まんだらけの麻雀担当、山本コウです。麻雀漫画好き=麻雀が強いと思われて、誰も麻雀に誘ってくれません。わたしの雀力なんて、
と言われている人たちと同じ程度です。
さて。画像の漫画。週刊少年マガジンで甲斐谷忍「無敵の人」が去年末から連載が始まりました。週刊少年マガジンでは星野泰視「哲也」以来10年ぶりの麻雀漫画掲載になります。楽しみですね。
週刊少年誌などではやっぱり「麻雀のルールを知らないけれど麻雀漫画を読む」という人も多いわけです。
「哲也」や、他にもアニメ・ドラマにもなった福本伸行「アカギ」、最近だとヤングガンガン連載の小林立「咲-saki-」なども、麻雀を知らない人たちにも沢山読まれている麻雀漫画になります。
そこで今回は、「アカギ」「咲-saki-」、あるいは「無敵の人」などで初めて麻雀漫画に触れた人が持つであろう「他にどんな麻雀漫画があるの?」という疑問に、タイプ別でお答えしたいと思います。
【タイプ1】麻雀のルールよりも可愛い・格好いい登場人物の出るのが読みたい
麻雀のルールは分からなくても漫画として面白いものが読みたい、という向きにはこちら。
高校生代打ち集団ZOO。若き感性が代打ち界に風穴を開ける。
麻雀の打ち筋から動物のコードネームをつける、という設定がキャラ立てと相まって非常にとっつきやすくなっています。
危険察知能力(当たり牌が分かる)から"兎"
打撃力がある(トイツ系の手役を好み、ドラを乗せる)から"ジャッカル"など。
絵柄も格好よく、画像が好みなら麻雀のルールが細かく分からなくとも楽しめます。
「あんた背中が煤けているぜ」という台詞、格好いいですね。普通、麻雀では鳴く(手牌を晒す)と点数が下がるのが常ですが、主人公・竜は鳴けば鳴くほど点数が高くなど、という打ち筋。
そうした打ち筋が面白いのもさることながら、漫画としては任侠漫画なんですね。"竜"というワイルドカードを巡って、ヤクザたちが争う。
「あンた背中が煤けてるぜ」
「早く打ちなよ 時の刻みはあンただけのものじゃない」
「時の刻みはおれにはない」
全部ヤクザ相手に言ってのけています。格好いいですね。
最初少しは人間っぽかった竜ですが、どんどん死神か何かのような存在になっていきます。
バイニンvs奇術師。麻雀というものは極論すると、いかにして高い点数の役を上がるか、というゲームです。
が、この漫画は違います。
敵役のバイニン"蛇"の持つ技、全自動卓天和。その謎に挑むはラスベガスから来た奇術師"バード"。イカサマ技の種は何なのか? どのような技で対抗するのか。
今までの麻雀のルールを根底から覆す考え方。名シーンです。
敵役の"蛇"の外見は普通のオッサンだが、このコマだけでもヤバいのがよく分かる。
技の応酬はまるでバトル漫画のよう。宣戦布告にもこのポーズですよ。
上質のミステリや、必殺技の応酬のあるバトル漫画のように読めてしまいます。
【タイプ2】より麻雀を詳しく知りたい
麻雀に興味が出てきて、麻雀のルールもある程度覚えたし、実際に人とも打ち始めた。
もっと麻雀が詳しくなるような漫画はないの? という向きにはこちら。
女流プロ・丘葉ミーコが、元トッププロの波溜について麻雀のイロハのレクチャーを受ける長編麻雀漫画。
とりあえず、主人公の丘葉ミーコが、本当に「オバカ」。顔だけでプロになったような状態から、ひとつずつ教わっていきます。
とくに昭和の麻雀では「麻雀の基本は平和」と言われる(理由ももちろんあるのですが、ルール説明が煩雑になるので割愛)なか、
「麻雀に三色も一通もない。あるのはリーチ」
これです。
麻雀初心者~中級者には役に立つ格言が山とあります。
格言、は言い切ってしまいますが、当然麻雀は状況でさまざまに。格言通りに打ってはいるけど違う、って状況もフォローされています。
前半は本当にレクチャー漫画ですが、後半になるとミーコの成長とともに物語が加速してきます。
麻雀レクチャーものとして是非読んでおきたい1冊。
麻雀漫画の金字塔。一番面白い麻雀漫画は、というアンケートを集めたらトップを取るであろう作品。
何がそこまで評価が高いのか、というと、「この漫画の主人公は爆岡でも鉄壁でもなく、麻雀牌」と言われるほどの、闘牌シーンの密度。
爆岡の『爆牌』の謎を巡り、物語は進みます。
同時に、各キャラクターの打ち筋が特徴的なことも相まって、麻雀漫画の最高峰と言っても過言ではない仕上がりとなっています。
登場当初は単なるモブキャラっぽかったのに、気が付いたら超重要キャラに。「教えてやろう、リードは守るもんじゃなく広げるものだ」格好いい。
惜しむらくは、麻雀のルールを知らないと、さすがに面白さがすべて伝わらないこと。
ある程度麻雀のルールを嗜んだら、是非手に取って欲しい作品です。
【タイプ3】阿佐田哲也って何者?
