四コマ漫画のススメ：ひらのあゆ「ラディカルホスピタル」

四コマ漫画、というジャンルがあります。
　
各家庭で新聞を取っていた頃は、新聞四コマが身近な存在でした。
アニメ化からのヒットも多い、最近の萌え四コマを思い浮かべる人も多いかもしれません。
各雑誌にも1本か2本、四コマ漫画の連載がありますし、他にも実録系四コマ漫画雑誌などもあります。

ところで、こんな仕事をしているとよく聞かれる質問に、 「○○なら何から読み始めればいいの？」 というのがあります。 そういう質問の裏には、

・そのジャンルに興味があるので、最低限押さえておいたほうがいい作品ってのは何？
・そのジャンルにおいて今話題のものは何？
・そのジャンルの面白さが凝縮されているような作品は何？

といった意図があるものです。
そして「四コマ漫画に興味があるけど、何読んだらいい？」と聞かれたら、自分が最初にオススメするのがコチラ。

ひらのあゆ「ラディカルホスピタル」
20170718-01.jpg20170718-02.jpg


四コマ漫画内のジャンル分けでいうと、ファミリー四コマという部類になります。
ファミリー、つまり幅広い年代をターゲットにした四コマなので、読者層の間口が広いので、オススメし易いのが理由の１つ。
ファミリー四コマの特徴のひとつとして、どこから読んでもそれなりに面白い、というのも１つ。
舞台が病院ということで、身近ながらも非日常な舞台設定で新しい発見があることが１ つ。
また、2017年7月現在30巻まで刊行されていて、気に入ったのなら長く楽しめる、というのも１つ（ちなみに自分が読み始めたのは7巻出た頃で、雑誌で読みつつ、コミックスで遡ってました。そんな読み方でも大丈夫）。

さて。
上述したように、ファミリー四コマの特徴として「どこから読んでも大丈夫」というのがあります。
それは何故か、というと、基本パターンがあってそれを踏襲しているものが多いからです（もちろん例外もあります）。
よく見かけるのが、最初の1本は決まったオチを持ってくる、というもの。
人物紹介を兼ねるものが多いですね。分かり易い例だと、

20170718-03.jpg
※「森田さんは無口」（佐野妙）

20170718-04.jpg
※「動物のおしゃべり」（神仙寺瑛）

などがあります。
「ラディカルホスピタル」の基本パターンは病院の１日を切り取った作りになっていることで、主人公・榊ドクター＋その日出勤のドクター＆ナース＋患者、という組み合わせで毎回の話が作られています。

そして「ラディカルホスピタル」を薦めるポイントのひとつとして、この毎回の作りが 非常にレベルが高いこと。
具体的には、

・毎回の四コマ目でオトしつつ、
・その回のテーマに沿って全体でもオトす

という両立をしているところです。

20170718-05.jpg
※各四コマでオトしつつ

20170718-06.jpg
※その回全体でもテーマに沿ってオトす

他にも、時事ネタが多いのも特徴。
時事ネタ、といっても社会派なネタが多いので「こういうこともあったなぁ」と読み返すと連載時とはまた違った読後感があります。

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※呼び方が「看護婦」から「看護師」に。合わせて「婦長」が「師長」になった頃
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※「地デジカ」懐かしいですね。病院とかだと交換台数半端無かったでしょうね

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※新人医師の研修制度の変遷など、なかなか外からは窺い知れないことも。


病院が舞台ということで、意外と知られていない医者の実態や、医者に求められる素質なども......

20170718-10.jpg　　20170718-11.jpg

登場人物が多いことも魅力です。
人間関係の把握など本来は大変なところですが、各話に絞れば上述のように登場人物が絞られるため、読んでいてそれほどキャラの多さにストレスを感じることがありません 。
そして、慣れてくると、そっと忍ばされた伏線やキャラの成長を感じ取ることが出来るようになり、さらに面白くなってきます。

20170718-12.jpg　　20170718-13.jpg
※登場キャラが多いので、毎巻のキャラ紹介も抜粋になってしまいます

そんなオススメ四コマ「ラディカルホスピタル」ですが......ここまで読まれてお気づきの方もいらっしゃるでしょう。

主人公のドクター榊（表紙のヒゲのお医者さん）

他のキャラが入れ替わり立ち替わりなのに対して出ずっぱり......お分かりですね、悲しくなるほどのワーカホリックです。


20170718-14.jpg　　20170718-15.jpg

長く続いて欲しいと願うと同時に、榊先生に幸せが訪れて欲しいと思います。

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グランドカオス 山本

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