「さくらの唄」を撮りはじめる。
何もかもがうまくいっていたのだが、親戚の金春の財力と変態性と思惑にのせられ、少年市ノ瀬利彦の平凡な日常は終末へと向かっていく。
主人公に画塾を進めた富士桜ヶ丘高校の三ツ輪先生(2巻表紙の女性)、産休で休んでいたのだが突然彼の前に現れる!!
上記がざっと第1巻と第2巻の中間部でしょうか。2巻の第19話「大いなる悲劇の序章」より物語はガラリと雰囲気が変わります。
あまり内容を紹介しすぎると、心に突き刺さる度が半減するのでこれぐらいにしときます。連載が90年代初頭で、25年近く経ちますが作品の持つパワーは色褪せる事なく、今読み返しても緊張感やテンポは秀逸で、それこそ自分が高校の頃に読んだ衝撃を思い起こしてくれます。
「さくらの唄」同名のロックアルバムが存在します。GOINGSTEADYによるもの。
のちの、銀杏BOYZで再録されLIVEで何度も演奏される「BabyBaby」「銀河鉄道の夜」などを含む全曲ハズレなしのマスターピースです。この頃はメロディックなナンバーが並びます。
バンド解散後、新たに銀杏BOYZとして発表した2枚のアルバム「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」「DOOR」は漫画「さくらの唄」3巻目の壊れっぷりを音楽で体現したような世界観が表現されており、激しい演奏と絶叫に似た叫びとリビドー剥き出しの歌詞がミックスされ異様な緊張感を生み出しています。峯田和伸は相当影響を受けたのでしょう。漫画と併せて(押見修造の言葉を借りれば)十代で触れなければならない作品ではなかろうかと提言したいです。
もう一つ、前回紹介した大友克洋「ショート・ピース」収録の「任侠シネマクラブ」ですが、ある高校の映画研究部が文化祭で映画を制作する短編なんですが、「さくらの唄」の元ネタだったらいいなーと個人的に思いました。どうなんでしょう‥?見比べてみるのもいいかもしれません。
「さくらの唄」の通販はこちらから
余談ですが、文庫版の下巻で◯◯との衝撃のSEXシーンがありますが、一部カットされているのでオリジナル版をお勧めします。
読むべきはオリジナル版。しかし在庫が心もとないので、16年8月現在1巻~200円買取。全3巻セット700円買取となっております。お持ちの方はお近くの店舗にお持ち下さい。
(札幌店/田村)
札幌店 田村
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