「哲也」の主人公で「雀聖と言われた男」と称された阿佐田哲也。「哲也」はフィクションですが、阿佐田哲也という人物は実在します。
本名:色川武大。直木賞作家。阿佐田哲也はエンターテイメント系の作品のときのペンネームで、同筆名で書かれた「麻雀放浪記」という小説が大ヒットを飛ばします。
「哲也」はその「麻雀放浪記」を中心に、それ以外にも山と書かれた阿佐田哲也の麻雀小説を再構築したものです。
そちらに興味を持たれた向きにはこちらを。
小説「麻雀放浪記」は前述の「哲也」は元より、それ以前にも以後も、何度も漫画化や映像化されています。
その中でも、もっとも原作の雰囲気を伝えており、かつ漫画独自の味もある作品。
出目徳にイカサマ技「2の2の天和」を教わるシーン。牌の躍動感が凄い。
バイニン同士の戦いは、イカサマ技の応酬であり、それを「汚い」という面子はここにはいない。殺し合いをしつつも、一体感を抱く不思議な関係。
「手の動き」や「牌の躍動感」に色気がある作品です。
かつて阿佐田哲也が立ち上げた集団「麻雀新撰組」というものがありました。阿佐田哲也・小島武夫・古川凱章の3人が中心に立ち上げたこの集団。
名称こそ違いますが、その時代を描いた作品がかわぐちかいじの「はっぽうやぶれ」(後に「巷説麻雀新撰組」と改題された新装版も出ています)。
当然さまざまな脚色や演出もありますが、麻雀がブームであった時代の空気を一番感じられる作品でもあります。
阿佐田哲也をモデルにした登場人物:朝倉が「麻雀新撰組」の名前をあげる。
「オッショイ」の囃子は「はっぽうやぶれ」の名シーン。山笠の囃子の載せてツモる花島。
花島と好対照な蟹江との関係も見所な本作品。
それにしても、各作品の「哲也」と本人見比べると全然違うのはご愛嬌ですね。
【タイプ4】やっぱり麻雀ってギャンブルだよね
麻雀って言っても結局はギャンブルだよね、という意見もあります。
まぁ、あまりいいイメージはないですよね。そうした負の側面に興味がある向きにはこちら。
時代はバブルの頃。裏の世界に"むこうぶち"と呼ばれる鬼がいた。
連載当初はいろいろ模索していたためか、少しブレがありますが、連載も長期に至り、麻雀に狂う人々のところにカイがいる、というスタイルに落ち着きます。
基本的には破滅する人たちを楽しむ漫画。主人公・傀は無敵の超人です。
決め台詞は「御無礼」。完全に自分の流れになったときに傀が上がりとともに発する言葉です。
負けていくオヤジたちが見所のひとつ。借金を高レートで返そうとするが......
すでに50冊近くも出ている長編ですが、基本短編の組み合わせなのでどこからでも読めるのも強み。
まだまだ麻雀漫画はありますが、今回はこれくらいで。
雑誌「近代麻雀」を定期購読している層には「全部知ってるよ」ってところだとは思います(見直してみたら全部竹書房でした)。もっとディープな麻雀話がされたい方は是非まんだらけうめだ店へご来店ください。棚にも出しきれない麻雀漫画がまだまだあります。
(うめだ店/山本)
グランドカオス 山本
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